小ネタ 10連発

フキPとバンドマン



「センキューー!!」

インディーズシーンをリードする人気パンクバンド「PINKS SKY」は新曲の録音をしにスタジオにこもっていた。

ブース内のマイクの前で、リーダーでボーカルのアキヒロハンドが新曲を歌い上げた。

いつものように作曲はベースのHi-JOE(ハイジョー)、作詞はドラムのYOU、ギターのラルナは打ち上げでバンギャを食うためだけにバンドにいるだけのク○野郎でそもそも演奏していない。

「それで…いかがでげしょう…」

アキヒロハンドがヘッドフォンをはずすと、ガラス越しに室外の女性に揉み手で会釈した。

アキヒロハンドは、ステージにあげた専業主婦の顔に「無能」「怠惰」「暴虐」とペンキで書いていくド派手なライブパフォーマンスが人気で、ファンから「マッドマン」と呼ばれ恐れられている。

そんなマッドマンがごまをすりすりヘコヘコしているのはインディーズレーベル「癲狂院」の伝説的プロデューサー「フキP」である。

フキPは青地に赤いPのマーク入りのTシャツをトレードマークにしているのだが、ハチキレンばかりのπでPと書いてあることを知るものはほとんどいない。

「で、アキヒロハンド、いかがでしょうって何がいいたいにゃん」

フキPは右手のスルメを噛みきると左手のワンカップ大関で流し込んだ。

「いかがでしょうってのはなにがききたいにゃん」

サングラスをしているのてフキPの表情は読みにくいがあきらかに怒っている。

「ですよねぇ〜、へへっこれはボツにしますから〜げへへへ」

Hi-JOEが半笑いで土下座した。

「自分で自信のない曲をPに聞かせたにゃんか?」

フキPはカップを握りつぶした。

(おい、YOU、Pを笑わせろ!)

アキヒロハンドがYOUに目で合図した。

「おっす!!自分!!一発芸します!!!!」

YOUは唐突に右手を上げるとタンクトップを脱ぎ捨て、脂肪なのか筋肉なのかわからない胸を寄せてあげてその上にスマホをのせる「月曜日のたわわ!!」と絶叫した。

「で?」

フキPは微動だにしなかった。

「続きましては、自己新記録に挑むいけさん……」

「Pは情けないニャン…お前らそこでいますぐ切腹しろ!!」

「すいません!!」

今まで黙っていたラルナが声を上げた。

「そろそろオフ会あるんで帰っていいっすか?」

ラルナは屈託のない笑顔だった。





ひらけ! フッキッキ!


「みんな〜フッキッキーズがは〜じま〜りま〜すぞ〜!」

赤い毛むくじゃらの大男の掛け声で番組が始まる。以前視聴者の幼児がこの大男、イケックになぜ赤いのか問うたことがあったが、「やまもも」とだけ答えた。

「それじゃあ準備はいいかな!?」

自称恐竜の赤ちゃん、ガチャ牧民が陽気に手拍子をとる。一応それらしくカラーペイントをしているが、どうみてもただの固太りの中年男性だ。

「元気!」

イケックが叫ぶ。元気とガチャ牧民があわせる。

「勇気!」

ガチャ牧民が叫ぶ。勇気とイケックが合わせる。

「ク○ニ!」

ラルナが叫ぶ。イケックが「おい、音楽止めろ!」といった。

いつの間にかスタジオに乱入していたのはラルナだった。

「おい、ラルナ、今なんて言ったんだ」

イケックは怒り心頭である。

「ク○ニ!」

「フゥフゥ…フゥフゥ…」

イケックは怒りが高まると言葉を忘れてしまう。

「だめだよ!イケック!これは生なんだから!だめ!おこっちゃだめ!」

「えっ!?生!?俺生大好き!生ビール!生ハム!生○○!生中!」

ラルナが下品な笑い声をあげた。

ガチャ牧民もさすがにこれには耐えられなかった。

「ラルナさん、いい加減にしてください。これは子供番組ですよ?イケック、僕、ラルナの三人は生○○とかク○ニなんて言っちゃいけないんです」

「なんで?」

「子どもが見てるからですよ!」

「俺、子供嫌いだからなあ」

ラルナはボリボリと腹をかきました。

「CM!!CMいれて!」

ディレクターがカメラを止めるように指示した。

「ちょっとちょっとラルナ!どうしちゃったんだよ。正気に戻れよ」

「正気ですって?」

「いつものラルナはどうしたんだよ」

「人間とやまももの区別がつかないパワーゴリラ、自分を本気でガチャピンだと思い込んでるおっさんは正気だっていいたいんですか?この中なら女とやることしか考えてない俺は一番マトモだと思いませんか?」

