赤くなっていく箱
仲仁へび(旧:離久)
第1話
頭が痛い。
目を覚ましたら、箱の中に入っていた。
それにしても頭が痛い。
一体どうしてこんな箱の中に?
頭が痛い。頭が痛い。
箱の中は真っ暗で、そして狭い。
頭が、頭が痛い。
自分一人が入るくらいのスペースしかない。
頭がいたいいたいいたい。
なぜ自分がここにいるのか、思い出そうとしても、何も浮かばなかった。
いたいいたいいたい。
それどころか自分の名前とかも、まったく。
いたいいたいいたいいたいいたい。
箱を叩いたり蹴ったりしてみたけど、びくともしない。
いたいいたいいたいいたいいたい。いたいいたいいたいいたいいたい。
声をだしたが、人の反応もない。近くにだれもいないようだ。
い。
けれど、唐突にごとっという音がして、箱が運ばれていく気配。
た。
そして、ごうっという音がし始めた。
い。
箱が真っ赤になっていく。
頭が痛い。そうだ思い出した。転んで頭を打ったんだ。
それで、意識が落ちた。死んだかと思ったけど、生きていたようだ。
なら、声を出して知らせないと。
きっと他の皆は俺が死んだと思っている。
じゃないとこんな箱に入れられたりしない。
人間が入る所じゃないんだ。この箱には。
「おーい! 誰か! 頼む! 気づいてくれ! まだ俺は死にたくない!」
真っ赤な炎が目の前に迫って来た。
赤くなっていく箱 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます