現代お茶の間跡継ぎ戦線

@hirohana93

跡目争い

俺は郷野弘継ごうのひろつぐ中高一貫の高校に通う普通の高校生だが、少しだけ普通と違う。親がこの片田舎の権力者でいわゆる領主みたいな事をやっている。しかし両親は既に他界していて今は兄が代理を勤めているものの、跡目の小競り合いがたまに起きてる。と言った所が現状だろうか。

話は変わり今日は12月24日クリスマスと言う奴だ。後輩思いの俺は早めに登校しておくのだった。教室に着いてしばらくすると、早速中等部の男子2人がソワソワしながら教室の外からこちらをうかがっていた。まだ誰も居ない教室だ笑顔を向けると2人の少年が入って来た。緊張した様子で1人の少年が、

「こっこれ珠希さんに渡して貰えますか?」

「確かに預かったよ、コレはきっと妹に届けよう。でもいいのかい?こういうのは直接渡した方が効果的じゃないかい?」

「いっいえ自信ないので先輩からお願いします」

と、言うと付き添いの友人と共に足早に帰ってしまった。

我が妹、郷野珠希ごうのたまき外面だけは良い。学校では完璧美少女を装っていて、ファンクラブなんてものも出来ているらしい。さぞかしモテるのだろう。それに比べ俺はと言うと――

「よう!今日は早いな!親友」

「やぁ親友。朝練かい?健康的な事だ」

――唯一の友人である、中田俊輔なかたしゅんすけが居るのみだ。

「今日の夜家でパーティーがあるそうだ。地元の人も参加する。俊輔も来てくれるんだろうね?」

「美味い飯が食えるなら押しかけさせてもらうぜ」

「ありがとう。ではまた夜に、楽しみに待ってるよ」




放課後、夜の準備があるため真っ直ぐ帰ろうとすると、また別の中等部の少年2人が自分を待っていたようだ。

「先輩!良かったらコレを珠希さんに」

「ふぅー。はい。確かに受け取ったよ」

妹の素を見せてやりたいと思いながら帰路に着くのだった。




郷野家主催のパーティーも盛り上がってる頃、俺達兄妹は長男である兄に場を任せ、一室に集まっていた。

「さて前置きもいいし本題に入りましょ」

と、言って始めたのが長女、郷野道流ごうのみちる妹と、違い本物の完璧だ。

「兄さんも長くない……早急に跡目を決めるべきだわ」

そう姉さんの言う通り代理を勤めている兄は病に侵されていて長くない。兄の代わりに3人のうち誰かが当主とならなければ行けなかった。

「1番近いのはおにぃよね。婚約者の許嫁も居ることだし」

「俺は婚約者とか、許嫁は……2人も縁談来てるんだろう?」

「私は――嗚呼面倒なのが来たわね」

姉さんがそう言うと窓から高級車が数台見えた。

「いいわ、今日ここで決着をつけましょう!2人もそれで良いわね?」

そう言い残すと姉さんは部屋を出て行った。

すると直後にチャイムが鳴り俺が出ると、朝の中等部の少年4人が来ていた。良く見ると雪の中を自転車で来たらしく、このまま追い返す訳にも行かず、妹のいる部屋に招待するのだった。部屋に戻ると高貴そうな出で立ちの男が3人程来ていた。

「私は今日この中から伴侶を選ばせていただくわ。貴方達もそうなさい」

姉さんは決意を固めた様な目で話す。すると妹は

「アタシは2人は無いかなー。プレゼントも渡さず私が振ったらおこぼれ預かるハイエナ魂胆丸見えなのわね」

「俺は、俺は……」

と2人が意見を言ったのに対し口ごもっていると

「弘、いるか?」

急に俊輔が入って来た。そこで俺は

「俺は俊輔が好きだ!跡目とか許嫁とか気にせず自由な恋愛がしたい!」

「おぉ驚いたー。俺も好きだぜ、弘」

それを聞いた2人は

「そうね。跡目とか気にせずに3人で協力して行きましょう」

「と、言うことてアンタ達お払い箱よ。ほら出てった出てった」

「いいのか?2人共」

「貴方達に目が覚めさせられたわ。この時代恋愛も生き方も自由じゃないと。さぁ2人はパーティーを楽しんでいらっしゃい」

俺と俊輔は2人に促されパーティー会場に行き最高のひと時を楽しむのだった。




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