第4話

やがて、高校受験になって、地元の私立高校と府立高校とに合格して、府立のほうに進学することにした。


府立高校の入学式の夜、寝てたら、また、いつもみたいに、霊の存在を感じた。

でも、この日は、着物姿をうっすらと見ること出来た。

目で姿を見えたのは、初めてだ。


着物をハラリと脱いで、ボクを優しく抱きしめて、キスしてくれた。

可愛い女の子だ。

「うちの近くに来てくれて、ありがとう」

って声も、耳もとで聴こえた。


そして、しばらくして、姿も消えて、静かになった。


高校生になったら、だんだん、霊の女の子は、あらわれなくなってきた。


そのかわり、高校の近くで、霊の存在を感じるようになった。

高校へは、自転車通学。自転車で高校に近づくと、いつも霊を感じる場所ある。

なんなんだろうなあ~って思っていたら、その場所を入って行くと、伊勢寺のあることを知った。

百人一首とかで知られる伊勢さんのお寺だ。


百人一首の中でも、伊勢さんの句は、前から好きだったし、百人一首の絵に描かれてる伊勢さんのことは気になっていた。

でも、高校の近くに、伊勢さんの伊勢寺のあることは知らなかったから

「え~、こんなところに伊勢寺あったなんて~」

って、かなりビックリした。

でも、なんか、めっちゃ嬉しかった。


伊勢寺の近くを自転車で通りながら、毎日、高校に通っている。

伊勢寺の近くに行くと、いつも懐かしさと、胸のキュンキュンときめく感じを受けている。


部屋では、いつの間にか、霊の存在を感じなくなった。

いや、いるような雰囲気は時々感じたりもする気はするんだけど、ボクに直接、愛撫したりキスしてくれてる感じはしなくなった。

だから、ちょっと寂しかった。


高校は高台にあるから、毎日、自転車で坂道を登って行ってる。

でも、いつも、誰か、自転車を後ろから押してくれてるような気してる。


帰り道は、下り坂なので、めっちゃ気持ち良く、スーッて坂道を自転車に乗って下っている。

その時も、自転車の後ろに誰か、いつも座ってるような気している。



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ボクの部屋にいる、可愛い霊の女の子 ヤッキムン @yakkimn

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