囚われ少女の手紙

佐藤菜のは

囚われ少女の手紙

ここは受罰の塔

そのもっとも高い場所に私はいます


名も知らぬ人たちに引きずられ閉じ込められた

狭い部屋には小さな窓がひとつ


罪名は与えられず

償うべき過ちがない


それでも恩寵に逆らい反したと

皆が私を指し口々に詰るのです


赦しがないのは私だけですか

救いはどこにありますか


日毎の責苦に耐えられるほど

私は強くありません


戻らぬときを思うては

嗚咽が溢れ


伝え忘れた言葉に

泣き笑いの日々を偲びます


小さな妹たちはどうしているでしょうか

悲しませることになってしまいました


ですが悪いときはもうすぐ終わりです

最期の日に身に着ける服も用意しました


あの小窓から飛び降りる前に

この手紙を置いて行きます


朝陽が昇るころ

お祈りを済ませ


窓枠に手を伸ばし

澄んだ空に身を躍らせ


落ちていく

懐かしいところへ


帰りたい

そうすれば


地上に打ちつけられた身を

抱きしめてくださいますか


ねえ

お母さん



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囚われ少女の手紙 佐藤菜のは @nanoha_

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