「そりゃそうですけど…」

ディレクターはラルナの言うことに一理あることを認めた。

「おい、ディレクター、僕が正気じゃないってどういうことだよ」

ガチャ牧民はディレクターの襟首をひねり上げた。ワイシャツに緑色のワセリンが染み込んでいく。

番組プロデューサーのフキPだけが「フッキッキ!」と手を叩いて笑っていた。




マツダ ロックウェル


セールスコピーは「金曜まではパパ」。

1600ccAT 1600ccMT 1600ccターボMTの3モデルがあった。

一応4ドア+ハッチバックでファミリーカーの体裁をしているのだが、FRレイアウトからわかるように正体は車に無知な妻を騙して買うためのスポーツカーである。

5シーターとなってはいるがFRレイアウトゆえに後部座席はほぼ荷物置きである。マツダは妻と子どもたちには体育座りでもしていろと言いたいのだろうか。

低速域はベタブミしてもスカスカで、奥様が急発進する心配は無用。オートマ仕様は走行中でも止まっているかのような錯覚を起こさせる。これが金曜までの姿である。

真価を発揮するのは土曜日に郊外でトップギアに入れた瞬間である。

直進することが不可能な程の加速性能と、機敏を通り越してピーキーなステアリングで一瞬のうちに気分はF1パイロットになる。

官能的なステアリングは必然的に後部座席で体育座りしている妻子たちを激しく揺り動かし、またたく間にコンビニ袋が昼飯の成れの果てで満たされるだろう。マツダはファミリーカーで家庭を破壊するつもりだったのだろうか。

当然こんな二重人格のような車が売れるわけもなく、たった3年で製造終了された。しかし長らく中古市場で叩き売りされていたため、いつまでもスピードを忘れられない異常独身男性たちの手で助手席と後部座席をとっぱらい、さらにピーキーでヴァイオレンスなおもちゃされた姿が週末のサーキットでよく見られた。




スバル フキーラ


660cc 直列4気筒エンジン フロントエンジン四輪駆動 4シーター 2ドア+ハッチバック


セールスコピーは「せめて私らしく」。

スバルが女性向けに発売した軽クーペ。コンセプトは「車で女子会しちゃおう」である。

AT、MT、それぞれにターボチャージャーモデルで計4モデルが存在する。

直列4気筒エンジンの軽とは思えないなめらかなフィーリングに、選択式の雑貨風内装、猫を思わせるキュートな外観でスバルが弱かった女性客への訴求力を高めたつもりであった。

しかし、コンセプトが軽トールワゴン全盛のトレンドとあまりにも逆行していたため、本来の女性客からは見向きもされなかった。

かわりに規制ギリギリのエンジン性能とスバルらしい高速域での刺激的なハンドリングが異常中年男性たちに目をつけられることになる。

界隈男性たちからは「フキチャン」「姫」「フキ宮フキコ様」などもてはやされ、乗っているだけで白い目で見られるようになってしまった。

「車で女子会」というコンセプトは忘れ去られ、Twitterで「スバル フキーラ」を検索しても、高速サービスエリアでのチー牛顔が雁首揃えた「フキーラオーナーオフ会」の様子や、座席や自慢の内装を引っ剥がして軽量化を施した痛々しい写真が確認できるだけである。

スバルがトヨタ傘下になった際に軽自動車生産終了が決まったためモデルチェンジは行われなかった。

いまでもオタクたちがカーセンサーやグーでいつでも狙っているため中古市場では高騰気味である。



三菱 ラルナ


SUV型ミニバン 直列4気筒2000ccFFと直列4気筒2200cc4WDの2モデル 5ドア


セールスコピーは「遊びにモラルはない」。

箱のようなデザインから「ラル箱」の愛称で呼ばれる。

同クラスのミニバンの中でも、特にアウトドア、車中泊するアクティブ層をターゲットにしており、2列目と3列目をフルリクライニングすることでキャビン全体を広い寝室のように出来る。

後部座席はマシュマロのように座り心地がよく、ラルマロシートと言われることもある。

そのような仕様から設計段階からカーセックス需要が強く意識されており、コンセプトカー発表時から「明らかなオフパコ狙い」とネット上では揶揄された。

しかし、釣り人やサーファー狙いで設定されていた50万円かかる室内完全防水加工が、北米のゲイたちに目をつけられたことが運の尽きだった。

多少汚しても簡単に清掃できるオプションは、ハードゲイたちの乱交に最適だったのである。こうしてラルナは国産SUVとしては北米で異例のヒット商品となった。

そのような北米でのラルナの活躍は日本でもじきにニュースサイトで紹介され「ラル箱=移動するハッテン場」と一部で話題になり、それは有名ゲイ漫画家が作中に登場させると確固たるものとなった。

今では、ゲイの交流掲示板でラルナで肉体関係を結ぶことを「ラルナでにゃんにゃん」=「ラルにゃん」と呼ぶほどの人気である。

最近では開き直ったメーカーがレインボーカラーのスペシャルモデルを売り出すなど、風評被害の撤回は諦めてしまったようだ。



スズキ ノマド


660cc直列3気筒エンジン ミッドシップエンジン四輪駆動 3ドア 

セールスコピーは「君は遊牧民とキスをする」。

アウトドアカーブームだった80年代末に2代目エブリィを強引に改造して発売されたのが世界初の軽キャンピングカー「ノマド」である。

イメージキャラクターの北方謙三が出演するオールモンゴルロケのCMは、氏が運転するノマドが、モンゴル高原で馬に乗った若者たちともに疾走する姿があまりに美しく話題となった。(氏は個人的にも「ノマド」を長年愛用しており「マセラッティより好き。エンストしないから」という迷言を残している)

CMは好評だったのだが、要は軽トラの荷台に、キッチンと引き倒し式のベッドを詰め込んだコンテナを載せた正気を疑う代物であり、試作品を見た修社長は「網走刑務所よりひでえな」とコメントしたという伝説が残されている。

