【付録二】世界設定・用語集

この世界における文明レベル


 この世界の文明レベルは、魔鋼器と転生者によって持ち込まれた技術を抜きにすると十七世紀レベル(産業革命前)である。人の銃火器と野砲は、魔鋼器からの応用もあって、後装式が出現している。




西方大陸


 帝国や王国が領土を構える大陸。この星の最大面積を有する。北半球に位置し、王国の最南端が大体赤道に当たる。この物語の主舞台。通称「クビキリ大陸」。



東方大陸


 西方大陸の東南に位置する大陸。通称「ハラキリ大陸」。腹を切って相手に精神ダメージを与える部族が棲むと言われているが、詳細は不明。魔鋼器が殆ど発掘されない。



王国


 西方大陸の南部に領土を構える大国の一つ。その王族には「開封の御手」と呼ばれる特殊能力を有し、事実上魔鋼器の流通量を管理している。国情は安定している。

古典的な王制国家で男尊女卑。身分制度が残っている。奴隷は廃止。但し近年は帝国の影響で、身分制も能力を示せば一応変更出来るぐらいにはなっている。

 魔鋼器が発掘される発掘抗は王国領内に多く発見されており、特に大型発掘抗「王家七抗」は全て王国内に存在する。




帝国 


 西方大陸の北部に領土を構える大国の一つ。ここ五十年で勃興した新国家。元は小国で、画期的な食糧増産技術と魔鋼知識によって急速に勢力を拡大した。帝国が輸出する大量の食料によって西方大陸一帯の食糧事情は劇的に改善したので、各国民衆の帝国への好感度は高い。

 食糧増産→人口増加→商業発展→魔鋼器利用による疑似工業化によって急速な発展を遂げている。国民の自意識(市民意識)も育成され、将来的には民主的な選挙の導入も予定されている。今は選民貴族(能力を選抜された貴族)による議会と皇族の権力が並立している。

 近年、急速な寒冷化で農作物の収穫量が激減している。その為帝国はまだそれほど寒冷化が進んでいない王国領への南進を決定した経緯がある。

ここ数年、王国との協議は続けていた。が、王国貴族たちの要求と合致せず、軍事的南進を決定した。

 二十年前に帝国拡大戦争が勃発している。帝国と、今は帝国領となっている諸隣国との戦争。三年ほど続き、帝国の勝利(併合・拡大)で終わった。王国は当初諸隣国側で参戦したが、途中で帝国と条約を結んで同盟国となった。




開封の御手

 王家の者が有する特殊能力。魔鋼器は発掘されただけでは使えない。王家の者が触れることで初めて動き出す。動き出したものを停止させることも出来る。




発掘抗


 地上に穿たれた縦穴で、中からは魔鋼器が発掘される。入口はほぼ真円で、直径の深さは様々。大体は埋まっているので土を掘り出すことから始めることになる。

発掘抗の多くは王国領に分布しているが、他の場所に無い訳ではない(魔鋼器の発掘をしても王家の認証が無ければ動かない為、王都より遠い場所では熱心に発掘されないという事情もある)。




アイドウシチナ発掘抗

帝国との国境に近い王国北部に存在する大型発掘抗。王家七抗の一つ。直径二百メートル、深さ千メートル。最深部に気象系装置装置『ユピテル』の制御室がある。




魔鋼器


 旧文明で製造されていた「力を生む金属=魔鋼」を使用した機械群の総称。魔鋼には複数の種類があり、組み合わせによって力場を発生させる。組み合わせ部分から淡い光を発光する。基本青色。

 光は基本一定だが、時々点滅することがある。理由は良く分かっていない。第二種永久機関。

魔鋼器(魔鋼)は今の技術では製造も加工も出来ない。発掘し整備して使っている。

 魔鋼は正確には発動部(「力」が発生する部分)・制御部(「力」を制御する信号を伝達する)・無発光部(「力」を生まない・伝達しない部分。フレーム)に分けられる。

四輪車の場合、車輪を回す力はホイール自身が生み出すので所謂エンジンは存在しない。ハンドルやペダルからホイールまで制御部が伸び、操作する。発光するのは制御部と発動部。

 魔鋼の強度はダイヤモンドより硬く、鉄より粘度は高い。非常に丈夫な素材。

魔鋼器は大小様々なものが発掘されているが、魔鋼を製造・加工するものは一切発掘されていない。これに関しては様々な推論がされているが、今のところ地上では製造出来ない説が有力。




鉄騎兵


 全高五メートル程度の人型魔鋼器。主に兵器として使用されるが、重量物の運搬・組み立て等にも利用されている。国家やギルドが保有するケースが多いが、金持ちや傭兵団などが保有していることもそれほど珍しいことではない。

