変な物

「もう無理っす!構造はできても歯車がないんじゃ無理っす」

沢山の試作品を作ったけど、根本的に刻める場所が少なすぎて思うようにいかない、僕は諦めたように作業机に項垂れたっす。


「そうだよなー歯車かー、ん?何で歯車なんだ?」


「昔からゴーレムは歯車って決まってるっす」


当たり前のようにソウさんに答えた。


「、、、それ歯車じゃなくても良くないか?」


「え?」


「だからゴーレムは魔法陣を基本に動くんだろ?歯車じゃなくて鉄の塊とか伸縮性のある材料で作れるんじゃないのか?」


「、、、、ガビーンっす!」


ソウさんの言葉に衝撃を受けた。

確かに魔法陣さえあればゴーレムは動く、むしろ簡単なゴーレム起動なら刻めば動くっす。なぜこんな簡単な事に親父も僕も気付かなかったんす。


「できるんだな?」


「できるっす!」


「そうか、、、じゃあなんかここ最近安売りしてる素材と職人はいないか?」


「、、、、いるっす!僕の親友にうってつけがいるっす!」


これは奇跡、親友から何度も相談を受けていた事がこれで解決できるっす。


「ソウさん行くっすよ!」


「おい!とりあえず工房をしめていけ!」


ソウさんに言われた通り工房を閉めて、親友のもとに向かったっす。


「リュウちゃん!お仕事の依頼に来たっす!」


僕は久しぶりにリュウちゃんに飛びついたっす、リュウちゃんそれを受け止めてくれたっす。


「シエル?良いのよ無理しなくて、明日面接に行くから仕事も決まるわ」


「無理じゃないっす!本当に仕事の依頼っす!」


困惑するリュウちゃんに答える。


「えーとそうなの?あら貴方はどちらかしら?」


「俺の名前は 創!創って呼んでくれ!シエル君に助けられた恩を返す為ゴーレム作りを手伝っている!」


ソウさんが自信満々にリュウちゃんに答えた。


「本当なのシエル?」


「本当っす!ソウさんのおかげでリュウちゃんに依頼しに来たっす!」


「ふーん、シエルが言うなら信じるわ。それで私に何の依頼かしら?」


「ムーゴ!ムーゴが欲しいっす!そしてその加工をして欲しいっす!」


「ムーゴ?あの倉庫に大量に保管されているあのムーゴかしら?」


リュウちゃんは首を傾げて答えたっす。


ムーゴ、ホムンクルスの材料として以前は使われていたっすが、今主流の人と同じ感触のするリコーンが開発されてから使われなくなったっす。


「そうだ!確かリュウちゃんはムーゴの加工もプロ級っすよね、ゴーレムに使いたいから協力して欲しいっす!」


「ムーゴをゴーレムに?どういう事かしら?」


首を傾げている顔の頬に指を当てて聞いてくるっす。


「実は、、、」


僕が気付いた事をそのまま伝えたっす。

ゴーレムは基本的に人型を模しているっす、だから金属製の歯車動く腕や足を、ただ伸縮性のあるムーゴを魔法陣を刻む事をてま筋肉に見立て作ることをっす。


「本当にできるのかしら?」


「できるっす!その為には僕作った完璧な設計に完璧に加工できるリュウちゃんが必要なんだ!」


「そうね、まあ一度サンプルを作って貰えるかしら?それが本当なら信じるわ」


「分かったっす!ソウさん戻るっすよ!」


「待てまだ材料を貰ってない!」


「そうだったっす!」


ちゃんと素材をもらい必死こいて一日で作り終えたっす。


「リュウちゃん、どうっすか?」


「本当にムーゴだけで作ったゴーレム何ですの?」


「解体するっすか?」


「いえ、信じますわ。そんな悲しそうな目をするシエルを見たんだもの、信じるしかないわ」


「リュウちゃん!」

僕は飛びつき抱きしめられた。


「シエルの覚悟を見たわ、私も全てを投げ打って挑むわ」


「そ、そこまでしなくていいっすよ!これは僕の問題なんすから!」


「女が覚悟決めたのよ!もう引き下がれないわ!それともシエルは何か文句あるのかしら?」

いつも見ている優しい顔のリュウちゃんではないっす。


「文句はないっす!」


「では一蓮托生!死ぬも生きるも同じよ!」

僕はこの時少しだけ後悔したっす、眠れる獅子を起こしてしまったっす。







俺は加工なんて技術は無いので思いつく限りのアイディアを出しまくった。

それをシエル君は設計し、ムーゴをリュウちゃん、多分シエル君の恋人なのだろう、いつもイチャイチャと触れ合っているから。


ムーゴは俺が思ったより素晴らしい素材だ、ゴムとアルミを足したような素材。

それなりの硬度があり、リコーンより全て劣っているが、シエル君のリュウちゃんの技術でとんでもない素材に進化させてしまった。


そう。


俺達は完成させてしまった、悪魔のようなロボット。

空を高速に飛び、自動で防御自動で攻撃する機関、そして操縦者の意思を汲み先読みして行動するAI。

恐ろしいのは、科学と魔法を混合した攻撃が出来る事、例えばレールガンと雷魔法と光魔法を混合した光を超えた速度の攻撃。


水素爆弾と水魔法と雷魔法。

爆発をする前に周りの水から水素をだけを発生させ威力を倍増させ、大量に作成できれば一国程度なら軽く落とせると思う。


最も恐ろしいのは、機体。

何度説明されても分からないが、どんな攻撃されても傷一つつかない。


そんな馬鹿みたいな機体を作ってしまった。


「シエル君、本当に大丈夫かな?」


「大丈夫っす僕の腕を信じるっすよ!」


俺達は最後の調整をする為、整備をしているシエル君と機械を使いながら話している。


「分かった信じるよ、じゃあ俺は会場で応援してるね」


「ソウ何言ってるんす?操縦者はソウっすよ?」


「え?」


「ソウに教えてもらったえーあい?だったすか?それが自動で動いてくれるから大丈夫っす!」


「じゃあシエル君でよくない?」


「本当はそうしたいけど無理なんすよ、戦うのは男の姿をしたホムンクルスとゴーレムに乗った男のパイロットだけっすから」


「ん?シエル君でよくない?」


「ん?無理っすよ僕女っすから」


「ん?」


「ん?」

お互いに首を傾げて言った。



結局俺がゴーレムに乗りホムンクルスを圧勝した。

褒美にシエルの父親の事件が再調査され、罪人は捕まった。


「ソウ!これ面白くない?」


「それは古いぞ、すでに作られている!」


「ソウこれは?」


「ほう、なかなか面白い発想だな!だが、効率的に顔は一つでいい」


「えぇー」


俺達二人は夫婦になり、未だロマンを追求している。


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ゴーレム技師にロボットオタク 酒ともやし @8745

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