第2話
そんな少年A(僕もしくは俺)も小学生になり、いつの間にか婆ちゃんが一緒に住む事になった。
まさかこのボロボロで狭い家に…って感じだった。婆ちゃんは元々雅子の母親らしい。大人になった今でもそこは不透明なままだ。
婆ちゃんは雅子が寝ていたベットで寝る事になり、俺と雅子は俺が寝てたベットで一緒に寝るのである。もちろん雅子がいつの間にか寝てて起こしちゃいけないと小さいながら俺は思い、ゆっくり音を立てずに起きて、いつも通りにご飯を食べて学校に行く。
婆ちゃんはパートをしてるらしく、俺は鍵っ子として首から紐と鍵をぶら下げながら小学校では勉強よりも遊びたい盛りでも周りは相手にしてくれず、皆は授業に集中して休み時間に牛乳のフタでメンコをするくらいだった。
小学3年の時のとある夜に、いつもは普通に話し相手として婆ちゃんがいたのに、何故かその日は喧嘩になり、玄関近くにあったガラスの引き戸を俺は殴って右手が血だらけになった。
あの時の喧嘩の大元は未だに思い出せず、怪我は治ると言われてるが、大人になった今でも右手の小指の第一関節は縦に割れている。
そしてその喧嘩の数週間後に婆ちゃんは頭を抑えながら悶え苦しむように倒れ、隣に住んでいた爺さんにどうしていいか分からず聞いたら救急車に運ばれ、二度と家には帰って来れなくなった。
雅子曰く現在の医学では治せない病気で大学病院で頭の手術をしたり、たらい回しで違う病院でも頭の中を手術したそうだ。
合計10回程の手術をしたが、高年齢という事もあって、これ以上は手術に身体が耐えれないとの事で人里離れた施設に預けられてるらしい。
婆ちゃんとはボロ家の裏庭で家庭菜園で野菜を一緒に育てて、生命の大切さや採れたての野菜はそのまま食べても甘くて美味しいとか、近所から毛ガニやトウモロコシを大量に貰って茹でて一緒に食べたりしてた。
とくに婆ちゃんには世話になった気は無いが、生命の大切さを小学生ながら教わった時は本当に勉強になった。
そんな少年Aは記憶がある頃から小学生で婆ちゃんに出会い、生命の大切さを教わったり、土に触れ、野菜がこの大地で頑張って大きくなる事を教わった。
しかし婆ちゃんは倒れてしまった。
俺は生きるって大切なんだと思った。
それとほぼ同時期に小学校の友達の誕生日会に行く事になったが、自分の誕生日会すら無かった俺はプレゼントという物、そして誕生日には家族やいろんな人に物を貰えたりケーキを食べれる事を初めて知った。
小学校の友達の誕生日会に何も持っていかず、相手の親に怒られ泣きながら帰ってきた俺は悔しさより、誕生日会を自分もして欲しかった気持ちがいっぱいで、何故か自分自身に対して悔し涙を流した。
なんで俺の家はこんなに貧乏で、誕生日祝いも無くて、クリスマスなんてものすら無くて、正月だってお年玉も無くて、母親や婆ちゃんと小旅行すら無くて、お小遣いも無くて、いつも独りでご飯を食べてるんだろうって。
これが当たり前なのか?
これが普通なのか?
俺の家が普通で友達の家が金持ちすぎるだけなのか?
少年Aは考えてもウチが貧乏なのと誰も構ってくれず孤独だという事を思った。
少年A @boyAAA
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