第2話 統也さんと遊びました。楽しかったです。
生者 :
今日は、すごい崩れた建物がある所に行きました。
建物の後ろにある山は、カブトムシがたくさんとれるよ、って、こう君が言ってました。
こう君のお父さんは、「1人で行かずに、お父さんやお母さんと行くんだよ」って言ってたけど、僕1人で来ました。
だって、なんだか冒険みたいで楽しそうだったからです。
帽子をかぶって、水筒に冷たいジュースをいれてきたから、暑くても大丈夫だと思います。
本当は、夜に罠をしかけたかったけど、お母さんに「夜は危ないからだめよ」って言われたから、おやつのポテトチップスを食べて、行きました。
草ぼーぼーの所を行くと、崩れた建物が見えました。草の中に、バッタやカマキリがたくさんいて、捕まえました。
「すごいボロボロだ。何の建物だったんだろ。」
崩れてきたら嫌だな、と思って、僕は早く山に行こうと思いました。
その時、お兄さんが居ました。
「どこ行くの。」
お兄さんは、お医者さんみたいなカッコをしてました。お医者さんかな、と、思いました。
「カブトムシとりにいくんだ。そこの山。」
お兄さんは、山の方を向いた後で、僕に、
「やめといたら?」
と、言いました。
「なんで?」
と、聞くと、
「怖いクマとか、おばけとか出るかもよ。」
って言いました。でも、僕は強いので、大丈夫だよって言いました。
「僕すっごい強いから大丈夫だよ。足も早いから、すぐ逃げれるし。」
パンチやキックを見せてあげました。そしたらお兄さんは、
「ふーん、君は強いんだね。おばけも怖くないかもね。」
と、言いました。
僕は、早く山に行きたかったので、あいさつをして、走りました。でも、お兄さんは山の入り口に居ました。びっくりしました。
「お兄さん、どうやってここに来たの?」
「ん?あぁ、近道したんだよ。君が知らない近道。」
「もう行ってもいい?」
「俺がダメって言ったら、どうする?」
「えー、いじわるやめてよ。」
「嫌だ。お兄さんはいじめっこだから、君を通せんぼするよ。」
「早く行かないと、夕方になるじゃん!そしたら、お母さんに怒られるじゃん!」
「お母さんが怖いの?」
「怒るとすっごい怖い。鬼みたいになる。」
「・・・お母さんより、怖い存在が目の前にいるはずなのになぁ・・・。」
お兄さんは、何か考えていました。
「じゃあさ、俺と少しだけお話ししてよ。そしたら、山に行ってもいいよ。」
お兄さんは、近くにあった大きい石に座りました。僕も、その近くの石に座りました。
「ねぇ、名前、何?」
「僕?
「桃宇統也。統也でいいよ、想大くん。」
統也さんとたくさんお話ししました。
「想大くん、もう宿題やった?今、夏休みなんでしょ?」
「まだ。だって、算数きらいだし。」
「好きな授業は無いの?」
「ある。体育が好き!この前ねぇ、プールの競走で1番だった!」
「それはすごいね。他に何が好き?授業じゃなくてもいいよ。好きな食べ物とか、色とか。」
「食べ物はね、唐揚げが好き。あ、でもポテトチップスも好き。あ、お寿司も好き。でねぇ、色はねぇ、赤とか青が好き。統也さんは?」
「俺?俺はね、桃が好き。美味しいから。で、桃色が好き。ピンク。あ、白も好き。」
「えー、男がピンクとか、変じゃん。」
「変じゃないよ。男がピンク好きでもいいんだよ。」
「んー、でもなー」
「大きくなったら分かるよ。でも、ピンクとか好きな人がいたら、変って言っちゃダメだよ。悲しくなる人がいるからね。」
「分かった。じゃあ、統也さんも悲しくなった?ごめんなさい。」
「謝ってくれたから、悲しく無いよ。やっぱり、想大くんは強い子だね。」
統也さんといっぱいお喋りしてたら、喉が渇いたから、水筒のオレンジジュースを飲みました。統也さんにも分けてあげようと思って、コップに注いだけど、いらないって言われました。
「なんでいらないの?」
「喉乾いてないから。想大くんが全部飲みなよ。」
「暑いときは、飲み物飲みなさい、喉乾く前に飲みなさいって、先生が言ってたよ。」
「そっか。じゃあさ、ここに置いてよ。ここ、石の横の、地面の所。」
「なんで?」
「俺、オレンジ色も好きなんだ。見たいから。見せて。」
統也さんは、変な人だなって思いました。少しだけオレンジジュースを見たあとで、
「おいしかったよ。」
って、飲んでないのに言いました。オレンジジュースは、僕が飲みました。
「ねえ、統也さんも一緒に山行こ。」
統也さんとまだお話ししたかったので、統也さんと一緒に山に行こうと思いました。
「ごめん、俺も山に行きたいけど、それはできない。」
「なんで?」
「俺は山に入ったらいけません、って言われてるから。ルールは守らないと。想大くんも、学校のルールとか、ゲームのルール、守るでしょ。」
「ちょっともダメ?」
「ちょっともダメ。」
「じゃあ、統也さんと遊ぶのはいい?」
「俺と?遊ぶの?何して?というか、カブトムシはいいの?」
「カブトムシ、明日でもいい。ここ隠れるところいっぱいあるから、かくれんぼしよ。」
「分かった、いいよ。でも、遠くに行ったらダメだよ。あの建物の近くだけね。」
「えー、うーん、分かった。じゃあ、統也さん鬼ね!僕、隠れるね!」
「えっ」
統也さんと、かくれんぼをしました。統也さんは僕をすぐ見つけたから強いなって思ったけど、僕が鬼になった時は、僕も統也さんをすぐに見つけました。
近くにバッタがいたから、バッタを捕まえたり、だるまさんがころんだをしたりして遊びました。今度、スイッチを持って一緒に遊ぼう、と、言いました。
「疲れたからオレンジジュース飲む。」
「それ、飲んだら帰りなよ。」
「なんで?」
「腕時計、もう5時だよ。帰らないと。」
「えっ!本当だ!5時半までに帰らないと怒られる!」
統也さんに、あいさつをして帰りました。
たくさん遊んで楽しかったです。
明日も統也さんと、たくさん遊びたいです。
桃宇統也は、そこに居る。 ツカサ @tsukasa888
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