第2話 暗闇に月は輝かない(投稿初日の悪夢)

 俺の名前は月本招(つきもとまねき)。

 もちろん偽名だ。



 前回は俺がカクヨムに投稿するまでのいきさつと、それまでに実際にやったことについて書かせてもらった。


 今回は、投稿初日と2日目について書いていこうと思う。



 新規登録についてはサクサク進んだ。

 これはお世辞でもなく、カクヨムのUI(ユーザーインターフェース)が良くできているからだと思う。


 さて、新規登録したのはいいが、まずは何をどうすればいい?

 何か色々説明があったような気がするが、俺は……なので、そこは全然覚えていない。


 たぶん、説明をすっ飛ばして何も情報のない自分のマイページを見て呆然としていたような気がする。


 ネットとかでも色々調べているうちに何となくわかってきた。


「よっしゃ! とりあえず、俺の渾身の第一作目をぶちかましてやろう!」


 俺は一人でイキっていた。

 あの時に戻れるなら、


「正気に戻りやがれ、このクソザコ野郎!」


 と叫びながら、イキった俺にビンタを振り抜いてやりたい。

 しかしそれは無理な話。時間は止まってはくれないのだ。



「えーっと、小説タイトルね。はいはい、考えてますよもちろん。

んで、『種類・ジャンル』か。んと、これは異世界ファンタジーでいいのかな。

次は、『オプション』だと。。

え、何だこれ、キャッチコピー? 紹介文? なにそれ、全然考えてねーし……」



 俺はいきなり壁にぶち当たった。

 特にキャッチコピーと紹介文は全く用意をしていなかったので、これは大誤算。


 小学校の時に、読書本のあらすじをまとめろみたいな課題があったような気がするけど、あれ苦手だったんだよなぁ。

 てなわけでもちろん今でも苦手。


 俺の最初のキャッチコピーと紹介文はだいたいこんな感じ。

 今のキャッチコピーと紹介文も下手っぴだけど、当初のは今見てもひどいな。。

 ちなみにこれでも2時間くらい考えた気がする。


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タイトル:

リミットブレイク~呪われた少年と転生ネコ~

※ちなみに今はタイトルが変わっています汗


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キャッチコピー

呪われていたって人は強くなれる


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紹介文

 出生不明で施設で育てられた少年ギルは、優れた知能を持つ一方で生まれながらにしていくつものハンデを抱えていた。ギルは英雄に憧れを抱いていたが、〈攻撃適性ゼロ〉と言う、〈攻撃対象に対する命中率0〉の呪いが付与されていたため、その夢を諦めかけていたのだった。


内気で身体を動かすことが大の苦手のためか友達もほとんどできず、どこへ行ってもいじめられる日々の中、施設でギルを助けてくれたのは大きな白いネコ。そのネコは犯した罪の罰として、化け物に強制転生させられた過去があった。


呪われた少年ギルと転生ネコはしばらく穏やかな生活を送っていたが、ある日ギルの唯一の友達である女の子が襲われている現場に遭遇したことで、運命は一気に動き出す。


ギルは大切な人を守れる強さを手に入れるために、己に課せられた呪いに抗い、運命の限界を超えていくことを誓う――

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 うん、やっぱりひどいね。


「うぅ……俺みたいな初心者がカクヨム様みたいな修羅の国に来てはいけなかったんだ」


 俺は泣きそうになりながらキャッチコピーと紹介文を書き込んでいった。



 でも、何とか他の項目も埋めたし、これでようやく初回の投稿ができる!