 価格に関しては、現在の価値に例えると最新戦闘機一機とほぼ同じと思っていただければ。

 (鉄騎兵に限らないが)量産品であった様で、大量に保有する場合(軍隊とか)同型のものを揃えることが多い(整備がしやすい、操縦技術が統一できて訓練しやすいなど)。

王国軍と帝国軍では、その地域で発掘される鉄騎兵が違うので、主力機は別モデルになっている。

 鉄騎兵用の銃火器は発掘されているが、弾丸も魔鋼製で動作する仕組み(一種の電磁投射砲)であり、専用弾丸の発掘数が極めて少ない為、まず使われていない(人用も同様である)。火薬式の銃・大砲が都度試作されているが、実用に足るレベルにはなっていない。またレーザー兵器もごく稀に発掘されるが、発振部が劣化していて使えないことが大半である。

 基本、発掘量が多い→製造時期が新しい→性能が高いなので、量が多いものの方が性能が高い傾向がある(無論例外もある)。

 帝国軍は集団毎に機種を統一する方針なので、今作に登場する鉄騎兵は一種類だけである。王国軍は搭乗者の身分によって機種を変えたりするし、集団によって機種統一する方針はそれほど浸透していない。また国歴が長いので様々な鉄騎兵を保有している。

 基本部品はある程度統一されている(正確には発掘年代毎に数度規格が変更されている)。魔鋼の製造は現在の技術では不可能な為、逆に言えば共通規格でない鉄騎兵は運用できずに「壊れたらそれまで」になってしまう(その為「動いている」鉄騎兵=共通規格になっている)。


 操縦席は胸部にあり、前面が開くものが多い。表示板(モニタ)は前・左・右・前上・前下の五面構造。二本のスティックと三つのペダルで操縦する。電波反射型の簡易レーダーと通信機を搭載している。逆探機能もあるので、レーダーは使い方が難しい。

 対鉄騎兵戦では関節を狙うのが常道なので、特に膝関節には追加装甲(スネに付けて先端が膝前まで伸びる形が一般的)を装着するケースが多い。

搭乗時には片膝をつく体勢を取る。

 頭部はセンサーの塊で、関節同様壊れやすい部分。土木用の鉄騎兵は、頭部が損壊して使えない機体を土木用に転用しているケースが多い(頭部が損壊してモニタが使えない為、操縦席前面装甲を取り外して露天コクピットとして使う)。

 王国軍の鉄騎兵は曲線的なデザイン、帝国軍は直線的なデザインが多い。


王国軍汎用鉄騎兵

ルドベキア

曲面装甲、騎士然としたデザイン。スネ装甲を取り付けている。主兵装は盾と剣。


王国軍士官用鉄騎兵

マクロフィア

曲面装甲。指揮官機や王国親衛隊などで利用されている。ルドベキアよりも重装甲だがスネ装甲は平時は付けていない。大盾と大剣が主兵装。ルドベキアに比べて機動力で劣る反面、パワーは上回る。


帝国軍正規採用鉄騎兵

スフェーン

直線的な装甲が特徴。スネ装甲あり。性能はルドベキアとほぼ同等だが、跳躍能力が高い特徴がある。主兵装は半月斧槍。盾は基本装備しない。


深紅の鉄騎兵(フィエの搭乗する鉄騎兵)

ゼラニウム

元王国所有の鉄騎兵。曲面装甲。頭部に生えた一本角が特徴。スネ装甲はつけておらず、全体的に軽装甲。その代わりに機動力が高い。主兵装は戦槌。




可翔機

 空飛ぶ魔鋼器の中で、浮揚方法がプロペラやジェットなど、常に回していないと空に浮かんでいられない魔鋼器の総称。大体は「ヘリコプター」である。数は少ない。



航空船

 空飛ぶ魔鋼器の中で、反重力で常に浮いていられる魔鋼器の総称。「船」は民間用で、「艦」は軍用である。特に大型の航空軍艦は戦略兵器で、こちらの世界でいえば大艦巨砲時代の戦艦並の戦力として通用する。




王家大隊

 王家直轄軍の中でも、最新の装備を供給されている七つの大隊。七虹大隊とも。

黄・赤・青・白・黒・橙・緑。

また別枠で紫色の大隊が存在する(国王親衛)。元々「紫」は秘匿部隊であり、世間的には存在しないことになっていた(その為、八部隊にして七虹)。




旧文明

 かつて栄えたといわれる先史文明。発掘抗と魔鋼器以外何も残っていない為、詳細は不明。文字は解析中だが、文書の類は残っていない(鉄騎兵の表示板などに表示される文字らしきもののみ)。



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