第2話

ハード


山奥で、白骨死体が、見つかった

其れは、三十メートルはあろうかという

杉の木であり

その高い位置に

その死体が、ぶら下がっていたのだ

其れを発見したのは、近隣の林業を、営む男性であり

死語一年は、経過していると、言われる

その事について、怪鳥が、あそこまで持ち運んだ

とか、作業中に、死亡した

または、自殺だったとも言われているが

頭部欠損

足も、バラバラであり

かろうじて、あばらと脊髄

肋骨が、残って居るのみであり

身元の判明には、つながらなかった

「其れで、あなたは、いつどういう風に、其れを発見したんですか」

刑事は、男に聞く

「あれは、木の選定を、考えて、良い木を決めたんで

其処に目印を付けようと

テープを貼り付けてたんですが

上を見たら、何か白いものが、揺れている

それが、何だろうと、腰縄を使って、上ったんですわ

いや、多少、大きかったもので、ビニール袋でも、引っかかっているとまた思ったんですが

上れば上るほど

其れは、細く

どうも、物体的でした

其れを確実に、骨だと認識にしたのは

15メートル程、登った辺り

木の横に曲がった

大きめの枝に

其れが、引っかかっていたわけです

下の方では、結構あるんですが

なぜに、こんな高い位置なのか

わからんかったわけです

地元では、天狗でもでたんじゃないかと、

良います人も居ますが

しかし、そんな伝説、この山々に、ありませんからね


報告書は、簡素に終わった

骨を見る限り

暴れて殺されたようなこともなく

また、劣化著しく

不明りょな事、多数

現状で、いえることは、自殺か、事故の可能性が、高いのではないか

しかし、近隣の村で、失踪者はなく

そうなると、外の人間の可能性が高いが

無理とは言わないが、素人が、わざわざこんな高い位置までいくのだろうか

そこら変に疑問はあるが、周囲を探しても、そのほかの骨は、数本の小さな物だけであり

頭蓋骨は、野生で動物が、持ち帰ったのか、近くで発見することが、出来なかった

事故物件と言うものではないが

その木は、一年以内に、出荷されるという

「それで、これは、事件と見るべきですか

事故と見るべきですが」

上の人間は、おおかた、上がった報告書通り

これは、事故

として、扱おうと考えていた

と言うのも、そう報告書に書いてあるからだ

まだまだ事件事故は、多数だ

不明な物は、調べても不明りょだ

人員も足りないし

よほど大きく取り上げられなければ、

そうかまっていられる物でもない

そう言う思いも

その後すぐ

それは、一ヶ月後

都会で起こった

それは、東京タワーの一角

鍵が壊され

タワーの一角に、進入出来たのだが

それに、気が付いたのは、先週であり

事の重大さが、確認できたのは、一人の観光客の悲鳴だった

係員が、その客の近くにいき

すぐに事情を尋ねると

望遠カメラのレンズの付いた

そのカメラには、ぼろ切れを、まとったような物が

赤い鉄骨に寝そべっており

其れがどうも、人間のようであった

係員は、すぐさま、彼女を、控え室、お迎えして

警察を呼ぶ、事になる

撤去作業は、非常に困難を極め

警察では、とうてい無理であり

無能に変わり

電球の交換を、いつも行っている

とび職の職人が、その帰還を、手伝うことになった

遺体は、ぼろぼろであり

検視の結果、大した、外傷は、のどを、一文字に

裂かれている以外

存在せず

不思議なことに

薬物が一切

検出されていなかったにも関わらず

暴れた様子もなく

かなり綺麗に犯行が行われたことを、示唆していた

しかし、一週間の劣化激しく

身元も、ようやく、歯形で、特定できたが

どうやら、同時期に、失踪した

人間のようだ

場所は、都内ではなく

土日が終わっても、出社する事なく

家族が、仕事場から連絡を貰い

捜索願が受理されている

しかし、どうして、わざわざ、ここに来たのか

どうやって、移動したのかは、不明

動機も、自殺なのか他殺なのか

地面には、血が大量に、あったが

みな、屋根であり

確認できる物は居なかったと思われる

今回写真に撮った、女性も

鳥の巣がないかと、探っているときに

ほとんど、観覧室からは、死角に、あたるような

場所に、ぼろくずのような固まりを、発見し

ズームしたことが、きっかけとなった

問題は、自殺であれば

その場所で、自ら首を裂いた

とも、考えられるが

ナイフのような、刃物は、周辺から

発見できず

また、他者が、そのようなことを、したにしても

理由が、今一つ分からない

どうして、あの場所ではならなかったのか

どうして、暴れた形跡もなく

そして、無抵抗に、殺されたのだろうか

遺体には、ロープのような物は、結びつけられて居らず

必死で其処にとどまったと考えられる

もし、死後に運んだとしたら、

其れは其れで疑問が残る

どうやって、人間という巨大な物を

運んだのか

血は、どうして、下にあれほど大量に、ばらまかれたのか

この状況では、分からずじまいであり

それこそ、先の白骨した木上の死体と、結びつけられることは、無かったのである


電柱で、とある老人が、発見された

その姿は、ごく普通の服であり

腹は割かれ

内蔵が、頭上から、流れ出しているのを

早朝 小学生が、発見した

電柱には、擦り傷があり

足場に、ロープを引っかけて

その遺体を、上まで引き上げた

と、考えられる

そして、頭上で、あばらの上に、支えるように

其れは、足場に刺さっていた

このときになり、ようやく、この関連性を、

考える物も居たが

しかし、だからといって、行動に、起こすのはまだ先の話であった

「それで、事件性は、あるのか」

こんな事件性しか無さそうな物を、見ても、聞くしかないのだ

「何か鈍器のようなもので

頭を一打

これで、脳しんとうを起こしていると考えられます

あと、腋を通してロープの後が見られ

そのまま、上に引き上げたのでしょう」

つまり

刑事が聞く

「他殺ですね」

捜査本部が、設立したが

誰一人、目撃者はなく

初めての目撃者が

小学校の生徒だったという事だけが、浮き彫りになる

犯人は、用意周到らしく

手紋 遺留品

等々

目印になるような物は、残されて居らず

また、深夜

田圃の電柱という

ただでさえ人通りの少ない場所で、行われた犯行

老人は、一人暮らしであり

散歩にでも夜に、出かけたか

または、監禁された後に、殺されたのではないだろうかと、考えられたが

しかし、死亡時刻は、深夜だと考えれば、散歩の可能性も高く

また、体に、傷も少なく

不意打ちの可能性が、非常に高かった

「それで、目撃者は」

皆、口をつぐむ

誰も、それに対して、情報を、得なかった


「ねえっ知っている

最近、怪鳥が、でて、人をさらっているらしいよ」

同級生が、雑誌でも見たのだろう

そんなことを言うが、本当なのかどうかは、分からない

最近ちまたで、ニュースになっている

高所殺人事件