「皆よ。これが伝説となる大傑作の始まりだ! さぁ、読むがいい!」


 おぅおぅマジ狂ってんじゃん……。さっきまで修羅の国とか言ってたヤツは一体どこにいるのだろう。。



『今すぐ公開』のラジオボタンにチェックを入れたまま、自信満々でカチリと『公開』を押下した。



「さぁ、読め読め読めよめよめ。俺の大傑作を読みやがれぇー! フハハハハハ!」



 今思えば頭の中に虫でも湧いているとしか思えない。

 

 俺はダッシュボードの小説ページを表示させて、F5ボタンを連打する。

 どうしよう、いきなりPVがドバッと増えて、その中に編集者がいて、


『月本さんっ!読ませてもらったよ。あなたは突如として現れた大天才だ!どうかウチで出版させてもらえないだろうか。もちろんメディアミックス化前提で』


 なぁんて話が来ちゃったらどうしよう。

 まずは兼業作家だな。

 でも、忙しくなってきたら専業になるしかないかー。


 妄想を膨らませながらF5をポチリ、またポチリ。


「あれ? 全然PV増えないじゃん」


 おかしい。俺の大傑作がこんなに反応がないなんて。

 カクヨムぶっ壊れてんのかな?(←マジ)


 その後、5分くらいF5をポチポチと押しまくる。

 その様子は傍から見たら恐怖にしか見えないかもしれない。


 しかし、当の本人は大マジなのだ。


「まさか……単に興味を持ってもらえていないだけなのか……」


 俺は焦った。

 慌てて新作ページのタブを開いてみる。


「えっと、俺の大傑作は……どの辺だ?」


 投稿してからたかだか5分やそこらである。

 言ってもまだ上の方に残って……


「全然残ってやがらねぇ……」


 俺は5分やそこらで埋もれることを知った。

 カクヨム恐るべしである。


「なんだ……何が悪い! 俺が初心者だってバレているからなのか?(←混乱中)

いや、どこにもそんな表示はなかったはずだ!

なら何が原因だ?

タイトル?

キャッチコピー?

紹介文?

あー!全然わかんねぇー!」


 今思えば全てである。


 3ヶ月かけてようやく投稿できるという喜びで、カクヨムの中身を事前に全然見ていなかった結果がそのまま返ってきただけの話だった。


 これからカクヨムに投稿しようと思っている諸氏がもしこの話を読んでくれているのなら、これだけは言いたい。


【タイトル・キャッチコピー・紹介文は納得のいくものができるまで投稿はするな】


 と。



 乱暴な言い方をすれば、小説の中身は後回しでもいいくらい。

 なぜなら、タイトル・キャッチコピー・紹介文が弱いと、そもそも読者に興味を持ってもらえない。つまりは読まれない。


 俺はそこに気づいていなかったのだ。

 15万字のストックを用意することに気を取られ過ぎていた。


 その夜、俺は枕を濡らしながら眠りについた。



 翌日、ドキドキしながらPCを開く。

 一晩も経てばさすがに少しくらいPVも増えて……


 ねぇ……。


 それはそうだ。

 なぜなら、読まれるための導線がすでに失われている。

 とっくに埋もれた俺の大傑作、もといど素人が書いた第1話は死んだのだ。



 24時間経っても俺のPVは0のままだった。



 俺の脳裏に「早期撤退」という言葉がよぎる。


 俺の大傑作……俺の3ヶ月……俺の15万字……。


 いや、まだ初日だ。きっと何か方法があるはず。


 俺はひたすらカクヨム内を見て回ることにした。

 そこにきっと何かヒントが隠されていると思ったから。



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ここまでお読みいただきありがとうございます(≧▽≦)

もし、月本にこんなことを書いて欲しいなどのリクエストがありましたら気軽にコメントください。


ご質問・ご感想もお待ちしていますー!



↓が月本の作品です。よかったら読んでみてください(,,>᎑<,,)


★長編メイン作品

ボクたちの転生狂想曲~呪われた少年と不思議なネコ~

https://kakuyomu.jp/works/16817139558143902273


★短編コメディ

その塾、動物の楽園につき

https://kakuyomu.jp/works/16817330650595141827


★短編ラブコメ

逆転レベルアップ~最弱使い魔とゲームの世界で冒険したら~

https://kakuyomu.jp/works/16817139559074788702

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