ハイルーフ化したといっても成人男性が直立できるほど天井高があるわけもなく、キッチンはニクロム線ぐるぐる巻の電気コンロ、流し台はA4サイズ、調理台にいたってはボールがひとつしか置けない。キャンプ道具をつむとベッドを展開するスペースがなくなる致命的な欠点もあいまり、購入者からは「ノマドで寝るくらいなら野宿したほうがよほど健康に良い」という散々な評価であった。

しかし長年「ノマド」を愛用している前述の北方謙三氏はアウトドア雑誌のインタビューで、「小僧ども、ノマドで料理する時は電気ケトルや炊飯器をうまく使え」とコメントしており、一人旅の愛好者たちからの評価はあながち悪くなかったようだ。

日本では(一部の馬鹿なスズキファンに)おしまれつつ3代目エブリイの登場で生産終了されたが、インドでは主にインフラが整っていない地域で「車を買ったら発電機とシステムキッチンがついてきた」という受け入れられ方をされロングセラー商品となった。

インドからの逆輸入「ノマド」はファンから「遊牧民」と呼ばれ今でも愛されている。




PIEGMO Cavaliere500(三代目)


900cc直列2気筒エンジン 1200cc直列4気筒ディーゼルエンジン 4シーター 3ドアハッチバック FFレイアウト


イタリアの老舗自動車メーカーPIEGMOが販売するミニクーペ。Cavaliere(騎士)の名前の通り、元はイタリア軍の騎馬隊に納入されていた軍用車である。小型で低価格、燃費効率の良さが評価され戦後は乗用車として生産されることになる。

日本では三代目が正規輸入され始めた2000年代後半から多く見かけるようになった。PIEGMO社はCavaliereしか製造していないため日本では「ペグモ」といえばこの車を指す。(イタリアでは「騎士くん」や「騎士さま」の愛称で呼ばれる)

職人が一台一台手作りしたボディ、一流ブランドのデザイナーを招聘して作られた内装はまさに騎士の名にふさわしいリッチさである。

しかしペグモには一つ大きな欠点があった。

それはエンジンのオイル漏れである。

初代から現在に至るまで幾度となく再設計されてきたが、ことごとく全てで頻繁なオイル漏れを起こすのだ。

日本での普及が進んだ2008年など10回ものリコールが発生し、ほとんどを修理工場で過ごすことになった。そのため「プリウスを超えた究極のエコカー」という蔑称までつけられた。

あまりにもオイル漏れが多いため車情報掲示板ではオイル漏れすることを「ペグモする」と呼ぶようになってしまった。(例:うちのラルナがペグモした)

特にyahoo知恵袋で実際にあった「なにもしてないのにエンジンが壊れた(なにが原因か)」という質問主に対する「(メーカーが)なにも(対策)してないから壊れたんだろ」という返しはミーム化し「なにもしてないのに〇〇が壊れた」というフレーズはペグモスレで挨拶のように繰り返された。

2016年に中国の平和好汽車に買収され社名が平和好PIEGMOに変わった。同時に電気自動車の開発が発表され、ファンたちからは「ついにペグモがペグモしなくなる」と落胆された。

満を持して2020年発売された四代目ペグモ(通称ピンペグ)は発売二週間後に「充電を長時間するとバッテリーから電解液が漏れる」というとんでもない不具合が発表され、「やっぱりペグモはペグモだ!」とファンたちからは暖かく迎えられた。




ぺぐもん元気だもん


「わぁ〜ぺぐもんだ〜かわいい〜」

「ぺ〜ぐもん!ぺ〜ぐもん!」

奈良県平群町、遺跡で有名な片田舎に新たな名物が生まれた。ゆるきゃらぺぐもんである。

料理上手でちょっとドジなぺぐもんは、地元ローカルテレビでブレイクし、今では幼稚園に町の行事にひっぱりだこである。

(移住して良かった…)

