異世界に迷い込んだ主人公の少年が、ロリータ服の似合う美少女探偵の助手となり、難解な事件を探るお話。
軽い気持ちで拝読していたのですが、いやいやなかなか骨太な展開!! ミステリー好きなのも相まって「おおっ」とのめり込んでしまいました。
ホームズ&ワトソンは、一話目では忽然と姿を消した男の謎を追います。
真相は切なく、そしてこの設定ならではの着地でした。ある種の密室です。みなさまもぜひぜひ謎解きを!!
二話目で起こるのは、一度村から出てまた戻った妖精が、なぜかみな引きこもって餓死してしまうという事件。
これ、私がめっっっちゃ好きなテイストでした。
何を言ってもネタバレになりそうですが、京極夏彦先生とか白井智之先生がお好きならハマるのではないでしょうか。
妖精の羽という、一見メルヘンチックなアイテムがまさか『あんな役割』を果たしているとは……!!
普段異世界ものをあまり読まない方にお勧めしたい一作です。
主人公は元の世界に戻るのか?! さらにホームズ役のヒロインにもまだまだ秘密がありそうで、先が楽しみです!
異世界に迷い込んでしまった少年が、謎のロリータ服の探偵少女の助手に無理やり任命され、共に事件を解決する物語。
探偵少女のフルネームは『シャーロット・ホームズ・クリスティー・ドイル・カー・クイーン・ポオ・ディケンズ・モーム・クロフツ・グリーン・ダイン──以下略』というらしい。
シャーロックホームズ以下に本格推理の著名作家の名が並んでいるあたり、この作品はそのあたりの推理小説を意識した世界観だと思われる。
実際、出だしこそメルヘンチックだが、裏の事情が明かされるたび、この異世界は現実を同じような問題を抱え、決して牧歌的な楽園ではないと読者は悟っていく。
とりあえず、異世界でもパワハラが横行してる様子なのは嫌かな……。
シャーロット(以下シャロ)は、見た目とは裏腹にそんな現実を見ても動じない成熟した大人……を通り越して老成と言えるような内面を持ち、そのギャップが魅力になっている。
それに対して、助手の遠崎(トワソン)の方は、今のところ相棒と言えるほど存在感を示せていないというのが正直な感想だ。
推理に重大なヒントを与えるでもなく、実地調査を代わりにやるわけでもない。
自分からはほとんど動かないシャロの身の回りの世話をするのかと思えば、その役はほぼパーフェクトに有能にこなすメイドがいる。
シャロと正反対の意見を出して事件の真相に他の方向から光を当てるというのでもない。ただ脇で推理を聞いているだけだ。
こんなに使えない彼を、シャロはなぜ助手に選んだのか……。
そこのところは未だに明らかになっていないのだが、多分それも謎の一つだ。
話が進めばいずれ解明されるのだろう。
そして、この異世界そのものにも謎がある。なぜ現実世界と同じ言葉が知られているのか、どういう経緯で別の世界の人間が迷い込んでくるのか。
謎が解明されるたびに、新たな謎が生まれ、謎はさらに深まっていく。
読者としては名探偵がすべてを解きあかしてくれるのを待つしかない。
▼スライムや妖精などのファンタジー生物の設定が良い!
どちらもファンタジーには定番の生物だけど、その設定や習性が独特で、よく練り込まれていると感じました。
特に妖精の話は妙にリアルで、どこかの外国で実際に読み聞かせされていそうな、不思議で少し怖い雰囲気が魅力的でした。
▼キャラクターに不自然さがない!
登場人物の行動や話し方に違和感を感じる事がなかったので、全てのキャラクターに愛が込められているなと感じました。
出てくるキャラの性格が全員違うので、キャラクターを覚えやすいのも良かったです。
▼ストーリーの展開が上手い!
伏線の貼り方が絶妙で、絶対に伏線になるとは分かりつつ、割と終盤まで結末が読めないように、結びつかせないのが上手かったなと思いました。
二つ目の事件は個人的に記憶に残るストーリーだったのでそこまで読んでみることをおすすめします(現時点で最新話笑)。ただ、苦手な人は苦手かもしれません。
▼気になったこと
逆に言えば、キャラの行動や考えで予想外の内容が入る事がなかったと個人的に感じたので、少し予定調和的な雰囲気があり、ちょっと物足りなかった?と思いました。
最新話まで読みました
<良いところ>
序章から世界観に引き込まれました。最初が上手く描ける作者は、今後にも非常に期待ができるので頑張って欲しいです。村の名前も変なひねりもなく、読者にわかりやすい名称なのが良かった。序盤のテンポも良く、さらさらと読めます。
また、この異世界への疑問点を散りばめているところも素晴らしいと思います。読者が飽きない工夫もされていて、背景描写も適度に回収するのも上手く描かれていました。(特に何話も前の「裏路地の子供がいた」というところ)
非常に良かった点は、キャラクターをきれいに動かせているところです。振り回すこともなく、振り回されるところもなく、愛嬌があって良いです! 意思を持っているなと感じました。なにより序章が良いです。エアちゃんの可愛さも良く描かれています。
<気になったところ>
行間が詰め詰めで見えにくい場合もある。メインの「謎解き」は早めに出した方が良い。例えば新キャラのマリネットは遅らせるなど。
また「あの子ことシャーロット」も、少し登場を早めても大丈夫かなと思います。
物語はまだ序盤なのでゆるりとしたレビューになってしまうことお許しください。
まずタイトルが好きです。「異世界Q.E.D」いいですね、つい言葉に出したくなる語感のよさです。このタイトルだけで、何が飛び出してくるんだろうという期待の気持ちにさせられます。
物語の進行度的に主人公は心優しく感受性豊かな人物なのかな?という印象。彼を取り巻くキャラクター達の個性はこれからどんどん描かれていくと思うのですが、こちらの作家様がキャラクター愛を持って作品作りに励まれていることは過去作品を見てもわかりますのでそこは心配していません。
既に主人公と親子とのやり取りが温かくて癒されますね。
キャラクター愛があって、ちゃんとメッセージが込められている作品が好きという方には自信を持っておすすめします。
長文失礼。