できる部下
結騎 了
#365日ショートショート 292
今日も田之上は私の営業についてきた。
彼が入社してきて数年、私の仕事は目に見えて楽になった。こんなに仕事ができる部下を持ったのは初めてだ。彼は上司である私の行動の先を読み、常に一手先のフォローを入れてくる。素晴らしい営業マンだ。
田之上は、時間と労力を惜しまず、渇いたスポンジのようにあらゆるノウハウを吸収した。私の仕事の大部分は、今や彼ひとりでやっているようなものだ。労働組合の庶務も立派にこなし、早くも組織の中核に食い込んでいるらしい。見上げたものだ。
私も実に鼻が高い。以前、飲みの席にて、「私がもしクビになることがあればお前に全ての仕事を任せる」と言ったことがあったか。まさか、あの冗談を真に受けたかな。ははは。
できる部下 結騎 了 @slinky_dog_s11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます