戦闘描写の資料集め

 キーワード:「交互」


 * * *


 構成について終わったのでお次は愈々本番。描写についてでございます。

 ここでは演出、言語化について見てみたいと思います。


 なるほど、戦闘には緩急付ければどうにかなるんだな。ふむ。

 よし、試しに戦いと作戦描写とを交互に入れてみるぞ!


 ――となったは良いものの、矢張りキャラクタが動いてくれない。

 だーかーらー、立ったまんまチャンバラするんじゃなくって、君達にはうーごーいーてーほーしーいーんーだーよー!!

 涙目ですね。


 こうなってしまうのは若しかして自分の中に「キャラクタの動かし方」がインプットされていないからなのかもしれません。

 万人に対してそうだ! とは言い切れないのですが星は少なくともそうです。

 困る時は大体インプットが足りない。


 そんな時には資料集め!

 様々な映画を見るもよし、アニメを見るもよし、本を読むもよし、武器の紹介動画とか図鑑とかを見るもよし! 何なら習いに行くもよし!

 この世には数多資料がごろごろしています。全部参考になる。大事。


 その中でも今回は星が資料として大変重宝しておりますものをご紹介。


 その名もばばん! 「スマブラ参戦動画」ー!


 ……前回も言いましたね笑。

 ゲームから話題が離れません。すみません。あ、あくまで星がやってる内容だから良いのです!!


 一本、約二、三分。下手したら一分程度で見れる「スマブラ参戦動画」。

 こちらの動画内にある「アニメーション」「3DCGアニメーション」の演出方法が非常に参考になる!


 星、あれを言語化できるようになれると相当強いのではないかと踏んでおります。


 ではいくぞう。


 * * *


 まず見る方法ですが


①YouTubeを開く。

②検索窓に「スマブラ参戦動画」を入れる。


が一番速いです。

「スマブラ 公式」というように検索して、公式さんが作った「スマブラ」関連動画の再生リストを確認するのが一番良いかもなのですが、他にも沢山入っていたりするため探す時間を考えると意外と上の方法の方が速かったりします。公式さんの動画を再生リストにまとめてくださってる方もいらっしゃったのでご参考までに……。


 ――――――――


 それでは本題!


 まずは全部で37本ある動画の中から「戦闘描写」の入っている「アニメーション」「3DCGアニメーション」が付いている動画のタイトル名をピックアップ。

 短くまとまっており、かつ、非常に引き込まれる演出。痺れます。


 以下のタイトルは「スマブラ参戦動画」と一緒に検索窓に打ち込むと探しやすくて便利かもしれません。



【スマブラ3DS・WiiU】

「忍ぶもの」

「光の女神」

「剣と魔法と炎の紋章」

「穏やかじゃないですね」

「未来の大王」


【スマブラSP】

「Nintendo Switch 大乱闘スマッシュブラザーズ 初登場映像」

「ヴァンパイア・キラー」

「ライバルたち」

「炎の激突」

「伝説の勇者」

「ラーメン大好き娘さん」

「片翼の天使」

「ある日 ホムラがいなくなった」


 以上です。

 これらの「カメラワーク」「キャラクタ達の動き」「演出」を冷静にじっくり観察してみると、とある共通点が見えてくると星は考えています。


 ずばり、「交互」。

 今回のキーワードです。


 テンポよく、お客様を飽きさせない戦闘を描写するためには、そしてキャラクタ達に動いてもらうには「交互」を意識。

 滑らかに読者様の視点を誘導していきます。


 それでは説明と同時にやってみよう、実践編!


 * * *


①敵と味方を交互に映す。


 先ずは一番目。「カメラワーク」について。

 注目して欲しいキャラクタを明確にするのが物語の流れを崩さないためにも大事になる訳ですが、その際に「敵と味方」、もしくは「キャラクタAとキャラクタB」を交互に映すように意識してみると流れが途切れにくくなります。複数人の場合は順番に映すなど。

 また、どうして「敵」が吹っ飛ばされたのか、どうして「味方」が劣勢に追い込まれたのかなどの理由を明確にするためにも交互に映すというのは意外と大事。


 なので


「二人が同時に剣をかち合わせる。お互い一旦退いた後、もう一度激しくぶつかり合った。」


 というような演出もいいけれど、これでは「二人をいっぺんに遠くから映す」ばっかりでちょっとマンネリ化してしまう。

「二人いっぺんに映す」ということも大事だけれど……。


「二人、同時にぶつかった。(二人) ジョンとジャックがかち合わせた剣から火花を散らしながら激しく睨み合う。【ジョン→ジャック・大写し】 二人、同時に飛び退いた。(二人) 先ずはジャックがジョンの元へと飛び込んで行く。【ジャック】 彼の剣の一振りをジョンは軽く避けつつ、後隙を狙って大きく一薙ぎ。【ジョン】 服の腹の辺りを大きく裂いた。ジャックの額に汗が伝う。【ジャック】」


――としてみるとどうでしょう。

 それぞれの行動や注目すべきところなどが分かりやすくなるのではないでしょうか。

 また、このように流動的に交互に映し続けるとキャラクタは自動的に「立ったまんまチャンバラ」が出来なくなります。

 キャラクタが動いてくれなくて困る、動かし方が分からない。――という時には敢えて交互に映すことを意識してみると動かしやすくなるかもしれません。


 ――――――――


②敵と味方は交互に動かす。


 ①から関連して。

 以上のようにキャラクタを交互に映すと必然的に交互に動くようになります。


 参戦動画でも攻撃は「敵→味方」「味方→敵」のようにしていましたね。無双系の演出の場合は別ですが、必ず交互にアプローチをしていました。


 自分が陥りやすいマンネリ化の原因のひとつに「ひとりのキャラクタをずっと映し過ぎ・動かし過ぎ」というのがあります。

 一人称になるとどうしても主役の動きが中心になりがちなのですが、そういう時、相手が何にもしない、全然映らないという事件が起こりがち。


 そんな時には相手の動きを無理矢理にでも自分達の視界に登場させてみましょう!

