シチュボ台本『ハロウィンにはとっておきの悪戯を』

藤屋順一

『ハロウィンにはとっておきの悪戯を』

あ、そろそろリスナー君が来る時間だ!


コウモリの羽も着けたし、メイクはバッチリ! ゴシックなドレスも… うん、可愛いはず! あとはセリフを覚えて…


ーーピンポーン


わわっ! もう来ちゃった… まだ心の準備が終わってないのに、ちょっと早いよぉ


うう… 仕方ないか…


「はーい、どうぞ入ってください」 ピッ


あぁ… どうしよう、ドキドキしてきた。 リスナー君、ちゃんとおどろいてくれるかな?


ーーガチャッ ギィイ〜 


よし! 今だ!


「あっはっは! よく来たなリスナーよ! 暗闇に潜む血に飢えた亡者が集う禍々しき夜に、のうのうと魔族の姫であるわらわの元へやってくるとは、なんと愚かなことよ! だがしかし、喜べ、リスナーよ。今宵のわらわは機嫌が良い。貴様の相手をするなど児戯に等しいが、わらわに甘き供物を捧げれば、この場は見逃し、闇の宴をともにしてやらんこともないぞ? どうじゃ?」


よし、完璧だ。 リスナー君の反応は… あれ? なんか微妙な顔してるなぁ…


「リスナーよ。聞いておるのか? 恐怖で声も出んようじゃのう。わらわはその手に持っているお菓子をくれなきゃ悪戯するぞと言っておるのじゃ」


「ん? 可愛いしかないって? あっ、あたり前のことを言うでない。 貴様のために一生懸命準備した… じゃなかった。えーと… わらわは魔族の姫じゃからの!」


「全然怖くないからお菓子はあげないじゃと? なっ!? ハロウィンにそんなルールなどないぞ! 貴様はただお菓子を渡して一緒にパーティーを楽しめばよいのじゃ」


「ええっ!? 悪戯でびっくりさせられたらお菓子をあげるって? えー、めんどくさいよぉ… あ… ちょ、調子に乗って面倒なことを言うでないわ!」


そんな事言われても、そこまで考えてなかったよ。 えーと、どうしよどうしよ…

もうっ! リスナー君の馬鹿っ!


「しっ、仕方のない奴じゃ。とっておきの方法でおどろかせてやるから近うよれ。うむ、目を瞑って少しかがむが良い。そのまま決して目を開けるでないぞ。 それでは、いくぞ…」


ちゅっ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シチュボ台本『ハロウィンにはとっておきの悪戯を』 藤屋順一 @TouyaJunichi

作家にギフトを贈る

カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?

ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