第3話 ここはどこなんだ!?

「うぅ、いったいここはどこなんだ?」


目を覚ました俺は見知らぬ森で倒れていることにきずく。


「そうだ!ヒナ!どこだー!」


「ここ…」


「うわぁー!びっくりしたー!」


ヒナはいつの間にか俺の後ろに立っており、起きてからのことを話し出した。


「ユウタ起こしたのに全然起きない…」

「だから近くを探索してた…」


「なるほど…それはすまなかった。」

「それでどうだった?この近くになんかあったか?」


ヒナは首を横に振り否定の意味を表す。

どうやらこの近くには比較的静かでモンスターや人もいないらしい


「とりあえず森を出ようか?」


「ちょっと待って…」

「その前にユウタに話がある。」


「話?」


森を出てからではダメなのだろうか?

そんな疑問を抱き口に出そうとする前にヒナが答えた。


「誰かに聞かれてはまずい可能性がある…」


「そうか…それで一体どんな話なんだ?」


「まず話すのは装備やステータスについて…」

「全てリセットされている…」


「そんな馬鹿な!?」


俺は急いでステータスを確認するが全てリセットされている。レベルも1の状態だ。

装備も何もない。


「…それで、まだあるのか?」


「うん…」

「2つ目はログアウトできないこと…」


俺は絶句していた。

今までの日常、高校生活、親、友達…

それらが全て無くなるのかと思うと頭がおかしくなりそうだ。


「大丈夫、私がいつもそばにいるから…」


そう言って絶望していた俺を抱きしめ頭を撫でてくる。

ただただそれが今は心地よかった。


「もう話の続きをしてもいい?…」


「あぁ大丈夫だ!」


「これが最後の話、五感がある…」

「つまりここはゲームの世界じゃない…」


「なるほど確かに匂いも感じるし手に感触もある。」


ということは俺たちはこの世界で生きていかなければならないということだ。

食事もしなければいけないし、睡眠もとらなければならない。


「とりあえず寝床を探すか」


「ん…さっき探索してきた時に柵があったからそっちの方に村があるかもしれない…」


「よし!そうと決まれば行くか!」


「うん!…」


そうして俺たちはヒナが言っていた柵のある場所まで行き、その先の村か街を目指して歩いていた…がここで思わぬ悲劇にあってしまったのだ


「この柵、高いぞ!」


そこにはおよそ2.5メートル程の柵が横一列に並んでいたのだった。


「やっぱり越えられそうにない…」

「ごめんユウタ、先に言っとくべきだった…」


「いいよ、別にヒナが悪いわけじゃないんだし」


俺達はこの柵を乗り越える方法を考えていると後ろから誰かが俺達に声をかけてきた。


「おい兄ちゃん達、そんなとこで何やってんだ?ここらは危ねぇぞ?」


ふりかえって見るとそこには槍を持った30代半ばのおじさんが立っていたのだ。


「すみません、俺達道に迷ってしまって」


「そういうとこなら俺に任せてくれや」

「村まで案内してやるよ!」


「本当ですか?ありがとうございます!」

「ほら、ヒナもお礼言わなきゃ」


ヒナは俺の後ろに隠れてしがみついている。

ヒナは俺以外には人見知りをしてしまうのだ。


「あ、ア、アリガトウゴザイマス」


「すみません、こいつ人見知りで」


「ガハハハ!いいってもんよ!」

「俺はクリスってんだよろしくな!」


「俺は咲芽野 悠太って言います、気軽にユウタって呼んでください」


「わ、私は涼谷 柊奈…」


「兄ちゃん達変わった名前だな」


「違う国から来たもので、はは…」


俺はとっさに誤魔化したおそらく俺達の正体を知っている奴らはいるかもしれないが無防備な今、狙われたらまずい。

だからしばらくは違う国から来たということにする。

俺はヒナに目線を送り意図を伝えようとする。

ヒナはすぐに気づき、小さく首を縦に振った。


「そうか…わざわざ遠いとこから来たんだな」

「大変だと思うがうちの村には良い奴しかいねぇから安心しろ!」


「そう言って貰えて安心しました!」


「ではそろそろ行くとするか」


こうして俺たちはクリスさんに村まで案内してもらうのだった…


〜10分後〜

道端に水色の『何か』が落ちていた

「おっ、スライムじゃねぇか!」

「兄ちゃん達倒してみるか?」


「いいんですか?」


「おうよ」

「せっかくだからこのナイフを使いな」


そう言ってクリスさんは俺にナイフを渡してきた。

少し錆っぽいが長年使われてきたのだろう…


「えい!」


スライムはあっさりと倒れて消滅した。


「なんか…新鮮な気持ち」

「ヒナもやってみるか?」


ヒナはコクコクと頷いてナイフを持ち、構える


「お!なかなかいい構えじゃねぇか」


クリスはヒナの構え方に感動し、賞賛した。

だが次の瞬間クリスは腰を抜かすことになる


ヒュン グシャ


「は?」


俺は慣れっこだったので驚かなかったがクリスは口を開けポカンとしている


「ヒナ、ナイス投擲!」


「ありがとう…」


ヒナは照れくさそうにしながらナイフを拾いに行く。


「それじゃあクリスさん行きましようか」


「お、おう」


クリスは我に返りユウタたちの前を歩いていく


(こいつら何もんだ?ユウタもなかなかだったがヒナが桁違いすぎる…)


「そういえば村ってどんなところなんですか?」


「そうだなぁ…皆がみんな家族みたいな村か

な」


クリスは笑顔で言う。よっぽどその村が好きなんだろう


「おっと、そろそろ到着だぜ」


ヒナは相変わらず俺の袖にしがみついているが村の様子が気になって少しだけ顔を前に出した。


「意外と大きい村…」


「そうだろう!今じゃ王都の五分の一ぐらいの大きさはあるぜ!」


「王都は近くにあるんですか?」


「いや、王都は少し遠いな」

「ここからだと歩いて3日はかかる」


(3日か…かなり遠いな)


3分ほど歩き、俺達は村の門の前に到着した


「クリスじゃねぇか、お帰り!」


「おう、門番おつかれさん」


門番をやっていたのはクリスと同じぐらいの年齢で背が高い。

服装は皮物だろうか、頑丈にできている

手には大きな槍を持っている。


「この2人は誰なんだ?」


「この2人は森で迷子になっていたらしくてな」

「ユウタとヒナって言うんだ」


「「よろしくお願いします」…」


「僕の名前はケイだよろしく頼む!」


門番をしていた人はケイと名乗り村の中へ入れてくれた。

だが俺達は予想していなかった事態に巻き込まれることになる…




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