今まで知られていないだけで、全国で、起きており

其れは一説には、シリアルキラーとも

また、どこかのカルト集団の儀式の生け贄なのではないかと、語られることもあるが

しかし、警察のニュースはあれど、一向に進展がないらしく

ここに三週間、同じような内容が、初日と対して変わらず、テレビやラジオで、流れている

そのセンセーショナルな内容に対して

終わりを迎えるかに思われた

其れは、一向に進展しない捜査に対して

警察の無能さを、指摘するような物へと代わり

また、その超常的な内容に、一部のオカルトが

盛り上がり

全国各地の怪異譚と混ぜ合わせながら

紹介するという番組や

深夜ラジオでは、おどろおどろしい内容の

ラジオドラマまで、放送された

それは一種

祭りのような、騒がしさであり

とれも、死者を悼むようなものには、思えなかった

死んだ人間は皆

ごく一般の人間であったが

しかし、一部の情報では

孤独だったのではといわれ

集団自殺を示唆しているが

しかし、場所も違えば、時間も違う

さらには、明から、他殺という現場から

誰かが、手をくわているのではと言う噂もあるが

要領を得ない


「えー、やって参りました

毎年恒例、オカルト世界一

今年は、今年の事件を中心に

これは、どうも現実的な事象ではない

そう、超常現象・オカルトなのではないか

そう考える

オカルト分野に精通している

奇人 変人 情報通の文化人のみなさんです」

ごてごて強い紫のサイリウムのような色合いの会場に

ズラリと、人間が並ぶが、

どこまでも胡散臭さが、あたりに巻き散らかされる

それをねらうように、カメラのレンズが

あたりを、なめるように流した後

ズームを広角に戻して、全体を映し出して止まる

「どうも、半世紀前の文化人

小鳥箱 サエコです よろしくお願いします

今年は、天候もよく 良い台風が、きそうな予感です」

皮肉混じりに、ロン毛の老人が、そういうが

歯が抜けているせいだろう

多少通り風のような内容を、確認できる

「先生、今年は、いろんな事件が、ありましたが

どのような事件に、強い思い入れが、オカルトとしてありますか」

先生と呼ばれた小鳥箱

は、口を開けると

「最近だとUMA研究家の際川邏君が

モズの早贄事件だと、騒いで

これは、サンダーバードだ

プテラノドンだ翼竜だと、言っているが

中でも、天狗だとも、いい加減なことを言っている

今のご時世、ただでさえ、オカルト否定が、進んでいるというのに

そんな、非現実的なことを、堂々というのは、非常に遺憾としがたい」

しかめっ面の老人の顔は、まるで、恐ろしい殺人者のようにも、写るが、言っていることは、比較的まともそうであった

「それでは、先生は、やはり、集団自殺や、シリアルキラー等の人間だと、お考えになっているんですか」

このメンバーの中にいれば、司会のアナウンサーも

それはそれで胡散臭く見え始める

「なにを言っている」

老人は、それを、泡をとばしながら一括すると

アナウンサーが、それを拭くのにも意を介さず

「これは、陰謀だ

宇宙人の洗脳に違いない

これは、

去年月の裏側から発見された

タイムレコーダーだが」

そのような、内容のニュースが流れたことを

この会場にいる誰も知らない

「そこには、驚くべきことがかかれていた」

一人の出演者が

「それは何ですか」と聞くが

「重要すぎて、命をねらわれる

ここで言うわけにはいかない」

と、また一括される

「宇宙人は、人間の知能を、いじくっている

そして、自ら、宇宙から見えやすい位置に、位置に移動して

殺されるのだ」

とんでもない内容に、誰も口を開かないと思われた

しかし

「先生、先ほど、プテラノドンは、居ないとおっしゃいまあしたが、しかし

現に、写真に撮っている人間だって居るんですよ

東京タワー 電信柱

その二つは、とうてい人間が行うには、不自然すぎます

どういう理由があって、そんなことをするんですか

しかしですよ、ネットでは、この事を

モズの早贄に、ならって、狩りで得た獲物を

枝などに刺して乾燥させて、非常食にしようとする

行動と、酷似している

また、全国に、流布している天狗伝説と、酷似していることから、これは、現代天狗伝説ともいえるような

超常現象の一つの事象なのではないでしょうか

先生、人の論を、否定しておいて、宇宙人の

洗脳というのは、いかがなものでしょうか

論というものは、可能性というものは

それがあるから、実証しようとも考えるんです

ないものは、証明できません

し、宇宙は宇宙人で、十分、被害者の方への配慮が足りないと考えるべきです、それこそ、オカルトが、危ない宗教と同じだという世間一般的な考えを肯定しかねない」

際川邏氏の小太りな口調に対し

「なにをぉー」と小鳥箱が、威圧しているが

しかし、それに、冷徹に分け入るように

「まあ、世の中には、あることしか起こりえない

と言う話があります」

と、めがねの奥で、糸のようなつり目をした

タレントの竜谷が、言う

昔、クイズ番組で、全国を飛び回っていた事に

記憶している

「どう言うことでしょうか」

アナウンサーのと言うに対して

「たとえば」と返す

「たとえば、あなたは、1+1を、知っている

だからこそ、1も知っている

+も知っている

駅で使うパスのタスモも、知らなければ使えない

しかし、知っていれば、使うことができる

よく言うじゃないですが、有名人が、自殺すると、それの後追い自殺が、増えると

だから、そういうことは、報道するべきではないと

それは、残酷な殺人だってそうです

いじめだってそうかもしれません

映画でたばこを見ることで、青少年が、それを真似する

ように」

つまり、アナウンサーが、聞く

「つまり、今回の事件は、この事件を起こしたのをみた

模倣犯の可能性が、あるんじゃないでしょうかね

もちろんオカルトではなく

現実として」

オカルトをバカにするなー

とか

オカルトとはなんだオカルトとは

と言うヤジをむしする形でさらに続ける

「幽霊見たり枯れ尾花」有名な言葉です

暗闇の中で、草木が、幽霊に見える

目の錯覚と心情と知識の問題です

しかし、宗教にしろなににしろ

別のものに、見えるときがある

そして、それを、追随

しているうちに、それは到底

一人のものではなく

異様に、進化するものです

ここが、技術と

伝承の多少なりとも、違うところでしょう

はじめは、ただの事故であっても

それがまるで、誰かがやったように見えた

犯人が、それを、模倣する

飛躍していますが

そんなことがあったのかもしれませんし

なにもなかったのかもしれません」

小鳥箱が叫ぶ

「いや、宇宙人だ

それ以外に、あんなよくわからないことが説明、出来ん

それに何だ、あったかもしれないし、なかったかもしれないなんて

どっちだ、はっきりしろ いい加減な

それこそ、混乱を招くんじゃないか

チェーンメールみたいに」

「えー、盛り上がってきたところで、今月、入ってきた アイスランドとカメルーンのUFOの最新映像です

どうぞQ」

画面が切り替わり

大人たちの喧噪とは別に、画質の荒い

映像が、映し出され

画面の上には、日付が、別の刻印されている

テロップには、アイスランドとかかれているから

最初に言ったとおりの順番で映像が、流されているのだろう

しばらくすると、映像をとっていると思わしき人間と周りの人間の声が聞こえる

騒いでいるようであり

翻訳された言葉がテロップで流れる

「おい、あれを見て見ろよ なんだ」

男の声に変わり若い女の声が入る

「わからない、でも近づいているようよ」

「来た、すごい早さで、動いている

右左右」

「どんどん近づいてきているようだわ」

「そんなっ、信じられない」

UFOらしき

未確認飛行物体は、なんと、カメラにぶつかるようにして

それは、突如消えた

「アンビリーバボー ジーザス」

叫びが聞こえるが

辺りを見回しても

カメラにその光景はない

CGもさることながら

寒い国で、そういうものが写るのは、珍しい

たいてい、南米とかのような、気がするが・・・・


「えー、今朝形

風光明媚な港のクレーンに、一人のご遺体が、発見されました

頭部はかち割られ

皮膚は、裂かれ

内蔵も、細切れにされたように、下に散らばっておりました

ニュースでは、放送しておりませんが

我々、独自ニュースは、事の真相に、迫っていきたいと考えています

ではまず、地元の関係者の方に、伺った、VTRを、ごらん頂こうと思います

「それではまず、発見した経緯について、お聞かせ願えますか」

顔は映されておらず

tシャツが、画面の大半に、出ている

「ああ、金がでるなら良いけどさ

それで、五万だっけ

酒も出してくれよ」

「まあ、良いですけど二千円までですよ」

ああ、とtシャツは、答える

「あさ、漁港に、行くと、何か何時もとつがうんだよ

確かに、生臭いのは、いつものことだが

妙に、違う

それに、やけに、カモメが、やかましい

それでも、辺りを見回しても、さして、何時もと違いも

わからない

事が起きたのは、朝一番

漁港に、船が、戻ってきたときだよ

クレーンで、魚のかごを、持ち上げようとしたとき

何かが降ってきた

最初はそれが、本当に何か、わからなくて

魚か何かかと、考えたんだが

フロントガラスに、当たったそれが、真っ赤でさ

何か、汚れている

おかしいと思ったんだが

ワイパーでこすると、酷い

仕方なく、辺りを見回したんだが

なにもない

と、思ったんだが、周りが騒ぎ始めている

そこで、何となく上を見たんだ

すると、クレーンの天辺に

何かが、ぶら下がっている

それで、それが人だと思った時には、また落ちて来たんだ」

「来たというのは」

ナレーターの声がする

「もちろん人だよ

ぼろぼろで、何かに裂かれたようだった

あと、裸だったな

体からして、女だったんだろうが

すぐにブルーシートがかけられて

あわただしく警察が来たんだ

あんたに言われて、ようやくそれが、最近ニュースになっているだろ

あれだと思ったんだが

はじめ見たときは、あれが、それだとは思わなかった」

「何か、事件前に、不振なことはありましたか」

男は首を振ったのだろうか

「いいや、何時も通り

さして、変わりはなかった

漁の魚が増えるわけでも、経るわけでもないし

もちろん、不審者を見たというような、目撃情報も

少なくとも、俺は聞いていないし見ても居ない

ただ、信じられるか」

「なにがです」

「本当に、こんな、実際に、目の前で、

ちまたをにぎわせている、殺人事件だっけ

それが起きるなんて、信じられん」


「いかがでしょうか、これが、目撃者の彼にかいてもらった図です

体の皮膚の至る所に、縦に、線が、裂かれており

あたりには、内蔵が、散らばっていたと言うことですが

実に不可思議です

事件の、殺害方法

または、遺体の損壊方法が、まるで、怨念のように

どんどん過激に、執拗に、なってきているようです

この事件の残忍性

早く警察が、事件を、解き明かすことを願います

何か情報がある方は当 独自チャンネル宛に

メール 電話を、承ってしますので

どしどし応募ください

重要だと思われる方には

謝礼金をお支払いいたします

良いものには、五万

それ以外でも

採用されれば、一万円贈呈します

どしどしお願いいたします

ただいまの放送は、独自チャンネル 主張実録地元まで行ってインタビュー取材のコーナーでした」

事件が発覚してすぐ、

嘘のニュース番組で、このような、映像が、配信されたが、問題は、それが嘘ではなく

本当に、見た人間が、それを、話したことにあった

はじめ、フェイクニュース チャンネル

が、放映したこともあって、他の民法も、同様なものを流しても、嘘だと考えられたようだが

その意見も、その数が、多いのと

警察の会見として、しっかりしたものが出来たせいで

いよいよと、混沌を極めることになり

独自チャンネルは、その動画を、削除するまでに至った

嘘の中に本当を混ぜられても

それが本当だとは気づかない

希な例だろうか

それとも、うそつきは本当をいっても、信じてもらえないと言う例であろうか

イソップ童話の狼少年は、別の意味合いで作られたと言うが

世論は、それを、恐怖し始めた

まるで、流行病か死神が、そこにいるように考え始めている

一度かかるだけでも、見るだけでも死んでしまう

それは、明らかな恐怖であり


「ねえ、知ってる プテラさんに、捕まらないようにするには、鳥のおもちゃを持っていればいいらしいよ

そうすれば、仲間だと思って、捕まらないんだって」

と、小学生の間に、様々な噂が流布し

学生は、各自

中高生であっても、防犯ベルが、支給された

犯行は、皆、深夜であったが

しかし、

夜間に出歩かないことはもちろん

部活動の短縮化も、求められた

それは、学生だけではない

大人にしても、自主規制を、考えるものもいれば、蚊帳の外だと、普段通りの経済活動をするものも居た

国の方針は、気をつけること

そして、警察による

いち早い事件解決に、重点が絞られ

その頃になり、全国で、類似のある事件が、早急に調べられ

山林の杉の木の上で、発見された

遺骨の事件が、明るみに出たのだ

しかし、その事件が発生した場所

は、てんでバラバラで

犯行動機 行動も、今一つ掴みかねている

その結果、メディア露出は、減り

目下、捜査中という見出しばかりが、乗り

それは何時しか、事件の発生の低下と同時に

小さく縮小していく

一部では、単に同じような、事が続いただけで

関連性はなかったんじゃないかと

言われ始めていた

しかし、実際には、全く逆で、違っていた

それは、今スタンスに、様々な地方で、行われており

地元住人が、発見した場合、箝口令が、引かれ

事件のことは、しゃべらないようにとお触れが出、

パトロール中の警察が見つけた場合

速やかな撤去と、黙秘が、行われた

それ故に、事件は、積み重なれど、それを、一般人は、目撃者以外に、見いだすことは出来ずにいた

中には、それを破り、告発しようとするものも居たが

すぐに警察に、消され

さらには、捜査を、攪乱するおそれがあるとし

刑罰を受けることになるものも居た

しかし、それとは関係なく

事件は、継続している


その遺体は、教会の屋根に、串刺しになっていた

発見したのは、牧師であり

皮が、すべて、ずたぼろに、剥かれ

屋根に張り付いていた

顔面はつぶされており

そのほかに、確認出来るものは、発見できなかった

付近に失踪者は、おらず、目下確認中であり

性別 女 五十から六十代と思われる

辺りに不審者などを、発見できず

遺留品も同様であった

今回に関しても、そのほかの事件との関連性を、見いだすことは出来ても、それが事件につながる糸口とは、ならなかった



②風光明媚な、ホテルの屋上に、その遺体は、放置されていた

避雷針のような電波機に、それは、突き刺さっていたのである

皮は、はがれ、肉までが、垂れ下がるように、鉄の上に、落ちていた

血は、破壊された切断面から漏れるように、血だまりになり

到底、それが、誰なのか、外見から判断できるような状況ではなかった

衣服無く

それが発見されたのは、屋上に補されていた

シーツの回収時に

やけに、鳶の声が多いことに気がついたのが、発端であった

すぐさま警察が、その遺体の検証 回収を、行い

ホテル側も、知られることなく

穏閉されることが、比較的容易であった

従業員以外

そこにはいることは、出来ないように、看板が立てかけられているだけであり

実質は、屋上の扉に、鍵はかけられていない

ホテル内に、監視カメラの類はなく

従業員も、宿泊客以外の人間

もしくは、宿泊客の中で、怪しいものはいなかったかと、

訪ねたが、不明

一人一人、客に、荷物検査を実施したが

みな、旅行客と言っていいような

荷物しか所有していなかった


その頃になり、これは、個人の犯行ではなく

組織的犯行なのではないかと

思案されたが

しかし、どんな組織が、関わっているのか

公安もマークしていなかったし

浮かび上がらなかった

それは、どの組織も、その事件現場に、その信者や組織の人間が、立ち入った痕跡もなく

そしてなおかつ、生け贄などを、こうも、大々的に行う理由が、生け贄であれば、検討が、つかなかった

時を同じくして、警察は、全国の至る所に

防犯カメラの設置を、開始し始めた

しかし、それに比例した、捜査は、あまり当てにならず

ただ、違法スピードを、出す車の検挙率だけが

上がり

逆に、国民から不信がられていた



「それでは、あなたが、今回の事件を、行ったんですか」

アナウンサーの前に、電話が置かれ

ボイスチェンジャーのような音声が、画面越しに、視聴者の前に流れた

「ああ、そうだ」

アナウンサーは訪ねる

「あたしは、安斉通と申します

あなたのことはなんと呼べば良いでしょうか」

相手は、答えない

「では、あなたの犯行動機を、お教え願えますか」

相手は、答えない

「なぜ、今回のインタビューを、受けようと、考えたのでしょうか」

相手は、答え無いどころか

電話が切れたようだ


「また、違ったのかもしれない」

テレビ局では、そのようなことを、つぶやく男達が

数人、そんなことを言う

今月で、三十人目だ

自分が犯行を起こしたと言う人間は

しかし、どうも的を得なかったり

危ういことが多い

どれかを信用することも危なく

結局使えるものはないと

判断されている

それに、警察からの圧力で

この事件に関する報道の、縮小を

お願いされ

うまいこと、出来ずにいた

つまり、これは、事件が終わった後

放映できればいいと言う類のものなのである

その中に、本当の犯人がいれば、吉

居なくても、犯人と言い張る人間の素材となるだろう

テレビ局に、一本の電話が、鳴り響く

それは、局内の人間であり

また、死体が、あがったという

結局、放映できないが

二、三人の取材班を、向かわせることにした

結局、大っぴらに出来るものではない

あくまで、変装させ、一般人を、装わせながらの

取材になるだろう

少なくとも、このテレビ局の名前を出すわけには行かない


空を覆う

黒い影

まるで、肉塊か

さいころステーキのように、破壊され尽くされた

遺体は、鉄塔に、ばらまかれている

鳥達は、それを囲み、黒い影を、うごめかしている

人々は、空を見上げる

その小さな虫のような

鳥の中に、一匹

非常に大きな

鳥を見つけたが

それも、黒い影に飲まれ

遺体を、包み隠した

この事件の真相は、わからず

ただ、全国で、鳥柱が、見受けられるようになった

黒いカラスが

踊るように、空を横にずらすように

今日もビルでは、鳥が踊っている


「鳥葬なんじゃないでしょうか」

白い骨が転がる下で、一人の若い男が、腕に敏捷を巻いている先輩刑事に言う

「ああ、そんな、古くさいことを、現代の人間がするのか」

後輩は、今でも世界には、そのような風習が残っているという

火を使わず

そして、自然のサイクルに、戻るのだ

そうなれば、エコだと

先輩は言う

「おいおい、今この日本にどれだけ死者が居ると思っているんだ

それらすべてを、分解するのに」

頭上に、大きな影が映る

はじめは、雲が日を隠したのかと思ったが

見上げたとき

そこには




長い歴史の中で、それは、ぐるぐると回り続け

意味の分からない回答を、続けている

私は、意識を保とうとするが、それに対しての、回答は、遠く及ばず

私の意識下に、沈み込み、到底、私を、建現

させることなど、不可能のように思われたし

実際それは、非常に困難なように、感じられた

私は、秒針のように、動き続ける

エンジンを、見ながら

一人、文字を眺めていた


教室で、いつものように、私は、携帯を、操作している、実に無意味なことである

しかし、これをやらないことには、どうしようもなく

それは一種の洗脳とも、禁断症状とも

また、マラソンをしている人間が、なにがあろうと、走らずには居られない

それに近いのかもしれない

しかし、それはなに、において、健全なのか、私にはさっぱり、わからず

逆に視力と、時間の無駄に思う

常日頃の現実である

教室内は、まるで、ゼンマイ人形のように

同じような奴が、同じようなことを繰り返している

その中で、私は、毎日のように、携帯のゲームをしているのだから、仕方が、無い

教室のホームルームを始めるために

担任の傘居が、黒い板を持って、教室に入ってきた

まだ時間には、15分ほどある

何時も通りであれば、自分の机に行くと

窓辺に置かれた

九十はあろうかという

水槽の竜金に、餌や、メンテナンスを、施す

もし、地震でもあったら、まず間違いなく

奴の水槽は、大災害を、洪水と言う形で

一杯一杯まで、入れられた水槽が、水をこぼすのは、目に見えている

水槽の中の竜金は、教師の姿を、なににおいて、確認しているのかは、不明だが

その頭の良さそうな、体を、教師に寄せ

赤い長い鱗を、ひらつかせている

「おはよう」

前の席で、声がする

振り返ると髪の長い女が、立っている

自分の席の真ん前で、実に律儀なものである

私は軽く、手を挙げると、彼女は席に着いた

時刻は、ホームルームまで、後五分を、切ろうとしている

最終とばかりに、あわただしく、生徒が、教室内に、乱入している

しかし、教師の視線は、水槽の赤い長身であり

それは、ちゃぷんと、水音を立て

餌をねだるように、跳ねるのだった

ペットボトルが置かれたふたから、手をどけると

チャイムが鳴る

私は、携帯をしまうと、前に向く

「規律」

「礼」

誰かの声がする

日直だろうが、黒板の部分が見えない

「えー、今日は、特になし

夕方は、雨だから、気をつけるように

およそ、四時頃から

五時頃までだ

以上」

教師は、実に、自分勝手なことを、話して、席に戻る

そして、その目線の先は、生徒ではなく、水槽を、さまよっている

我々は、時間が短縮されたと

本を読むもの

話し始めるものもいるが

時間は短い

先ほど途中までクリアーした、画面を、引き出し方引っ張り出すと

私は、膝に抱えるように

電源入れると

提示される

「近くで、対戦相手が見つかりました」

私は、ウィンドーの上画面に、そんな文字が表示され

そこに指を入れると

初心者のようであった

私は何となく、それを、クリックして、対戦を、許容すると

驚くことに、難しいで、有名な

ノビチョフ使いであった

一体こんな授業の切れ間に、

誰が、ゲームをしているのか

そんな意見もあるが

ほんの十歩分ばかり

私は、頭を回転することにする

バトルの場合

スタミナ等が、すべて、同等になり

結果的に、強い弱いは、技術に依存することになる

そして問題なのは、ある程度、熟練しても

それはせいぜい、色違いの程度問題

エフェクトだけであり

実質的な、違いは、オセロよりも限りなく少ない

その煙のような、物体が、画面に映るが

あいにく、私は、パンジャンドラム派である

私が動き始めれば、私自体それを予測できるかどうかわからない兵器と、世間一般では言われているが

この、突撃自爆兵器は、太鼓の堤みたいな格好をしており

経路が予測不可能に見えるが

しかし、それはゲーム

ある程度、絞ることは、十二分に可能であり

そして、その爆発威力は、原子力には、遠く及ばないが

そう、そのはずであるが

この、ゲーム内で

ある一定の、人気があり、そこそこ、高い

ノビチョフという

対人戦最強の毒を、有していても

先ほどから「フエフエ」と鳴いている

パンジャンドラムの前に

それはかなり無謀な自爆特攻といえる

何せ、ふれた瞬間に、終わりのようなものだ

その進行方向さえ難しく

そして、それがどこに行くかもわからず

しくじっても、そこにぶち当たるのであれば、どちらに転んでも、私には文字通り、うまみしかない

これはまさしく初心者

最初に当たったものを、何時までも大事にしてしまう

私のパンジャンドラムも

ネタ扱いされながら

今まで使っている意味でもある

私は、ガンガン攻めろと

パンジャンドラムに、そう指示すると

猛烈に、スピードを上げて

その車体は、動き始めた

かくして、相手はと言うと

もはや、その姿は、毒ガスらしく

どこにも見えない

これは、私の誤算である

相手は、初心者かと思ったが

どうやら、先方を熟知しているらしかった

なぜなら、毒属性は、後遺症 大量殺傷 無味無臭

目視不可

と、一見、最強キャラに見えるが

しかし、その日人道的な行いから

限りなく、ダークなほどの行動制限が、もうけられており

それは、その足かせが、解禁されない限り

あまり、堂々と行動できない

そう、一点を残しては

その一点とはつまり

読んで字の如く

一点集中

もしくは、行動しないとも言える

それは、毒属性の特性

制限により行動が、遅いと言うものがある

そして、それは時として、私の

自爆特攻と言うパンジャンドラムに対して、何よりも恐ろしい対策となる

何せ、パンジャンドラムは、走る爆弾つまりは、

その後、行動不可能時間が長く

その後にゆっくり調理されることが多分にして多い

それ故に、HPや、攻撃に、その割り振りを、大きく

裂くか

または、スピード重視で、逃げられないようにするかなど

色物感しか存在しない

そのような、ものに対して、冷静に、対抗してくる辺り

もしかすると、わざと、アカウントレベルをあげずに

私を油断させた可能性は

画面の中で「きゅうきゅう」

と毒で苦しむパンジャンドラムの声がしている

さすがに猛毒か

恐ろしい奴、だれだ、だれがこんなことを

教室を見渡すと、入り口で、国語担任

が、その手をドアノブにかけている

近くで、「YUO win」

と言う外国語が聞こえる

それは聞き慣れた言葉や音質であり

少なくとも、英語の授業で発音するようなものでも予習でもない

つまり、日常会話で誰かが話したのではなく

私の画面から

しかし、どうやって勝ったのか

そこで私は、音量を示している

スピーカーマークに、縦線が入れられて

音が出ていないことを示している

なおかつ、画面には「YOU loss」と表示されている

なに

誰だ、誰か近くに

私は、電源を、落としながら

うつむいている

前の席の奴の

目をやったが

「えーでは

古文の前に

現代崩し字の予習を

野口」

教師が、そういって白いチョークを手に持った


帰宅途中

私は、銀色の靴を、地面に、踏みつけながら

考える

至ってふつうだ

下手なはきかたをすると

もしかしたら、靴ズレするくらいには、ふつうだ

ごく

もし、妙な箇所があるとすれば

それは、あの老婆が、私の靴のサイズを、見ずに

ぴたりを、当てたことが、渡された箱の中の靴から、想像できるが、やれないことは、無いだろう

なぜなら、靴の大きさを、靴の後ろのタグ

または、目方で、はかることも可能かもしれない

床の模様の大きさをあらかじめはかっておかけば、大体が、想像が付く

そして、それを確認した後に

そのサイズの、靴を、箱に入れて渡すだけだ

たいしたものではない

しかし、問題は、それ以降にあると言えるのかもしれない

その要点としては

あの金持ちの一連の話だ

あの財閥曰く

それを、正しいと、認めるのであれば、

この靴や、それ以外に配られている靴は、妙なもの

と言うものらしい

それは、宇宙人が、渡したような

妙竹林極まりない

白銀と名乗った、まだみずも知らない

相手が、何の能力が、付与されていたのか

いや、機械か

それが何なのかは、知らない

しかし、私は、まだ、この靴が

何か良く分からない、靴とは思えないことを起こしたことを、未だかつて見たことが、存在しない

現に、こうして、普通に、通学路で、不用心かも知れないが

学校に、持ってきて、歩いているが、誰か興味を引くような

時代でもないらしく

絡まれることはおろか

興味を示すものさえ居ない

それは、内外同様である

私は、昨日の今日であったが

またゲームセンターに、向かおうと歩いている

突然能力が、発動するかも知れないが

しかし、少年漫画的に言えば、血も滲むような努力か

それとも、辺りが、凄惨な戦争のような、暴力を前に

怒りやその他 覚醒によると言う

一種、洗脳状態により

覚醒するという

異常なものが、必要なのかとも考えたが

白銀曰く、その言葉を信じれば

普通に、おかしいというのだから、おかしいのだろう

試しにジャンプしてみるが

ジャンプ以外それ以上でもそれ以下な事象でもなく

それは、オリンピック選手のような、飛距離があるわけでもなく

また、空中が、無重力化するようなこともなく

ただ落下する

白銀曰く

そのような能力か

また、靴という概念とあまり関係ないような

GPSにも似た能力や

ただただ、スピード特化形などがあるという

靴だと言っても、靴以上のことがないものもまた

多いのかも知れないと言う

私が、商店街の中のゲームセンターの入り口を、目視したとき

頭上に、花火が鳴り響く

白い煙幕が、ぽんぽんと、煙を球体上に、上がり

一体誰が、こんな夕方に、そんなものを、打ち上げたのか、景気のいいものだ

もっと、山の方に行けば、田圃で、花火のため仕打ちでもしていそうなものであるが

しかし、こんな町中では、それは、試しではなく

実地であろう

しかし今日何か、あっただろうか、そう頭をひねったところで

私に、何か思い当たるような箇所はなく

ただ、騒音鳴り響く、箇所は雷のようにも見えたが

火花が散ることはなく

やはり、普通の煙だけだろう

しかし、何か始まるのだろうか

そう思った矢先

滅多に鳴る事のない

商店街の

さび付いた白いスピーカーが

がなり声を、あげた

久しぶりである

「えー、本日はお日柄も良く

絶好の鬼ごっこ日より

かと存じます

しかし、今日 皆様方に、お集まりになっていただきますのは

ひとえに、単純な、簡単な

競争を、していただくためにございます

小難しく考えず

ただスピードを

ただ、体力を

ただ、身体管理を

示していただくために

向こうの山

三日月山の鉄塔に一番に、タッチしたものを

今回の勝者とし10ポイント

贈呈差し上げいたします

どうぞ、銀色のスニーカーを受け取った

鬼ごっこ参加者は、こぞって、ご参加ください

開始は、午後七時

今夜、開催です

お忘れ無きよう

ご確認の程を」

私は、腕時計を、見ると

六時を回っている

そう考えると

何時もと客層が・・・

わからん

そう思えば、そう見えなくもないが

しかし、しかし

ああ、そう思って、私は、地面に、視線を向けると

そこには、ごく普通の靴 靴 靴

一足たりとて、ただでさえ、少ない

客の中に、そんな、派手な、お祭りにいく子どものような靴を履いた人間なんて、見あたらない

この音声を、聞く限り

何か、商店街の一世一代の出し物に

乗せられているだけ何じゃないだろうかと

そう思いかねないが

しかし、分からない

本気とは、分からないものだ

時間がくるまで、ゲームセンターで、時間でもつぶそうかと考えて、ふと足を止めた

一体、どこで、何時から開催されるのか

開催は、午後七時のようなことを言っていたが

つまりは、集合は、七時

じゃあ、スタート

つまりは、開始は何時からだ

と言うか、一番重要なことを、先ほどの繰り返される

アナウンスは、表示していない

つまり、開催時よりも

開催場所が、一体どこか、言っていないではないか

スピーカーが、商店街以外に、町内までつながっていたら、事は事だが

しかし、これが、商店が内だけだというのであれば、

そうなれば、商店街で、開催されるわけだろうが

しかし、寂れていても、商店街は、商店街

そう狭くはない

離れ小島のように、

アーケードが、ばらけたり

少々離れた場所にも店はあり

そこも一応は、商店街となっている

じゃあ、どこだ

噴水前か

アーケード前か

そんな場所に、スタート場所にされたら

じゃまで仕方がない

隠居連中が

抗議してもおかしくはないだろう

いや、超宇宙の技術力があれば、人間の記憶なんぞ

生まれた頃から家族の記憶まで、ごまかして、それが認識できない程度の改造はちょちょいのちょいかもしれない

しかし、問題点は、開催場所だ

そして、これが、参加者全員に、聞かされているかという点も不明である

商店街のスピーカーから流れていたが

これはいわゆる

聞いていた人間だけが、特別に参加できる

ラッキーな、イベントなのか

それとも、皆が皆

超宇宙的な何かで知っているのか

いや、そうなると、怪しくなってくる

道順にしても、分からないではないか

まさか、自由にスタートして自由にいけと

そうなれば、それこそ、天辺付近の鉄塔に、今から行って、スタートと同時に、さわれば、そいつが一番ではないか

そうか、これは、体力勝負に見せかけた

ただのとんちでは

そう思いながら

ゲーセンの冷気を求め

自動ドアの前に立ったとき

扉が開き

中の暗い光景が、目に入る

そこには、なにやら、誕生会のような、白い垂れ幕が

部屋に流れ

そこに「第36回 鬼ごっこ杯 10キロマラソン」

と、いやに、歴史あるヨレ加減の布にも字が書かれ

マラソン姿とも言える

服装や、普段ここではみない人間

そして、こんな場所にさえ顔を出さないような

自分よりもさらに深いゲーマーのような、顔をした人間が、ゲームをやることもなく

狂態のイスに座り

盛況とは、真逆の雰囲気を、醸し出していた


「えー、今からお配りするサングラスを、かけていただきますと

蛍光発光したような、目印が、山の頂上まで続いています

このコースを、明らかに、道をそれ、逸脱してゴールしますと

その時点で、失格となりますので、お気をつけください」

黒服という

あまりにも、あんまりな格好の男達が

白い箱を、配っている

近くにゴミ箱があるから、捨てろと言うことだろうが、もったいない限りである

周りの人間は、其れを、手に持ったまま捨てるもの

開けるもの

被るもの

そして、私のように、捨てたものを、取って売ってみようと考える者が居たが

しかし、すぐに、アナウンスで

「この

眼鏡は、使用後、普通の百均クラスの眼鏡に、変化しますので、あしからず」

と言う声を聞き

手を戻した者から、もらったりした

会場内に、入った私は、その居心地の悪い空間の中で、足下に、目をやると

白い靴を、はいた人間が、ごまんと居る

数えただけで

十人

あの老婆は、一体、どの程度、参加者を、集めたのだろうか

しかし、其れはブラックボックスのように分からない

もしかしたら、先ほどの自分のように

全く知らないところで

何か、広告が、出ているのかも知れないが

しかし、知らない物は、知りようがない

白銀であれば、知っていても、おかしくはないが

しかし、知っていたとしても、私にやりようはない

「あのー」

私は、声に、驚き

後ろを向く

そこには、小さな影に、おかっぱ頭の