キグルミの中でぺぐもは幸せを噛み締めていた。

あのヤクザより悪質な連中におもちゃ扱いされた日々は正真正銘の生き地獄だった。

一時期、排泄物が貴金属になった頃など真剣に自殺を考えたほどだ。

ロケバスでキグルミを外したぺぐもは地元のおばあちゃんが作ってくれたおにぎりを口にする。

優しい味がした。

「ちょっと!あんたたちなんなんですか!」

「じゃかしいわボケ!」

外が騒がしい。ぺぐもがカーテンをちらりとめくるとそこには見慣れた集団がいた。

「おいぺぐも!!出てこい!!」

組長のフキーラがバスをヤクザキックしている。

ガタガタと歯の音が合わなくなった。

「フゥッ!フゥッ!」

バスが傾く。いけさんがバスを持ち上げたのだ。

「ぺぐもく〜ん!また楽しくやろうよ〜」

猫なで声で呼びかけるのは非常口。

「ぺぐにゃ〜ん、出ておいでよ〜」

意味もなくほくろのついた男根を晒しているのは遊牧民だ。

「町の人には手を出さないでぺぐ!」

ぺぐもは観念してバスを降りた。

「フキキキ、ぺぐにゃん、うまくやってるみたいにゃんねえ」

正座するぺぐもにフキーラがパピコくさい息を吹きかけた。

「いい加減にしてぺぐ…、そっとしてぺぐ…」

「あんだコラ!俺たちがいついじめたってんだコラ!」

非常口が凄む。

「まあまあ、なにもぺぐにゃんのこっちでの生活をぶち壊すつもりはないにゃん、これでも応援してるにゃん」

「なら、はやくかえってぺぐ…」

「ただなぁ、この町の人たちにあっちでのぺぐにゃんの活躍の数々を教えたろ思うて、ほら」

非常口がドサッと印刷物をなげた。内容は破廉恥な怪文書の数々だった。

「なあ、ぺぐにゃん、わかってるにゃんねえ?」

もう限界だった。こんな怪文書を配られたらここにはいられない。

「ぺぐもんの売上の4割を上納します…」

「おい、いけさん、4割っていってるにゃん!」

「フゥッ…フゥッ…」

ぺぐもは音もなく久々に失禁した。

「9割…、収めます…」

「ほんと!ぺぐにゃんはかわいいにゃんねえ!」


悪夢は終わらない。



広角打法


遊「どーもー」

岩「右打ち右投げライト岩井と!」

遊「左投げ左打ちレフト遊牧民の!」

二人「広角打法で〜す」

遊「みなさ〜ん、顔と名前と党綱領だけでも覚えて帰ってくださいね〜」

岩「ちょっと待てよ、何左翼みたいなこと言ってんだよ」

遊「僕らも長いことお笑いやらせてもらってますけど」

岩「待て、勝手に進めんなよ。お客さん、聞いてください、こいつね、ねっからのド左翼ですから、真面目に受け取らないでください」

遊「こういうこと言ってくる奴ってだいたい右翼ですよ、僕の言うことだけを信じてください」

岩「誰が右翼だよ!俺は中道!」

遊「じゃあ君の尊敬する人は?」

岩「児玉誉士夫」

遊「右翼じゃねえか!」

岩「痛った〜突っ込みで顎殴んなよバカ!あ〜こりゃ折れたなあ病院予約しないと…」

遊「どこに電話してんの」

岩「YES!高須クリニック!」

遊「右翼じゃねえか!」

岩「人のこと右翼右翼言ってますけどね、こいつも大概ですよ、君、彼女との初デートでどこに行ったか皆さんに教えて挙げなさい」

遊「前進社」

岩「極左じゃねえか!」

遊「痛った〜。じゃあ君のプロポーズの言葉皆さんに聞かせてあげなさいよ!」

岩「毎朝僕のために」

遊「うんうん」

岩「教育勅語を読んでくれないか」

遊「右翼じゃねえか!」

岩「もう君とはやってけん。帰る!」

遊「待てよ!」

岩「離せこのコミンテルン!」

遊「ちゅ〜〜〜〜」

岩「ぷはっ、いきなりなにすんだよ!」

遊「思想とか関係ない、僕は岩井と漫才したいんだよ!」

岩「遊牧民…」

遊「俺たち二人で歴史に残るコンビになろうぜ」

岩「よっしゃわかった!」

遊「マルクスとエンゲルスみたいに!」

岩「左翼じゃねえか!」

遊「はい!レフト!」

岩「ライト!」

二人「センター前!広角打法でした〜」


原稿を読む岩井の手がぷるぷる震えている。

遊牧民はもくもくと赤ペンを入れている。

「これをやれば小山の初出版トークイベントも大盛り上がりまちがいなしにゃん」

原稿執筆者のフキーラは上機嫌であった。

「いやぁ…難易度が高すぎて僕らには無理かな〜」

岩井がなんとか言い訳して逃げようとした。

「そうだよフキちゃん」

遊牧民が同調した。

「にゃんのネタが文句あるのかにゃ」

「これじゃオチが弱いよ」

「こら〜!😅問題はそこじゃないだろ〜!👆」


ちゃんちゃん




フキーラ・フミンカミン(1991~93年 川崎エビルツイート)


1970年、ドミニカ出身。長年エビルツイートを支えた小山の故障にともない急遽ドミニカから来日した右投げ投手。

勢いのある最高155kmのストレートと、よく落ちるフォークを武器に活躍した。

愛称はフキチャン。

来日一年目はクローザーを期待されたが不用意なストレートが相手打線につけこまれ大炎上を繰り返した。ファンたちから「またフキちゃんが燃えている」と嘆かれたが、そもそもこの年のエビルツイートはぶっちぎりの最下位だったので大した問題にはならなかった。

2年目は小山のリリーフ転向にともない先発起用されることになった。不用意なストレートで炎上することもあったが、打線が好調なことに助けられオールスター前までに6勝をマークした。

オールスター明け、いつものようにエビルツイートは故障者が続出。内野守備陣のプロとは思えない怠慢守備によるエラーが続出し(一説にはチームメイトはフキーラを炎上させて楽しんでいたとも言われている)、シーズンが終わってみるとフキーラは6勝12敗防御率は驚異の10点台であった。

とはいえエビルツイートには他にまともな先発もいないので残留が決まる。

その年の暮れの珍プレー好プレーではチームメイトの池屾と仲良くグラウンドでガスバーナー体毛処理をしている様子が放映され、ファンたちに素敵な笑いをプレゼントした。

93年のキャンプでエビルツイートに衝撃が走った。週刊誌報道でドミニカ出身ということになっていたフキーラが実はただの地黒の日本人だったことが暴露されたのだ。

そこには明らかにチームメイトの遊 牧民(台湾出身)と思われる匿名選手の「あんな日本のホモ漫画事情に詳しいドミニカ人がいると思いますか」というコメントが掲載されており、来日以来最大の大炎上を巻き起こした。

