エンディング
第18話 墓場
それからはあっという間だった。
葬儀や色々な届け出だとか、人生で初めてやることがたくさんあった。
その時戸籍謄本を見ることになったわけだが、どうやら俺たちの親は生きているようだった。今まで知りたいと思ったことはないし、今でも興味はない。そのことは忘れて今後も生きていくだろう。
葬式は家族葬でも参列者は大していないだろうからやらなくてもいいくらいだった。彼の考えは私がよく知っている。が、「きっと故人も喜びます」なんて真面目くさった顔で言う葬儀屋に「別にそんなことないと思うけどな」とは言えなかった。
一段落して、悲しむ時間もできたわけだが今更何を悲しむというのか。
タイムマシンに近寄る。特殊捜査班とやらはこういうものを回収したかったんだろうが、当分は寄り付かないだろうな。
思い切り腕を振り上げ、ハンマーを叩き落す。ガシャン!と派手な音を立ててそれは簡単に壊れた。
本当は戻りたい。でもどんなに繰り返しても彼の求める未来は変わらないだろうし、また同じ日々に閉じ込めてしまうのは彼にとって悪夢でしかないだろうから。
あなたがくれたこの命を大切に生きていくよ。
なんて綺麗事が言えればよかったのに。
私はこの先の人生を罪滅ぼしとしてしか受け止められない。贅沢なのはわかっていても考えずにはいられない。
もっと違う未来が見たかった……と。
大団円って意外と難しいものだな 藤間伊織 @idks
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