第5話 結婚するのか しないのか

友人たちの話に刺激を受けまくった私は、

結婚と真剣に向き合ってみることにした。


んー、まず何からしたらいいんだろう…。


…。


ヤバい、全然わかんない。

とりあえず本屋にでも行ってみるか!

私は中学生あたりから、色んなカベにぶち当たってどうすればいいか迷子になると必ず決まって本屋へ行く。

そこで今の自分の状況に近くて解決の糸口を示してくれそうな本を探す。


私は自転車で近所の本屋へ向かった。


「いらっしゃ〜いっ。」


私の街に古くからある小さな本屋さん。

ここの店主の名前はタケシさんといい、

【タケじい】の愛称で親しまれている。

私も子供の頃からよく通っているせいか、

タケじいに常連認定されている。


規模は小さいが年齢、性別幅広いジャンルの本を揃えている。

取り寄せ対応もばっちりだ。

私は欲しい本が店頭に無くてもネットは使わない。

タケじいのところにお願いすることにしている。

私なりの変なこだわり。


さっそく結婚関連の本棚を探す。

おっ、あるある。

ひと通りタイトルをチェックしてみる。


・愛され女子になる方法

・オトコを虜にする心理テクニック

・幸せな結婚をするための本


…。

タイトルだけで目眩がする。

どれもピンと来ない…。


さらにタイトルを目で追っていくと気になるものを見つけた。


・結婚相手を決めるワタシ基準のつくりかた


何だろう、ちょっと気になる。

そのまま帯も読んで見る。


「貴方は他人任せの人生をお望みですか?

貴方が望むことは何ですか?

この本は書き込み式です。

さあ、この本と一緒に貴方基準をつくりましょう。」



自己啓発本かな?

でも書き込み式だし、試しに買ってみるか。


本の中身を確かめもせずそのままタケじいの居る

レジに持っていく。


「お〜。また何か迷子かい?」


「そうなの。私の周りの子たち、結構真剣に自分の人生について考えがあって。

正直私は何も考えてなくて(苦笑)

三十路になる前にちょっと真剣に考えてみたくなって、コレを買おうかなって。」


「なるほど。美香ちゃんはもうそんな年齢になるのか。早いのう、他人の子どもの成長ってのは。」


「そうね、あっという間に二十代終わりそう。

ほんと焦る。」


「まぁ、わしからすれば十分若いがね。焦らずじっくり向き合うといい。毎度あり。」


「ありがと、タケじい。またね。」


私は本を買っただけなのに、一歩前進した気分で自転車をこいだ。






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仮面夫婦ですが何か? 月夜のねこ @shiawasenojikan63025

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