妖魔への復讐。その果てには何が待つ?

大学生の主人公、あずさの住む街には、奇妙な噂がありました。
人を喰らう妖魔と、それによって生み出された、オモイデサガシという亡霊の噂が。

とはいえ噂は噂。たとえそれが真実だったとしても、あずさにはかかわり合いのないこと。そのはずでした。

しかし、霧島さんという青年とであったことで、あずさの運命も大きく変わっていきます。
霧島さんは妖魔によって家族を奪われた過去があり、今彼の胸の内にあるものは、妖魔への復讐。

復讐というと、どうしてもネガティブなイメージがつきまといがちです。失ったものは戻ってこない。自分自身が傷つくだけ。そんなことを思う人もいるでしょう。
ですが、これは復讐を誓っても無理はない。大きく賛成はできなくても、彼のしようとしていることを否定なんてできない。そう思わせるだけの迫力と説得力をもって、彼が復讐に走ることとなった事件が描かれます。

元々この作者様は、人の感情や抱えているものといった心の内を書くのが非常にお上手。登場人物の怒りや悲しみ、それにより突き動かされる衝動が、見ていてとても伝わってきます。

そしてそれは、負の感情ばかりではありません。
あずさが霧島さんに惹かれていく様子。彼の目的を知って、それでも近くにいてほしい、一人にはさせたくないという強い思いもまた、読んでいて凄く伝わってきました。

様々な思いの交錯する、切ない復讐劇は、どんな結末をむかえるのか。その先に、少しでも救いや幸せは待っているのでしょうか。

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