幼稚園児に見まおうが

しかし、ランドセルだから、小学生だろう

コスプレでなければだが

「何か」

私は、そこで、これは、実は、マラソン大会と、かこつけた

室内による

大乱騒の血みどろ会場か何かなのではないだろうか

そう、考えると、そのくりくりとした

小学生のみが危ない

小学生が、バカだとは言わないが

大人のバカさ加減を、分かっては居ない

「大丈夫ですよ」

彼は、驚いたような私の仕草を、瞬時に、その洞察力で見抜いたように

手を指す

そのつきだした人差し指で、私を、殺そうとするのではなく

どうやら、張り紙を指しているようだ

それで、振り返った隙に、タッチしてくるようなこともなく

そこには、店内乱闘禁止の文字

しかも、その制作者がどうやら、この靴の制作者のようである

つまり、ここでは、そう言うことをしない方が良さそうだ

「それで、何か」

私は、そう聞くと

彼は、口を開く

「あなた、参加するんですか」

私は、うんともすんとも言わない

「いや、君は、どうしてこれを知ったんだ」

私が、答えにも成らない返事の後

彼に聞くと

彼は、ランドセルから、一枚の紙を取り出し

そこには、紙に、地図

そして、開催場所

ルートが、記載されている

これは、ずるではないか

そう思ったが

彼は、鋭い洞察力だろう

机に置かれた

分厚い紙の束

そこには、ルートが書かれている

いくら時代は進めど

紙より勝ることもないか

そう、考えると

この紙は、皆に配られているようだが

私は、その紙を見ていないのは、なぜだろう

「鞄にでも入っているんじゃないですか」

そう言われ探ると

確かに、丸められたように、紙が入っている

なんと不親切な

紙なんて見るわけが無いじゃないか

これでも、超宇宙能力の結集した知能か

バカなんじゃないのか

「それで、話なんですが、このゲームどう思います

もちろん、このマラソン大会も、ですが

それよりも、この鬼ごっこ自体です」

僕は、首を傾げる

「ちなみに君は」

少年は、胸を張って、うなずく

「もちろんでないですよ

走るなんてダサすぎます

いなかですか」

僕は、いい知れない怒りから、殴ってやろうとしたが

そんな昔の暴挙

私の次の世代くらいにお願いしよう

「君は何のために、来たんだい」

少年は

「もちろん、情報収集ですよ

こんな、非科学的 現実的なことが、起きて良いはずがない

もしかしたら、これは、夢かも知れない」

私は、其れなんて、小説

と、言いたくなったが

「僕は、これまでの事象を、ネットで話したんですが

そうしたら」

そうしたら

「そうしたらですね、其れなんて小説

って、あなたみたいな、馬鹿げがた事を言う

人間が、幾人も、出てきまして

仕方なく、証拠集めを始めたんです

残念ながら、先駆者が居ませんから

一からの収集です」

私は、情報収集の基本は、あるかとも思ったし

其れながら白銀が、居るような気もしたが

其れは、夏休みに芽生える

小学生の自立心への阻害を考え

言わないで置こうとも考えたが

「白銀って誰です」と言われ

疑問に思う

「しかし、君、君は先ほどから

僕の言動を、まるで、心の中を見透かしたように

名探偵か心理学者のように、見透かすけど

何かい

僕の動作は、それほど、雄弁に、物語っているというのかい」

僕の言葉に対して

「いえ、能力ですよ、この難解な靴の性能です」

彼は、そう言って、同じ、全く同じ柄の靴を、見せた


大会が、始まって、三分ほど

なにやら、運動を、始める者や

棒立ちの者

辺りを見回す者を見ると

一般人、なんだなと言う感じがする

周りに、観客はおらず

恐ろしいまでの閑散さだ

これも、超宇宙的

そう思おうとしたとき

背後で、同じような、声を聞いた

それも「超宇宙的し・・」

と、聞こえ

振り返ると

路地裏のようなところから

人々に、写真を撮っている

陰気な小学生が居た

「何だ、著作権侵害だぞ」

僕は笑って言ったが

「じゃあ、訴えてみろよ」

と言う、発言で、無視することに決めた

「しかし、お前は、本当に出ないのか」

私は、そう言うが

「当たり前ですよ、あくせく

汗を、かくよりも

僕は、文字でも書いて、脳の皺を

服の皺よりも靴の皺よりも

一本でも多く刻みますよ」

僕は、動作の中の複雑さは

時として、脳細胞よりも複雑なのではと思うことを

さておいて

「しかし、不摂生は、どうなんだ

体に、刻まれた繰り返しは、固定概念を、超越するんだぞ」

いりませんよ、そんな超展開ださいです

証拠を見せてください」

証拠とは何か、私は、芸術は、知能かと考えながら

運動を開始する

普段、軽く、走る程度であるが

しかし、負ける気はしない

そう、私は、帰宅部

学校から、逃げることに特化した

逃亡者だ

足腰には、自信がある

「何言ってるんですか 脱落者何じゃないですか」

言ってろ小学生

軽い、挨拶が、黒服により行われる

こう言うとき、お偉い方が、来るものではないのだろうか

そう思ったが

そんなこともなく

表彰台のような、鉄の一メートル近い網の台に上がる男は、ルールを、一通り説明すると

お日柄も良くなどは、言わず

もちろん、辺りは暗い

そう言えば小学生は、帰らないのだろうか

「実況中継されているらしいですよ」と

小生意気に、携帯を、取り出すと

画面を見せる

そこには、LIVEと言う、小さな赤い文字が、上斜め左に、掲載され

その画面の中には、参加者の姿

皆顔にモザイクがかかっている

超技術

そして、見たこともない

ワイプの中の人物が、二人

実況しているようであった

「こいつらは誰だ」

私が言うが

イヤホンをつけた小学生は

「それじゃあ、僕は情報収集も集まったことですし

帰ります

映像も、取っていますし

居るんでしたら、送りますよ」

と、彼が言うので、メールを、交換する

辺りは、ざわめきはじめ

少年は、「ジャっ」と

片手を残して

人混みの後ろ

路地裏に消えていく

なんだあれは

背後で「小学生ですが何か」と聞こえていたような気もするが

其れは人混みのあややだろう

が、不明りょである

スタートまで、残り五分

久しぶりに、緊張している

スタート場所に関しては

この狭い商店街のアーケードの入り口

そこに、横一列

並べれば十人ほど

其れが、十列だから、かなりの物だ

しかし、そこら辺は、名前により、呼ばれるらしい

それ故に、前の方から、並べさせられている

運動を、している物も少数になってきた

何順かときくと

はやいもんじゅんだと言うのだから、恐ろしい

ざっとみたと見たところで、私は、ゲームセンターの内部にいた人間の

大半が、大会に、出場していないことに気が付いた

其れは、少年のように、情報収集が、肝だったのだろう

後は、筋肉の付き方

その、動き方から、走っているようだなと思う人間が

少し居る

どちらにしても、10キロは、長い

私の名前が呼ばれ

最後の方に、並べさせられる

