幕間三

「そういうことだから、後は頼んだ友よ」

「ふざけんな馬鹿野郎。何言ってやがる夢見勝ち野郎が」


 日本の関東地方に位置する小高い山に館を構える一人の魔術士、夕草景は他の魔術士から『至高』と言われているが、俺からすればこいつは真正の馬鹿だ。

 何しろこいつのしようとしている真理の解明があまりに子供じみていて驚き呆れて半分聞き流してしまいそうになるレベルだから。


「お前の魔術式が完成したって聞いたから来てやったのに、近いうちに自分は死ぬだと? 冗談も度が過ぎると本当になるぞ」

「狼少年か。懐かしいな。あれは嘘を吐くなという戒めよりも、嘘は連続して言うものではないという暗示も含まれている。世の中には優しい嘘というものもあって」

「お前の持論なんてどうでもいい。術式が完成したならさっさと身を隠せばいいだろうが。何を悠長にしてるんだ」

「悠長に構えていられないから君を呼んだんじゃないか」


 薄々気付いてはいた。魔術の深淵を目指す者同士、何度か命のやり取りもした間柄だが、それでも最後には酒を酌み交わして笑って去っていくくらいには関係は良好だった。そんな竹馬の友とも呼べる男から「長年の研究が実を結ぶ」と言われれば顔見せるのは当然のことだろう。ついでに結婚生活のことで一つ冷やかすことも考えていた。

 開口一番に「僕は近々死ぬ」と口にするまでは。


「僕の研究してた魔術は君も知ってるだろう?」

「夢の魔術だろう? 相手を催眠状態にすることで幻覚を見せる」

「その通り。君とも何度かやり合っているから今さら説明は不要か」


 景が研究しているのは夢に関する魔術だ。睡眠時、脳の処理を最適化しその日の出来事を整理する時間が与えられる。夢とはその処理の中で重要な内容を繋ぎ合わせ、その人物にしか見ることのできないドキュメンタリー映画を作成する行為だとも言われている。夢の魔術は睡眠時に行われる脳の処理を意図的に操作し、対象者の脳を覗き見る術だ。

 ただし魔術士同士の闘争の際、夢の魔術は時間稼ぎのためにしか使われない。眠らせることで動きを止めることは出来るが、命を奪うものではないからだ。


「僕が完成させた術式は、一対象にかける魔術ではなく、夢の魔術士が保有する心象風景をこの世界に映し出し、自分も含めた界に侵入した全ての存在に夢の魔術を行使する」

「おい、まさかそれ」

「『心象風景の強制共有』つまり心界圏現だ」


 夢とは人が眠る時に見る残像。触れることも出来ない幻想だ。だが夢にはもう一つの意味がある。叶えたい願望、人の欲する未来の在り方の相称もまた夢という。景はこの両方の「夢」を現実にする魔術を最終目標にしていた。

 今ある世界に自分の界を上乗せして出現させるから膨大な魔力を必要とし、並みの術士なら一回の顕現で魔力の枯渇で死に至ることもある。


「無幻なる夢限の庭園(アルカディア)。それが心界の名だ。術式の中身は今見せられないけど、おいおい君にも伝わるようにしておくよ」

「何言ってんだ! お前本当に魔術士か。そんなことすりゃ」

「神秘の隠匿かい? そんなもの知ったことか」


 人間社会からすれば問題にも挙げられないが、魔術士が他の魔術士、もしくは一般人に魔術を人前に見せることは御法度とされる。

 神秘とは隠されているからこそ価値があり意味がある。起こりえない神秘を意図的に引き起こし、人の身で実現することで魔術という形に落とし込んではいるが、複数の人間に魔術を知られては神秘どころか魔術ですらなくなり技術になってしまう。奇術師が自分のマジックのタネを隠すようなもので、わからないこそ人は驚き、時として恐怖し、崇める。そういった人の感情を左右するほどの業こそが魔術になり、神秘と評される。