記者会見では、ネイティブなので当然悠長な日本語で「お金が欲しかった。金玉にシリコンをいれたときの借金がある」と釈明し、途中で同席していた御田寺監督に「それ以上いけない」と静止される愁嘆場が日本中に放送された。

結局NPBから追放されたフキーラだが、その後別の名前でヤオイ漫画評論家として活躍したようである。




川崎悪インズ新監督にフキーラ氏


今年30年連続Bクラスに終わった悪インズの監督に現在は漫画評論家で90年代悪インズを支えたフキーラ氏が就任することが決まった。

フキーラ氏は記者会見で今年限りで監督を引退する常口氏について「彼は受けキャラ。私は鬼畜攻め。来年は選手達に地獄を見てもらうにゃん」と早速のフキーラ節を見せた。

会見に同席した白饅頭GMは「誰がやってもどうせ最下位とファンも諦めている。なので本当に誰でもいい奴を連れてきてみた」と期待を語った。

かつてのチームメイトで現在ヘッドコーチを勤め、フキーラ新監督から名指しで続投を要請されているペグモ氏は「内示を見たときに2回漏らした。会見を見てまた漏らした。悪インズはもうおしまいだ」と意気込んでいる。

30年連続Bクラスの日本記録は31年連続に伸びるのか、川崎ファン達は来年の悪インズから目が離せなそうだ。





へイケ物語


イケメンの心折れる音 諸行無常の響きあり

成人男性ホモレイプ 盛者必衰の理をあらわす

おごれる攻めも久しからず ただ春の夜の夢の如し

鬼畜攻めもついには滅びぬ ひとえに風の前の塵に同じ


べんべん…


「相国入道平rock盛、忌のぎわに子らを呼び寄せてかたることにゃん…。

ヒジョ盛、遊盛、ラル盛、ペグ盛、皆揃ったか。

はっきり言ってお前らはクズぞろいだ。

いい歳して子供も作らんと男ばかりで酒盛り三昧。これではとても、あぁとても源イケ朝には勝てやしない。お前らの中で一人でも、一人でも男の中の男に育てられていたら、あぁ、あと一年、いや三月この身が持てば…。

ヒジョ盛の答えて曰く、父上、安心召され、すでに遊盛がイケ朝討伐の軍を連れ、明朝東国に出立します。心安らかに吉報をまたれよ。

遊盛答えて曰く、父上、安心召されませい、我が整えたる軍はすでにラル盛にあずけて候。

ラル盛答えて曰く、あっ、すいません、その日飲み会入ってるんですけど5時までにあがれます?

ペグ盛答えて曰く、ペグはお腹が痛いペグ。か、厠に、あぁ早く厠をば!我が安宅の関が!あぁ勧進帳!

ヒジョ盛曰く、やや、これはしたり、ペグ盛がイケ朝を討伐すると申しておるぞ!

遊盛曰く、ペグにゃん先鋒で決まりだろ。

ラル盛曰く、鎌倉ってソープないんすよね。

ペグ盛曰く、先鋒うけたまわった!うけたまわった!早く厠へ厠へ!


べんべんべんべんべんべん


一同のそろうコストコ寺がそぞろに揺れ動くにゃん。怖や怖や、天変地異にゃ!

べきべきとお堂が響き、天井が剥がされた!