もちろん、後から来た人間も数人居る

会社帰りだとか

そう思える人間も

黒服が、またあの台に行く

しかし、その手には、黒いピストルでも銀色でもない

その手には、巨大な、筒が、台の下に、設置されており

「位置について」

そんな声とともに

最後の方は、わずかにしか聞こえなかった

「ヨーイ」

その声を、かき消すように

男が、ひもを、引くと

筒の内部より

火の気があがり

驚くべき事に

アーケードを、ぶち当たると

まるで、其れが、瞬時に、点灯したように

天井一面に、花火が飛び散り

火事のように、広がったが

その色とりどりの色は静まり

天井を、通り抜けた爆煙は、頭上で、巨音をまき散らしながら

開催を、説明した


「ルール

三日月山の鉄塔までの

およそ10キロを、走る

ゴールは、鉄塔を、触ったものとする

眼鏡をかけるとルートが表示され

ルート以外の走行は、失格とする

ルートをはずれても、外れた位置からであれば

セーフとする

車等の乗り物は禁止とする

なお 靴の装着は許容される」


轟音鳴り響くスタートから

すぐに混乱する事になる

つまり、大乱闘が始まったのだ

それは、接触と言っても良い

密になった人間が

相手を、捕まえ始めたのだ

其れは、阿鼻叫喚

人が消えていく光景は、恐怖としか言いようがない

私は、逃げる

事にしたいが

しかし、驚くべき事に、コース外に

出られない

先ほどの説明では、コース外に出た物は失格

と言うようなことを言っていたがこれは、

それ以上というか

そう言う心配がいらないんじゃないか

そう思いたいが、それどころではない

小太りの男が、嫌らしい笑みを浮かべ

こちらによって来る

なんて奴だ

スポーツマンシップの風上にも置けない奴だ

戦狂かベルセルクか

それとも、単純に、昔の

それら、野生の血でも騒ぐというのか

私の背後には、シャッターやコンクリートの壁

「まっまて」

男は、その手を、こちらにぶつける

「ム」

私は、交わすが

笑えない

こちらからタッチしても良いが

危険が多すぎる

やばい

やばすぎる

私の背中に、壁が当たる

男が、私の先ほどまでにいた壁に、さわり

そのまま、私に追突してくる

私は、とっさに、壁を蹴り、上に逃げようとしたとき

妙な感覚を、私の体が伝う

なぜか、体が、横に立っている

其れは、実に奇妙だ

まるで、宇宙船のセットで

内部を回転させて、まるで、無重力にしているように

私は、壁に立っていた

男は、一瞬、落ちてこない

私に面食らったようだが

すぐに手を、私に向ける

私は、壁を歩き

そのまま

入り口近くのお茶やの看板近くまで行くと

男は、あきらめたように、残り十人ほどしかいない

乱闘の中で、消えていく

なんて光景だ

最後の一人が

こちらを見たが

商店街を、進んでいく

マラソンに、向かったのかと思ったが

路地裏に、消えたところを見ると棄権なのだろう

果たして、ゴールは、いかほどか

最初に数人

ものすごいスピードで、走り抜けていったように思う

其れは、鉄砲玉という表現があるが

新幹線のようでさえあった

あんな物をどう捕まえるというのか

私は、そう言えば、と、携帯を取り出すと

確かに、LIVEをしているが

不可思議なことに

私の体が、写っている

妙な看板のように

其れは、シャッターの横に、水平に立っている

変態だ

どこのどいつかとも考えたが、

俺のようだ

「しかし、驚きましたね、今回の乱闘は、

たった15分で、二人

しかも、その内の一人は、能力の獲得後

大会からの離脱

残るは、壁に残った、この男です」

「実に貧弱ですね、少しは、走れそうですが」

私は、スマホを、きり

歩き出した

眼鏡には、わびしく、マークが、レーン引きよりも

きれいに、矢印を、書いている

早い奴は居たが

大きな巨人のような、ビルよりも大きな奴が、居たら

早いのだろうか

瞬時に、標的にされるだろう

ぽつり

と、鉄塔を、触ると、向こうで、花火が咲いた

轟音ののろしのような音花火も、鳴り響き

ゴールを、終演を、知らせている

のろのろと、走ることなく

僕は一人、10キロを歩き

山まで行き

鉄塔に触る

「おめでとうございます

ジュッポインツです」

そう言われ、紙をもらうが、ゴミ箱があるから、さしていらないのだろう

で、何に使えるのか

そう言うと

男は言う

「何でも、色を、黒くしたり

羽をはやした、だけの模様にしたり

目玉をつけたり

色々です」

なんと言うことだろうか

こんな要らないことがあって良いのか

僕はその中に、人工知能を、見つけた

やらなければいいのに

そうは思ったが

派手な、シルバーを、茶色く黄土色にし

目玉を、つける

そして、つま先に、チャック

どうせ、サイケデリックなデザインように

目玉なんて、あった悪ふざけなのだろうが

しかし、人工知能を、つけた其れは

開口一番、チャックを開け

「パンジャンドラム」とそう叫んだ

何て日だ

僕は、撤収した中

爆発 爆発としゃべる

靴を、一緒に、山を下っていった。



適当に、名前を付けたのが悪かったのだろう

しかし、何が楽しくて、命がけの何かを前に、勝ち取った

試合で、靴のデザインなんかもらわなければならなかったのか

それこそ、やけくそか

自暴自棄の当てつけとして、人工知能を、選んだことに、問題があると言えば、問題がある

しかし、これは、明らかに、最初に、説明しておくべきだ

私は、帰宅後

しゃべる靴

頭を抱えながら

見ていると、メールが届くと

()笑いの文字と

動画

そして、人工知能なんだから、言葉を覚えさせてくださいね

一児の

パンジャンドラムのお父さん

僕は、絶望の深夜を迎えた

もちろん宿題なんて、爆音の前に無に帰す

そのときは、気が付かなかった

騒音の左足

沈黙の右足の存在に

普通靴は、二靴あるのだ

そして、靴は、一つのデザインが、たいてい二つに共同される

帰るのであれば、その後に、デザインを、個別にだ

次の朝

私は、ガムテープを、前に張った靴を履いて

家を出る

何があるか、分かったものではない

道行く人間は、特に私に興味を示していない

大丈夫なようだ

学校に着き

「静かにしていろよ」と言うが

ガムテープごしに、かみつこうとする

はむはむとなんと言うことだろうか

連れて行った方が

そうは思ったが

そのまま、教室に向かう

「ッヨ」

珍しく、先にイスに座っている彼女をみる

もちろん私の方が遅い

遅刻ぎりぎりである

そう言えば、私は、その黒髪に見覚えがあるような気がする

しかし、授業は、始まろうとしている

私は、黒髪から、黒板に、視線を、移動させていた

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電シャ イタチ @zzed9

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