夜
白川津 中々
■
私は悩んでいるのです。
夜毎にビールなどをいただき、うだつの上がらない人生の憂いを麻痺させているのですが、日に日に頭が弱くなる現実に、看過できない不安を感じているのです。お酒を飲む度、馬鹿になっていく気がして落ち込んでいるのです。
お酒を控えるだけで悩みは晴れ、断てれば一番よろしいのでございますが、私にはお酒しかないのです。一人の私は、人間を地に落とす液体しか縋るものがございません。伴侶や友人がいればこんなものに頼らずとも立派に生きていられたでしょうが、私は一人、一人なのです。孤独の影に怯え泣く、残念な人間として過ごす他にないのです。不幸とはこんな事をいうのでしょう。あぁ、辛い。お酒、お酒。
お酒がまた入ってきます。周りが明るく見えてきました。その分影は黒く、深くなっています。酔っ払った私には、影が怖くて仕方ありません。いつか、この影が私を呑み込むのだと思うと、気が気でいられないのです。
けれど、影から離れるなど無理な話で、生涯托生の定めがございます。いつか影が私を呑み込むその日まで、影は私について回るのです。
お酒、お酒を、いただきます。
影が黒くなっていきます。
夜 白川津 中々 @taka1212384
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