おわりに

 自分の備忘録もかねて、2021年に放送された二つのアニメ作品をここでは紹介した。歌か楽器かの違いはあるものの、これらは明らかにウィズコロナにおける音楽表象の一面を、アニメという手法から露わにしているのではないだろうか。しかしながら、私は残念ながらこれまでそれほど多く音楽アニメを見てきたわけでもない。「けいおん!」は大学生になってから見たが、「響け!ユーフォニアム」は見ていないし、「マクロス」も見ていない。これ以上詳細に検討するには私にとってはまだまだ力不足も甚だしいので、気たるべく気鋭の批評をぜひ読んでみたい限りである。


 次年度から私はそして某大学の教員として、わずかながら教壇で講義をすることになっている。浪人や留年の可能性を排除してしまえば、私の講義をうける学生と自分の間には、わずか10年くらいしか変わらないことになるだろう。それでも、コロナ禍の中で高校生を過ごしてきた彼/彼女らの見てきた世界は、10年前に自分が見てきた世界とは決定的に違うはずだ。もしかすると高校生バンドとして、文化祭やライブハウスでデビューするという夢が叶えられなかったまま、学生になった人もいるかもしれない。そんな彼/彼女らももしかしたら、私がこれらのアニメを見て同じ感想を持ったのだろうか。


いつの日か、ヴィヴィのように数多くの「偶然」と遭遇するための舞台としてのステージが機能し、「何が自粛だ」と愚痴を吐いたニューオーリンズのオーナーが笑って過ごせるような、そんな時代が到来することを心より期待したい。

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都市・文化芸術論 ukiyojingu @ukiyojingu

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