 厄介なのは一人でも魔術を公に広めてしまえば、その影響が周りにも拡大するということだ。先の奇術師を例に挙げるなら、コインマジックのタネを複数に見せてしまえば、同じコインマジックをする同業者は二度と客の前でできなくなるようなもの。明かされたコインマジックを見ても驚きはなく、身銭も稼げない。

 多数に起こる神秘は神秘ではなく再現性が高い現象となり、魔術士はそうなることを忌避している。もしみだりに魔術を公の場で見せたり、魔術を一般人に行使するような者がいれば、魔術士同士で村八分にしたり、魔術士全体の害悪として処罰されることもある。

 魔術士という存在が千年以上前から生まれたのにもかかわらず、この現代にも生き永らえていたのは先人たちが神秘の隠匿を守り、徹底してきたからだ。そんな暗黙の了解(ルール)を景は知ったことかと言ってのけたのだ。


「さすが『異端の魔術士』とも呼ばれるだけのことはある。『至高』よりもずっと似合ってるよ」

「家の件か。忘れたよそんな些末なことは」


 景は他の魔術士たちから『異端』とも言われた存在だった。魔術士が持ちうる四大属性、火水風土の全てを有し、さらに自分自身で新たな魔術式を作る才能もあった。魔術式の内容は彼の家の人間たちしか知らされておらず、他の魔術士に知られぬよう家の者たちは彼を軟禁状態にしたほどだった。

 普通の魔術士なら家の決定に背こうなどと思いもしないのだが、夕草景という男は『異端』ゆえの反抗を試みた。それでも軟禁生活を余儀なくされた景は作成中だった夢の魔術を使い、家の人間たちの目を盗んでは外へも何度か足を運んだ。

 そんな外出をする中で景はアリサと出会った。


「忘れるんじゃねぇ。てめえの欲を優先した結果が家の人間全員を売り払うとか頭がおかしくなったとしかいえん」


 夕草家は日本の魔術士の家系ではそれなりの名家で、四大属性を重んじる自然崇拝を基盤にした家系だった。しかし術の継承に関しては病的な関心を持っており、魔術の修業はもちろんのこと、衣食住にも魔術を取り込む生活を子孫たちに強要していた。食事の仕方から挨拶、排泄に至るまで自然崇拝に通じる所作を徹底させたのだ。

そんな夕草家が突然の終焉を迎えた。ある日を境に家の人間全員が消えてしまったのだ。神隠しにでもあったような突然の消失は周りの家々にも噂されるほどであった。

その理由が一人の女性にあるとなれば誰もが耳を疑うだろう。


「今でも鮮明に思い出せる。その日も見張り役を白昼夢にかけて外出した時だ。町で彼女に、アリサに会った。一目惚れってやつさ。まるで魔法にでもかかったようでね。僕は何度か彼女にアタックしたアリサは修道女だからとガードが固くてね。それでも諦めず根気強く粘ってみた。半年はかかったね。そこからは彼女も折れてくれて、一緒に時間を過ごすことが多くなった」

「そういうことは覚えてるんだな」

「当たり前だよ。それに家の件は全部僕のせいという訳でもない。僕は彼女とのこれからを望んだだけなのに家の皆がそれを拒んだ。しかも生まれてくる子どもにも僕と同じ生活を強いると来た。それだけは絶対に阻止したかったんだ」


 血統を、魔術の発展を第一とする魔術士にとって外部の、しかも何の力も持たない一般人を嫁に引き入れるなどあってはならない。魔術と無縁の子どもが生まれる可能性もあるのだから、血が途絶え家の没落に繋がる不安は絶対に避ける。特に名家である夕草家ならなおのことだ。夕草の人間たちが景とアリサの結婚を反対したのは言うまでもない。仮に結婚出来たとしても、家にいたままなら生まれてくる子に魔術の手解きを行うと言ったことで景の決心は固まった。


「そのために夢の魔術を家の人間全員にかけたのか」

「家の皆は僕がどんな魔術を作っていたのかまでは知らなかったからね。おかげで全員今でも夢の中さ」


 景はアリサと生まれてくる子どものために、自分以外の一族の神秘魔導連に売り渡し、代わりに自分とアリサの行方を完全に絶つ手助けをさせた。家の血と魔術を途絶えさせないことに命を懸ける魔術士からすれば、正気の沙汰ではない異常極まりない行為だ。


「で、今はこうして普通の日常を手に入れたっていうのになんでまだ魔術の深淵を覗く?」

「僕は、魔術を手放すつもりだったんだけどアリサがもったいないって。今日君をここに呼んだのも彼女の発案さ」

「嫁の尻に敷かれてるな」

「君も愛する者を持てば僕の気持ちが分かるさ」


 初めて会った時の景の印象は典型的な「魔術士」だった。何においても魔術の発展を第一とし、それ以外は全て障害でしかないと本気で思っていたし、自身の魔術発展のためなら非合法な実験も難なくやっていた。いわゆる人体実験という奴だ。

だが愛する者を得たことで景は本当に変わった。自身の魔術に対する熱意は変わっていないが、扱いは本当に雑になった。自分の魔術式を他人である俺に見せるとまで言ってのけるのだからこっちとしては気でも狂ったのかと疑ってしまう。


「おそらくこの術式が開示されれば魔導連が僕を始末にやって来る。未だ調整が必要な術式だ。調整中に失敗し今の世に明るみになれば魔導連だけの問題じゃない。多くの犠牲と隠滅、破壊が生まれる。そうなる前に僕を殺して術式は永久に封印されるだろう」

「お前の創った心界はそれほどに問題のある代物なのか?」

「問題はないんだけど、術者の心根で発動内容が大きく左右されるんだ。一度顕現させれば術者の意識を阿頼耶識に繋ぐんだけど」


 軽い感じで続ける景の話に俺は待ったをかける。何故ならこいつは魔術士の最終目的を別の言い方で提言したからだ。

 阿頼耶識とは万物の現象を発生させる基盤、全ての原因を言う。霊長の無意識化での同一意見。人間の五感と意識、そして無意識から来るあらゆる経験を輪廻すら超えて蓄えた「蔵」から放たれる種子。それらが人間の五感や意識として浮かび上がる。

つまり目の前の馬鹿は「真理(あらやしき)に自身の術式を繋いで己の願いを霊長全体の無意識化での同一意見にしてしまう」ということ。


「当然心界内だけにはなるけど、内側で起こる現象の全ては必ず起こる。死んだ者は『生かしたい』と思えば生かせるし、逆に不死の怪物でも『死なせたい』と思えば殺すことも可能だ」

「俺もか?」

「『魔導師・0』君でも」


 脅すつもりはないのだろうが、景は俺の眼を見ながら解説する。話している当人も分かっているが、俺も俺自身の死などどうでもいい。今の俺は死んでいるようなものだ。だが次の景の言葉は耳を疑うものだった。


「ただ僕の目指す最終目標はそこじゃない」


 景が目指す最終目標。俺は彼の思惑を聞いて背筋が凍る。


「僕の究極的な目的、それはこの心界をこの惑星全体に推し広げ祈ること。内容は『全ての戦闘行為が禁じられた世界』だ」


 世界中の聖人君主でさえ達成出来なかった究極の目的。恒久的な世界平和の実現。それを目の前の男は本気でやってやろうというのだ。これが酒の入った話なら抱腹絶倒だったろうが、残念ながら今の俺も景も素面である。


「驚き呆れる、とはまさに今の君を言うんだろうね」

「当たり前だ。何故人が争いを止めないかお前が一番分かってるだろう」


 苦笑する景こそが骨の髄まで理解している。人の歴史は闘争の歴史。争い失くして人は語れない。争いと一言に言ってもその理由は様々だ。食糧のため、土地のため、民のため、理由は人の数ほどある。だがどんな理由も争いになる必要性はない。言葉で解決出来ることも多々あっただろう。だが人はそう簡単で単純ではない。ゆえに人は拳を交え、剣を交え、銃を構える。俺たちの場合は魔術を行使することになるのだが、言葉ではない武力で交わすのだ。


「その戦闘っていうのは、菓子の取り合いも含まれるのか?」

「揚げ足取りは感心しないな。僕は言ったよ全て、とね」


 強制的な世界平和。目の前の馬鹿の言う通りなら、確かに景は魔導連にバレれば即刻死刑だろう。何故なら魔術の研鑽、発展には魔術士同士の闘争も推奨されているからだ。こいつの望みが叶えば魔術の発展はいつか完全に止まる。そうなれば魔術士も自然消滅だ。


「だがこの心界、なかなか扱いが難しくてね」


 悩ましい表情を浮かべる景はどこか恥ずかしそうにも見えた。


「僕が出来たのは基礎作りまでで、手抜かりなく運用させるには調整と定着が必須なんだけど、これが出来ない」

「何故?」

「僕と術式の相性だね。簡潔に言うと僕じゃこの術式は扱えない」


 今度こそ呆れてものも言えなかった。こいつは自分で使えもしない術式を命懸けで作っている最中だと言ったのだ。ここまで馬鹿だとむしろ笑える。


「いや本当に徒労に終わるところだったよ、あっはは」

「笑ってる場合かよ……」


 だが馬鹿な魔術士の言った最後の言葉が気になった。


「待て、終わるところだった?」

「本当に無駄に終わるところだったんだけど、幸か不幸か適性を持ってるみたいなんだ」

「それって」

「生まれるんだ、僕とアリサの子が。娘さ」


 沈痛な面持ちで景は重くなった口をそれでも開く。


「なんだ。話を引っ張るもんだから子どもに術式を継がせないのかと思ったが、継承はさせるんだな。じゃあ何の問題も」

「そこが問題なんだ」


 この後に告げられる景の悩みが、過去俺が聞いてきた最大にして最低の質問だった。


「これから生まれてくる子に、僕の術式を、家の業を継がせるのは本当に良いのか」


 まだ見ぬ娘を思ってのことだろうが、魔術士にとって子どもの人生など二の次だ。大事なのは真理の到達。それしかない。だが目の前の男は自分の妻と未来の娘のために一族全員を売り飛ばした奴だ。そんな非常識(あたりまえ)は通用しない。


「だから一つ手を打つことにした。何度も言うが僕は遅かれ早かれ始末される。願わくばアリサと娘は助けたいが、可能性を少しでも上げるには僕とアリサが犠牲になる必要がある。これが僕の術式と娘を守る最小で最大の犠牲だ。そして幸運なことに現状殺される相手はこっちで選べる」

「選べる? なんでそんなこと」

「『0』僕を殺す処刑人に名乗り出てくれ」


 思考が止まった。こいつは何を言っている。


「夕草景と繋がりのある君が僕の抹殺を名乗り出れば信憑性は格段に上がる。魔導連からすれば新たな術式の確保も兼ねているんだ。そこらの野良魔術士に頼ることは避ける。とはいえ僕より腕の立つ処刑人(まじゅつし)なんてそうはいない」

「自分で言うか?」

「事実だ」


 残念なことだが、目の前のアホの言う通り夕草景より腕の立つ魔術士など片手の指で数えられるかどうかだろう。


「そこで『0』である君が魔導連に赴けば即決で僕の処刑人になれるはずだ。そもそも君が現世に出て来ること自体が珍しいんだ。君が今回の件に首を突っ込めば確実に採用される。そうなればこっちも動きやすくなる。殺される場所はこの家で良いか。アリサにはこの後話を付けておくから」

