ラブコメばっかりの日常 (いいよ!俺が主人公だ!)

@uma-ki-da-yo-

第一章

第一章 譲りたい、この体質

「はあー」


学校へ向かう途中の道で俺は、深いため息を漏らしていた。

この、ラブコメ体質。望んで手に入れたものではなく、出来ることなら、誰かに放り投げてしまいたい。


「はあ、俺は朝から何を考えているんだ」

考えることすらもばからしくなり、開き直ろうとしたその時。


「よっ、主人公」

後ろの方から肩をポンっと、叩かれた。


「なんだ? 彰人か? というか、その名前で呼ぶのはやめろ」


「事実だろ? それに、案外まんざらでもなさそうだしな」


俺が彰人と言った少年は、そう言ってニヤッとした表情を浮かべた。


「どこがだ、どこが。その目はお飾りか?」


「なわけあるか! 立派に機能しでるからな!」


「……是非とも機能していると思い込んでるんじゃなく、本当に機能して欲しいんだがな」


「機能してるっての!」


茂倉彰人しげくらあきとー俺と同じ、彗聖すいせい学院に通う高校二年。

オレンジ色の髪に、スポーツ万能、こう見えて成績優秀。それでおいて、イケメン。俺なんかよりも、よっぽど主人公に適してる。


「はいはい。そう言う事にしといてやるよ」


「ほんとだっての!」


「はいはい」


この後、約10回ほどこのような会話が続き、彰人の声が異次元なほど大きいせいか、道中の人たちにはすごい目で見られた。

と、なんやかんやあったが、俺達は無事、彗聖学院にたどり着くことができた。


彗星学院 校門前

俺達は、彗星学院の校門の目の前に立っている。

改めて見ると、かなり大きい。

校舎はエレベーター付き、五階建てになっていて、一階から、一年生・二年生・三年生の順番で学年によって振り分けがされている。四階は部活動の部室。五階には食堂や、研究室などがある。


「やっぱり、かなりでかいよな。ここ」


これは驚いた。彰人も同じことを考えていたとは。

……それも当たり前か。

何せここは中から見てもだが、外から見ると余計に迫力がある。

そう言えば、観光者がこの建物を一目見て、偉い人の住居だと思い込んだという話が合ったな。それだけ、迫力と、風格があるのだ。

数分が立ち、俺達が立ち止まって後者の方を見ていると。


「お前たちは何をしているんだ?」


一人の女性が気味悪そうにこちらへ話しかけてきた。


「あ、影宮先生。おはようございます」


「ああ、おはよう。ではない! 私が聞いているのは、『挨拶』ではなく、『何をしていたか』ということだ!」


影宮有紀かげみやゆきーここ、彗星学院に勤務する国語教師。

国語の教師にも関わらず、白衣をまとい、そのせいか、家庭科の先生に間違われることが多いが、国語だ。クールな雰囲気をかもし出しているが、実際は感情がでやすく、特に喜怒哀楽で言う、怒が出やすいような気がする。


「何って、校舎を眺めていただけです」


「……そうか。だが、急だな。何かあったのか?」


「特にこれといったことは。単に、校舎がでかいなと。というか、先生の方こそ何か用があったのでは?


「そうか、見るのはいいんだがー」


先生がそう言いかけた直後、「キーンコーンカーンコーン」残り一分を知らせるチャイムが鳴り響いた。


「時間がまずいのに気づいてなかっただろう」


先生の言葉はまさにそうで、俺と彰人はお互いに目が合い、思ってることは一緒らしかった。


「走るぞ」

「ああ」

全力疾走。これしかない。

二階ということもあって少々距離はあるが、それほど問題ではない。


「では、先に失礼します!」


先生の方へ向き、それだけ言うと、俺と彰人は一直線に走り出した。


「いい友に恵まれて良かったな。あ、そう言えば転校生の事を言ったか? ーまあ、いいか。さて、私も行くかー」

ん? 誰かいたような気がしたんだがーいや、気のせいか。


「……さっきの男の人が私の……確かめなきゃ」


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