そこに現れたるにゃ〜。

べんべん

あぁ、一晩で一晩で鎌倉から徒歩にて徒歩にて上洛したぞ、前の武衛源朝臣イケ朝でにゃす〜。


べんべんべんべんべんべん 


「それ差別だから…」




西遊フキ


今日も天竺にある多動性注意欠陥法典を手に入れるために三蔵フキ師、遊悟空、沙非常、ラルナの四人は旅を続けています。

いつものように遊悟空が生臭を追いかけたりしたせいで日暮れまでに目的の宿場につくことができなくなりそうでした。

すると一行の前にうらぶれた寺がありました。

一人と3匹の妖怪は夜露を凌ぐために一晩泊めさせてもらうことにしました。

一行がペグモ寺とかかれた門をくぐると住職がいました。

「住職よ、どうか一晩とめてほしいにゃん」

「旅の御坊よ、申し訳ないぺぐが、見ての通りのあばら家ぺぐ、とてもおもてなしはできないぺぐ」

ピンクの法衣がボロボロの住職は申し訳無さそうに言いました。

「さっき捕まえた兎を捌きたいんですがいっすか?」

遊悟空は寺の中で血抜きをしようとします。

「うおおおおお!仏門最強仏門最強!仏門に帰依すれば飢えも悩みも乗り越えられる!うおおお!」

沙非常はいつものように仏門徒を見かけたので当てこすりをはじめます。

「ここ、ソープないんですか?」

ラルナはNNを要求します。

「ゲェ〜ップ、見ての通りのクソ野郎どもだから勝手にやらせてもらうにゃん、もてなしは不要ら」

三蔵フキ師は完全な破戒坊主ですので勝手に酒盛りを始めていました。

「あと一つ、ここは夜になると妖怪がでるペグ。そのせいで檀家は寄り付かずこんな有様ぺぐ」

住職は酒を分けてもらいながら言いました。

「あれ?仏法が守ってくれるのに妖怪をどうにもできないんですか?」

沙非常が住職にうざがらみしました。

「非常、それはウチにも喧嘩うってるにゃんか?」

フキ師は手に持っていたパピコ状の五鈷杵で沙非常の脳天をぶん殴りました。すると緑の体液がピューピュー吹き出ます。

それを見て遊悟空とラルナはゲラゲラ笑いました。

「妖怪が出るなら大変結構、酒の余興に我らが退治しますよ」

遊悟空がニタニタしながら言います。

「ところでその妖怪はどんな?」

ラルナが住職に尋ねました。

「私もよくは見てないぺぐ。大きすぎて窓からはスネしか見えないペグ」

「仏法を修めたら恐れはなくなるんじゃないんですか?」

「いい加減にするにゃん」

またフキ師が沙非常を殴りました。

「まあこう見えてもウチたちは今までで悪鬼魍魎をしばいてきたにゃん、住職、ご安心にゃん!」

「この遊悟空が成敗いたす!」

四人はゲラゲラ笑いました。

そしてその夜…。



ペグモン公国(通称PP)崩壊!



モンスターの軍団によって街は焼かれ、畑はあらされ、男は死体、女は陵辱、子どもは奴隷としてさらわれていった。

ここは宮殿ペグモパレス(通称PP)。今ではモンスターたちが繰り広げる背徳の見本市となっている。

PPの地下牢には姫騎士として大陸に名を馳せた第一王女プリンセスペグモ(通称PP)が捕らえれている。

陽の光のこない地の獄、汚泥に塗れながらも、PPはいつか復讐することを諦めていなかった。

「最低っ!最低よ!この豚!いい加減にやめなさい!」

天井から伸びる鎖手枷で拘束されたPPは囚人服をよじらせて抵抗していた。

しかし股間の茂みに鼻先をツッコミ、まるでトリュフを見つけた豚かのように一心不乱に秘裂を貪るモンスター(ラルナオーク)を振り払うことはできなかった。

ラルナオークは体重差にものを言わせ強引にPPの股を開き、こうして一刻は舌をねじ込み、外唇を舐め回し、愛液で喉を潤していた。

大陸一の美姫と謳われたPPだが、美醜の観念がまるで違う人間の美貌はまるで価値がなく、ラルナオークが気に入ったのはPPの特徴的な匂いのする陰部だけだった。

「この醜い豚!ケダモノ!悪鬼!腐った風呂の匂いがする体を私から離しなさい!」

PPはなおも心が折れることはありません。

「ブヒ、ブヒヒ、上の口はうるさいですね、僕が興味あるのはこっちだけですから、絶品ですよあなたの臭くて臭くてしかたのない女性器は、ブヒヒ」

ラルナオークはそのへんに落ちていた布をPPの口にねじこむと麻袋をPPの頭に被せました。

「フゴ!フゴ!」

「おやおや、豚のような鳴き声で鳴きますね、それでは失礼して」

ラルナオークはPPの背後に回るとパァンと勢いよく尻を叩きました。

「さてそれではそろそろ本番ですよ」

口では汚く罵っていたPPだが、ラルナオークの長く執拗な舌技によって、すでに穴の中はトロトロに出来上がっていた。

獣のようにPPに尻を突き出させると、子どもの腕ほどはあろうかというマラを股引きからとりだして、PPのクレヴァスにぴとりと当てた。

「ブヒヒ、何回やっても、この挿入するときの感触はたまりませんよ」

PPは今まででもっとも激しく抵抗しました。しかしラルナオークはガッチリと尻を両手で掴み微動だにしません。

「それではいただきます」

地下牢に悲鳴とも怒声ともつかない叫びがこだました。



コンビニ店長ラルナ


ここは長野県尻手市。

人口3万人程度の静かな街で、古くから住む人たちのほかは、郊外にある製薬メーカーの工場関係の人たちくらいしかいません。

街に数件あるコンビニはどこも「これスーパーマーケットじゃないの!?」と、思うような広々とした駐車場がついていますし、近所のおじいちゃんおばあちゃんにとってはライフラインです。

さて、ここ「コンビニエンスストア ペグモマート(通称ペグマ)登戸店」はいよいよ明日のオープンに向けて準備に大慌てでした。

「ラルナオーナー!!!あなた自分がなにやってるのかわかってるんですかぁ〜!!」

バックヤードの事務所でエリアマネージャーの岩井戸の怒声が上がりました。

「なんで明日オープンなのにアルバイトが二人しかいないんですか!!!」

「募集かけても全然集まらなかったので…」

「オープニングはペグモン握手会も合わせて一日1500人は来る予定なんですよ!?どうするんですか!」

「どうすればいいと思います?」

ラルナオーナーがいがぐり頭をポリポリかきました。まるで切迫感がなく、岩井戸の怒りを煽ります。

「とりあえず明日は直営店から何人か連れてきます…しかしこの先三人でどうやって24時間営業するんですか…」

岩井戸は震える手でスマホの社内アプリを操作します。

「なんで三人なんです?」

「バイトは二人って言ったでしょ、1+2もできないんですか…」

「私オーナーですよ?オーナーなのに働くの?」

「当たり前です!!オーナーが如何に働いて人件費を減らすか!研修でなにを聞いていたんですか!!」

「営業の遊さんは、オーナーはバイトに誓約書を書かせれば無限に働かせることもできるしパコり放題のオフパコ王国だって」

岩井戸はふら〜っと気絶しそうになるも、かろうじて踏みとどまり、スマホの通話を遊につなぐと「お前今日から一ヶ月登戸店に住み込みだ!!」と言って乱暴に通話を切りました。

「この分だとバイトたちにも何も教育してなさそうですねえラルナオーナー」

岩井戸は壊れた笑顔になりました。

「実は二人とも経験者なんですが…」

「いいニュースですね、なんでbutがつくんですか?」

「どっちの中学の偏差値がよかったかで喧嘩して帰っちゃいましたわ」

「うわぁぁぁ〜〜!!!!がぁぁぉ〜〜〜!!もう!!おしまいだよ!!全部!!終わり!!」

岩井戸は頭をかきむしり机に頭を打ち付け絶叫しました。



角刈りラジオ


フキーラの声「シャシャシャシャブ漬け〜!」


フキちゃんラルにゃんの!生娘シャブ漬けラジオ〜!

今週も始まりました生娘シャブ漬けラジオ、お相手はみんなのボス猫フキーラと、マスクもしないゴムもつけないリスクはお前が負担しろのラルナ!川崎球場から深夜2時まで生放送でお送りします。

(ジングル)


フツオタのコーナー!さて今日も生娘のみんなからたくさんのシャブ漬けメールがきてるにゃんよ。

シャブ漬けネーム、「俺のオナホは七生報国」さんからです。フキーラ!クソ野郎のラルナ!こんばん静脈注射〜! はい俺のオナホは七生報国さんこんばんあぶり〜!

誰がクソ野郎や!

ラルにゃんがクソ野郎なのはポン中でもわかることなんだね(腐女子特有の上ずった声)

え〜、この前僕の大学に講演会で来たとある大企業の役員が、プレゼン中に「生娘シャブ漬け戦略」と言い出しました!女子はドン引き、教授たちはあわてて講師にかけより講演会は中止になってしまいました。

同じ生娘シャブ漬けラジオのリスナーとして、公の場であぶりをキメたのはかっこいいと思いつつ、あの人がキャンセルされたら悪いのはラルナだと思います。フキちゃん、ラルナをしかってください。というお便りでした。

あ〜こりゃあひどいにゃんねぇ、シャブを公衆の面前でキメていいのは川崎だけにゃんよ。

これ俺悪くないよね?俺のオナホは七生報国さん、シャブは自己責任だからね!ラルナ、悪くない。

でもさ、私もWikipediaの出演情報に「フキちゃんラルにゃんの生娘シャブ漬けラジオ」って描かれるのいやなんだけど。

このタイトルきめたのフキーラでしょ。

とめなかったラルにゃんがわるい。ラルナが悪い!

もう一通いけます?はい、次の生娘はシャブ漬けネーム「プリキュアを好きなミソジニスト」さんからです…




シンラルトラマン


「異独隊のみなさん、こんにちわ、私はフキーラ星からやってきたフキ」

異独隊の部屋に現れた巨大猫に一同はひっくり返って驚きました。

「どこから入ってきたんだ!」

異独隊隊長の岩井戸は尋ねました。

「鍵があいてたから玄関からフキ」

「馬鹿な!うちはオートロックだぞ!?」

岩井戸が狼狽します。

「ウッス!自分鍵なくしたから破壊しました!!」

隊員の遊がオスオス元気よく言いました。

岩井戸隊長は遊隊員の横っ面を全力でビンタしました。遊隊員は直立不動で「ウッス」とお礼しました。

「フキーラ星のフキさん、ここにはなにをしに?」

フキーラ星人は後ろ足で器用に耳やあごを毛づくろいしながら答えました。

「ウチ、普通に生活したいだけニャのに他の宇宙人から狙われて困ってるフキ。なんとか匿ってほしいフキ」

「他の宇宙人?」

「ラルナ星人はウチの体を狙ってるフキ。合うたびに体を求めてくるフキ…」

「とんでもねえク○宇宙人だなそいつ」

「オスオス許せねえっす!フキさんの体はフキさんのものっす!」

「次のワイズ星人は一般論と友人関係を結びつけてウチを攻撃してくるフキ…」

「とんでもねえク○宇宙人だなそいつ」

「オスオス許せねえっす!友情という巨大な矛盾を理解できない哀れな奴っす!!」

「最後は小山晃弘星人…こいつは…」

「こいつは?」

「ウチが立派な地球人になれるよう助言してくるフキ…」

「そりゃひでえな」

「オスオス!今更無理っすよね!!」

「何が無理だこの汚部屋星人!!!」

遊隊員の一言がフキーラ星人のなんかのスイッチを入れてしまったようでした。

フキーラ星人は遊隊員に馬乗りになり両手で顔面を殴打します。

岩井戸隊員はそれを見てゲラゲラ笑っていました。

「うちだって好きでフキーラ星人に生まれたわけじゃないニャン!!」

「フキーラ星人のフキさん、落ち着くメンス」

岩井戸がフキーラ星人の肩に手を載せました。

「隊長…」

岩井戸の温かい手にフキーラ星人が感激したときでした。

「フキーラ!!○○○しようぜ!!」

大地を震わす大声とともに巨大ヤリモ○星人が出現しました。

「そこが女なんだよ」

地面を割って巨大小山晃弘星人が現れました。

「暴力性にやられてますね」

スクリーンにワイズ星人が現れました。


つづく



愛と幻想のラルニズム


「僕は日本に行く。もう馬の世話なんて嫌だ。日本で勉強してプログラマーになるんだ」

ユゥ・ムーミンは18歳の夏、働きながら学ぶことができるA県の某私大に留学した。

そこで待っていたのは留学生とは名ばかりの地獄であった。

朝は午前三時に起きて重い籠を背負って野菜の収穫を手作業で行う。それが終わると今度は軽トラックの荷台に他の留学生と詰め込まれ、山奥で間伐をチェーンソー一本でやらされる。夜になっても休みはない。裸電球一つの部屋で電子部品の組立作業を深夜までやらされた。