 そう、キャラクタを「交互に動かす」のです!


 それでは一人称で「主役ばっかり」になりやすいボス戦での一コマ。


「ボスの周囲を巡り攻撃の機会を窺う。先ずは足に狙いを付けて剣を振るった。転ばせようという算段だ。しかし固くて全然攻撃が入らない。」


 という場面。


「ボスの周囲を巡り攻撃の機会を窺う。先ずは足に狙いを付けて剣を振るった。転ばせようという算段だ。【しかし、突然視界から柱のような足が消えた。ふと暗くなったような気がして頭上を見れば自分が攻撃を入れようとしていた足がぐぐ、と迫ってきている。】思わず目を見開いた。」


 ちょっとボスの動きを付けるだけで場面に動きが出てきますな!

 また、一つの作戦としてボスの周囲を巡っている所で【ボスの動き】を入れて、それに感想を入れてみても良いかもしれません。

「恐竜のような見た目でめっちゃ強そう」であるとか、「咆哮を繰り返しながらこちらをギロリと睨んできた」であるとか。


 予めボスの攻撃パターンを考えておくのも一つ有効でありましょう。

 ボス特有の攻撃に「ため攻撃」があります。時間をかけて力をためた後、特大の攻撃をぶちかますアレです。ボスには攻撃が通りにくいので「ため攻撃」のキャンセルをするのは難しいですが、もしもキャンセルできれば、また、その特大攻撃を避けることができれば大きな後隙を生むことが出来るので主役にとって絶好のチャンスとなり得ます。この一連の流れは主役にとってピンチでありチャンスです。展開次第では緩急を入れやすくなるのではないでしょうか。


 ――――――――


③描写に「攻撃の具体的な描写」を挟む


 敵と味方を交互に映す・動かす時、その繋ぎとして「攻撃の具体的な描写」を挟んでみるのも良いかもしれません。突然変わるよりもより滑らか・流動的に出来ます。また、読者様の想像を強く掻き立てます。


 例えばジョンに魔法を使わせてみましょう。


「ジョンが掌に力を溜める。その手から幾筋ものビームが飛び出た。ジャックは苦しいながらなんとか避ける。直ぐに反撃に出た。」


 ビームを出すだけでも良いけれど……ここに具体的な描写を入れてみましょう。


「ジョンが掌に力を溜める。【紫に強く発光し、ふとジョンの目が赤くなった。】直後、その手から幾筋ものビームが飛び出る。【それらは弾幕が如く縦横無尽にフィールドを飛び回りジャックをしつこくホーミングしてくる。時折地面を跳ねてはその土を激しくえぐった。】ジャックは苦しいながらも【時に剣でビームを裂いたりしながら】何とか避ける。【彼の後隙を狙って】直ぐに反撃に出た。」


 説明的な文章が突然映像のようになりました! カメラ・視点も滑らかに動き、流動的ですね。攻撃がどれだけヤバイのかも一発で伝わります。


 例えば剣を一薙ぎする場面。

 ひゅんっと振らせるだけでも良いけれど、「彼が剣を一薙ぎするだけで青白い光が空に残った」と書いてみるだけでかなり印象が変わってきます。また、その時に何か属性魔法を付けてみても良いかもしれません。

「ちょっと服が焦げた」と書けば炎が剣から出たことになります。

 逆に「敢えて攻撃が見えない」ことにしてその攻撃の速度・異常性を表してみるのも良いですねっ!

「風が一迅通り抜け、頬から血が垂れた。恐る恐る後ろを振り返るとそこには一本の矢がびん、と岩に突き刺さっていた」

なんて風に。


 また、先の例にて。

 振った際の色で善悪を分けてみるのも良いかもしれません。

 例えば悪サイドが振ったら紫色になる。善サイドが振ったら青白くなる。

 これをしつっこいぐらい繰り返し描写すれば、やがて新キャラがどっちサイドなのかを暗に示すことが出来るようになります。

 説明を繰り返し過ぎてテンポが悪くなっちゃう際にはこういった描写を通して暗示してみるのも良いかもしれません。


 これに似たもので「行動」「回避」なども具体的に描いてみるとより良くなるかもしれません。

「避けた」を「前転しながら」避けた。

「走り込んだ」を「スライディングしながら突っ込んできた」。


 普通に描くより、より格好よくなるような感じがしてきます。


 * * *


 以上がざっくりとした「演出の言語化」です。


 その時の場面を全て読者様の想像力で補ってもらうのではなく、そこに作者側が助け船を出す。

 それだけで戦闘描写を見るのも書くのも楽しくなってきます。


 動画にあった様々な攻撃を自分の中に取り込み、それらを自分のキャラクタに置き換えるとどうなるのか。

 色々考えてみると「立ったまんまのチャンバラ」が少しずつ動いてくるかもしれません。動画の内容を一度全部文章化してみるのも良い訓練になるのかも。

 考えるのも楽しくなってくるのではないでしょうか。


 そりでは! 今回はここまで!


 次回は「武器の差で戦いを複雑にする」です。

 両手剣と片手剣のぶつかり合い、遠くから弓矢で狙撃。

 両者の作戦が変わってくるからこそ面白くなる戦いがある!


 月曜の20:00更新を予定していますが……間に合うかな。

 水曜にずれこむかもしれません。続報をお待ちくだされば是幸い。


 ではでは。


 Bonum nocte.


(つづく)

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戦闘描写を書きたいな 星 太一 @dehim-fake

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