第7話 決闘


 ごろつきと共に闘技場の中で向かい合う。あたり一面を見回すと、観客席にはエルやその他数人の冒険者が座っていた。すると、エルが何かを言った。


『がんばって』


 エルを見ながら頷き、ごろつきの方を向いた。


「ギルバートさんよぉ。確かレベル1だったよな?」


 その問いに答えると、ごろつきが笑い出す。


「Sランクパーティにレベル1が居たなんてマジで笑っちまうぜ」


 そう言いながらこちらを睨みつけてきた。


「俺はレベル12なのにも関わらずまだCランクだよ。お前みたいにコネなんてないからな」

「コネじゃない」

「それはお前が決める事じゃない。はたから見たらコネに見えるって言ってるんだよ」

「......」

「まあいいや。ここでお前を潰せば気分も晴れるしな」


 ごろつきがそう言った後、審判をしているギルド職員が言った。


「ではこれより、Fランク冒険者のギルバート・エルメスとCランク冒険者のアバル・バークルの決闘を始める。両者はじめ」


 審判の合図とともにアバルが正面から大剣で斬りかかってきた。


(ッ)


 俺はアバルの攻撃をギリギリのところで避けてから距離を取る。


(やっぱりなめられてるか)


 普通ならお互いに様子見をして、徐々に詰めていくのが決闘の戦い方だ。それなのにアバルはいきなり正面から攻撃を仕掛けて来た。それは言わば、俺の事を下に見ているからこそ実力を見なくても攻撃を仕掛けてきたということだ。


 そう考えていると、次の攻撃を仕掛けられる。俺は避けながらも火玉ファイアーボールを放つ。だが、アバルは火玉ファイアーボールを斬り裂いた。


「雑魚だなぁ」

「......」


 その後もアバルが攻撃を仕掛けてくるため、火玉ファイアーボール風切エア・カッターを駆使して反撃をする。だが、いとも簡単に大剣で防がれてしまう。


「これで終わりだ」


 アバルはそう言って俺にトドメの一撃を仕掛けてきた。


(ここだ!!)


 刺客からスキル回収した縮地を使用して、距離を取る。その行動に驚いている一瞬を見逃さず、もう一度縮地を使ってアバルの間合いに入り、無剣ニヒツを使って大剣を上空に飛ばした。


 そして、俺はアバルの首元に剣を突きつける。すると、こちらを向かずに降参のポーズを取ってきたため、審判が合図を出した。


「勝負あり」


 剣をしまって、アバルと距離を取ると、エルがこちらへ駆け寄ってきた。


「やったね」

「あぁ」


(本当なら、スキル回収をもっと使ってみたかったけど、刺客から回収できた技を使えただけよかったかな?)


 俺とエルの二人で軽く話していると、アバルとその他冒険者たちがこちらへ駆け寄ってきた。


「ギルバート、いやギルバートさん。本当に申し訳なかった」

「え?」


 俺は首を傾げる。


「実力を見極められなかった俺の落ち度だ。あんたがSランクパーティにいたことも今ならわかる」

「あ、ありがとう」

「それでだが、本当にレベル1なのか?」

「うん」


 俺がそう言うと、アバルやその他冒険者たちが驚いていた。


「なんでレベル1なのにそんな強いんだ」

「あはは」


 俺は笑ってごまかした。ここで固有魔法【スキル回収】があるんだと言ってもよかったが、まだキチンと使いこなせているわけでもなかったため、いうことを辞めた。


「まあいいや。これから頑張ろうぜ」

「はい」


 こうして俺たちの決闘が終わった。その後、この間受けたクエストの調査に一週間程かかると言われたため、エルと二人でザルド国の探索を始めた。


❇️


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「レベルが上がらない雑魚」と追放された最弱無敗の英雄~第三王女と共に固有魔法【スキル回収】を駆使してレベル1から成り上がる。 煙雨 @dai-612

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