もちろんユゥとて学校で会話に読み書きを学んでから来た。

「ワタシハベンキョスルタメニキマシタ…コレハオカシイ…」

「كم من الوقت تستريح؟ عمل.」

「?」

「لا اعتراض مسموح به. اعمل حتى تموت. تم بيعكم يا رفاق إلى البلاد.」

この県で話されている言葉はユゥの知る日本語とはあまりにもかけ離れており、口答えすれば殴打された。

入学式だけ行かせてもらえた大学にパスポートを奪われたため逃げることもできない。

この地獄は四年先まで続くと聞かされた。ユゥは憧れの日本がこのような地獄だとは思いたくなかった。

一夏が過ぎた。国から手紙も来ない。

ユゥは心を持たないことにしていた。草原の羊のように、ただ牧童のいいなりになるのだ。

「すいません、女いませんか…?」

出会いは唐突だった。山深い杉林でいつものように間伐するユゥの前に男が現れた。

太っている、目は細い、頭はいがぐり頭だ。

「ココオンナイナイ」

男は汗かきなのかペンギンのキャラクターシャツをバサバサした。

「ならどこにいけばいますか?」

「アッチ」

ユゥは麓の飯場を指さした。あそこには寮母のようなおばさんがひとりいる。タバコ臭いのでユゥは嫌いだった。

「ムフ…」

「オマエ、ナニシニキタ、ココハアブナイ、カエレ」

ユゥは再びチェーンソーを構える。

「何しにって…そんなの決まってるじゃないですか」

男は下卑た笑いをあげた。

「もちろん、女とパ○んですよ」

「ハァ?」

「ついてきませんか?」

これが後に日本を震撼させるカルト教団「ラル箱友の会」教祖ラルナと、ハイドリヒの生まれ変わりと呼ばれたユゥ・ムーミンの出会いである。




大河ドラマ「川崎殿の13人」



第27回「結成 十三人評議衆」


(舞台)川崎御所 大広間

上座に座る純白の直垂をした川崎殿である平和好、平伏する12人の御家人たち。

平和好「これより、評議をはじめようとおもうが…」

指をおり御家人を数える平

平「おい、ひとりたりないではないか。評議衆が十三人といったのはそちらではないか!」

面を上げる一同 そして顔を見合わせてざわめく(誰だよ当欠したの、いないのだれ?どうせラルナだろ?などの顔のカットが入る)

梶原非常時「川崎殿、どうやらいないのは、ぺぐも殿のようにございます」

和田イケ盛「そういやぁぺぐにゃんのやつ!昨日腹がいてえ腹がいてえって厠にこもってたな!」

平「ちょっと大丈夫?みんなでこれからお見舞いにいく?」

腰を上げようとする平、それを静止する梶原非常時

梶原非常時「これは罠やもしれませぬ。病気を偽り川崎殿を家に招き入れ後ろからばっさり、ということも…」

クビに平手でカットのジェスチャーをする梶原

平「えっ、ぺぐにゃん謀反企んでるの!?こっわ!」

ぶるぶるする平

北条遊牧時「ちょっとまてよ!!」

梶原「遊牧民うるさい!だまれ!」

遊牧時「だまんねえよ!!さっきから聞いてたらぺぐにゃんがだまし討ちをたくらんでるとか言ってるけどさあ!全部そいつの妄想じゃん!なんか証拠あるのかよ!」

平「ねえねえなにかあるの?」

目を細めて嗜虐心をあらわにする平

梶原「当日無断欠勤しておいて忠義もくそもないでしょ…」

北条「つうかさあ!ぺぐにゃんがそんな卑怯なことするわけないじゃん!前俺ぺぐにゃんから聞いたけど、俺はいつか謀反するときは正々堂々正面から川崎殿に戦を申し込むって!」

平「それぺぐにゃんがいったの?」

北条「そうだよ!ぺぐにゃんにあやまれよ!」

梶原「ひじょじょじょじょ!」

北条「なにわらってんだよ!」

梶原「今日の評議は終わりですな」

平「そだね、じゃあこれからみんなでぺぐにゃんちいくか」

北条「川崎殿!わかってくれましたか!」

平「これより謀反人ぺぐも討伐に出陣する!!みな戦支度をせよ!」

北条「ちょ!まてよ!」


ぺぐも屋敷 布団で貝合わせに興じるぺぐも

ぺぐも「はぁ仕事休んでするシャカパチは罪の味ペグ」



次回「梶原非常時の最期」に続く




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ラル箱怪文書まとめ メガマラノンケボーイ @zockyosida

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