「ふざけるな! お前俺に殺されることを相談するって何考えて」

「娘のこれからを考えている」


 何かを守るために人は魔術士以上に異常者になれる。俺は今それを目の当たりにしている。


「僕から差し出すのは僕自身と、術式そして魔道痕だ。とはいえこれらは君に直接渡す訳ではなく娘に渡すものだ。時が経ち、娘が夕草の魔導を欲したら君の手で渡してほしい。渡し方は任せる。タダであげても良いし金銭が発生するように仕向けるならそれでもいい。家族とはいえ魔導痕は簡単にあげられるものではないからね。とはいえこのままじゃ君が何ももらえないからさっきも言ったように、時間差で僕の術式を君にも伝わるように細工をしておく。娘に説明する際に必要だろうし」


 何を言っても景の決意は変わらない。嫌というほど伝わった後、俺は盛大に溜め息を吐いて渋々作戦決行に当たっての重要な事項に触れる。


「……俺へのペナルティは? もしかしてリスクなしって訳じゃないだろう?」


 景は沈痛な面持ちで丸められた羊皮紙を取り出す。古びた羊皮紙とそれを封印していた紐を解きほぐすと広げられた羊皮紙に書かれた呪いの文字、呪言が赤黒く発光している。間違いなく景の血で書かれたものだ。魔術士同士が絶対の契りを結ぶ時に用いられる呪魂契約書(カース・ファイル)。死んだ後により強まる契約書は絶対命令権を有する。


「僕は嘘を吐きたくないから本当のことを言うけど、対価は君の想像以上に重い。僕の全てを君に開示する代わりに僕と契約を結んでもらう。死んだ後も有効になる、死んだ後により強まる呪魂契約だ」

「内容は?」

「僕の死後、娘が魔術士を目指し、僕の魔導痕を移植する場合、君は一生娘の師となり、親代わりになる。普通の人として人生を歩む場合はもう一人の後見人に面倒を見てもらうからその時は君に僕の全てを差し出そう」


 安過ぎる。俺は即断した。死後より強まる呪魂契約書は対象者に死よりも重い枷を双方に課す。しかし俺は景の娘の後見人になることで、景自身は自分の命を差し出すというのだ。しかも娘が一般人として生活することを選べば俺はこいつの財産を総取り出来る。全く釣り合いが取れていない。


「釣り合ってないって顔してるね?」

「どう見ても俺だけが得をしている。お前の娘の面倒を俺が本当に見るとでも言うのか? 俺がどんな魔術を扱ってるか知ってこんな契約を結ぶと?」

「確かに君はこの世に存在する概念全て『無』に帰すことが出来る。僕と呪魂契約し僕を殺した後、契約そのものを『無』かったことにすることは簡単だ」

「なら」

「だからこれは、お願いだ。信じていると言ってもいい」


 屈託ない笑みは子どものようだった。魔術士が同じ魔術士、その中でも一際悍ましい部類に入る魔導師を信じると言ったのだ。


「殺す日取りなんかは僕に言わなくていいよ。むしろ急に来られた方が僕としても助かる。少しでも君と手を組んでたと悟られるのは嬉しくない。術式やら諸々の移動はこっちでやっておくからそこは気にしないで」

「……どうかしてるよお前は」

「だろうね。でもこれが僕だ。『至高』と呼ばれる魔術士の本性さ」


 魔術士なんてどいつもこいつもロクデナシばかりだ。自分のためだけに人生を扱い、自分のためだけに人も殺す。だが夕草景は自分の研鑽も人生すらもこれから生まれてくる娘のために全て捧げる。そんな奴が魔術士で世界を平和にしようとしているのだから本当にこの世は喜劇だ。


「娘を頼むよ○○○〇」


 それが俺『零』唯一の親友が残した最後の言葉と呪い(ねがい)だった。

 答える義理も恩義もない。ただ俺には縁があった。

 その縁を切って捨てるほどには、俺の人間性は消えていなかった。


 そして俺は。

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