第5話 雛櫛メイ、登場
大竹に襲われた翌日の放課後のことだ。
「イてぇ!」
「ちょっと計人、前をしっかり見なさいよ……」
計人は一人の小学生に体当たりをされていた。
「いやいや、この子がぶつかってきたんだって……」
「あなたが日比野計人さんですよね!?」
尻餅をついた計人が藤花に言い訳していると金髪ショートカットの少女はガバッと身を起こし計人の顔を覗き込んだ。
「あなたの噂は聞いています! あなたの実力を頼ってお願いに来ました!」
突然の事態に計人が目を見張っていると少女は大きく息を吸い込み言った。
「実は私の『保護者』を助けてほしいんです!」
「ええええええええええええええええええええええええ」
計人は目を白黒させた。
そして、『これ』こそが事件の始まりだったのである。
◆◆◆
「(ねぇねぇ、どーするの? アンタ、『生存競争』には関わらないんでしょ!? 明らかに生存競争案件よこれ!)」
「(仕方ねーだろあんな風に頭下げられたら……。最悪断るよ……。それにオレの噂ってのも気になる……)」
それから数分後、計人達は金髪の小学生に連れられ街路を歩いていた。
少女の名前はマロン。小学五年生らしい。
この度マロンの保護者が困った事態になってしまい、計人の力を借りたいのだそうだ。
ちなみに保護者とは基本支給金のない子供を見る生徒のことなのだが……
「なぁ、マロン、ところでお前の『保護者』って誰なんだ」
この道の先には計人達が通う高校の女性用学生寮があったはずだが。
「げ、なんかちょっとやな予感……!」
一方で、女性の第六感なのだろうか、藤花がぞくりと身震いしていて、時を同じくして通りの先から一人の少女が現れた。
「……マロン……探したわ……」
「お姉ちゃん!」
「……今は危ないから、一人で外出ちゃダメ。……そう言ったでしょ」
その出て来た少女とは、マロンに駆け寄ってきて「……良かった」とその身を抱きしめた少女、とは――
「え――」
出てきた少女を見て計人は息を詰まらせた。
「雛櫛、メイ……?」
なぜなら雛櫛メイ、計人の憧れの人だったからだ。
「……ひ、日比野君……??」
銀髪の少女は目の前に立っている男が計人だと知る目を大きく見開き驚きを呈した。
「あ~最悪の展開ねこれ」
背後で藤花の気だるそうな声がした。
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