第32話 母との面談①
チャンチャカチャンチャンチャチャンチャチャチャンチャン。
今日は~ウナギ~の食べ頃でぇ~…この声色めんど…。
あ、焦げちった?チクショオォン!?これ私の分な。
次はねぇぞぉ?愛しい瑞穂ちゃんの身体の一部になるんだからなぁ…ぐへへ。
おっとっと、そっちっじゃなくってさ。
面倒くせぇ!!兎に角ぅ~もりもり食べろぉ?
「お母さん、お客さんもどき~」
「えっ…またぁ?」
チャイム聞こえてなかったZOY。
チェンジ瑞穂ちゃん……うん。
また君かぁ~壊れるなぁ…種馬様、そのままお引き取り頂いて宜しいでしょうか?
3日に一回…2日に一回は来るんですけどぉ…最早狂気すら感じるっす。
警察に突き出したい…。
ドアの除き穴から見る限り…やたらそわそわしてるのぅ。
大の大人が気持ち悪い…このまま放置したろか?
「お母さん、これ着て」
「え?これでも大丈夫でしょ?」
瑞穂ちゃんが小学生の時に作ってくれたエプロン姿で御座います。マイ宝具。
「…着てって言ってるの、分かる?」
「はい!!」(従順)
圧ぅ~ですかねぇ。瑞穂ちゃん覇気纏ってへん?気のせい?
…暑いにゃ。厚手のパーカーはきついっス。
さぁ~て、良いよ来いよ!掛かってこいよぉ!?
「何か御用でしょうか?」
「あ、都。きょ、今日も綺麗だね」
「…えぇ(困惑)ご機嫌よう、さようなら」
「ま、待って。お願いだ、少しだけ話したいんだ」
「これ以上何を話すのですか?」
「その…ごめん。今までずっと謝れなくて…」
「…それは何の謝罪でしょうか?」
「き、君を見捨ててしまった事…いや、逃げてしまった事に対して…いや、そうじゃ無いんだ。あの時は錯乱しちゃってて…父に助けを求めに行ってただけで…」
ん~、それは私じゃ無いんだよなぁ~。ってか…あんたは来なかったよね?
それにさぁ…今更来ていきなり謝罪されてもお門違いやねん。
その話はとっくの昔に清算されているんだけどぉ…。
「まず、その謝罪は適切ではありません。何故なら、必要無いからです。それが何故か分かりますか?」
「…え?な…なんでって言われても」
「貴方はあの日来ませんでしたよね?匿ってもらっていたマンションから引っ越しをしたその日、その話を貴方のお父さんにお話ししましたか?していないのであるならば、まずはそちらで確認を取って下さい。では…さようなら。二度と来ないでくださいね♪」
「え、あ…待って」
ガチャリンコ。あ、チェーンもガチャっと。ふぅ…工事完了です…。
ぷぇっ!!てめぇの面は見飽きたぜ!!もう来んなよぉ~。
「…なんか…女々しい人だね」
「ん~、せやねぇ。瑞穂ちゃんの目には毒やからね~見たらあかんぇ~」
「毒って…」
ほいほい、ウナギさんもう一回温め直そか~。
全く…美味しい美味しいウナギ丼を作りたいねん。タレも一から作ってんねんぞぉ?
ピンポーン。…あのさぁ、一々中断されてたら頭にきますよ~コレぇ。
どうしてくれるん?その控え目なピンポンやめろ?
「チェーンだけ残しとこか…」
ガチャリンコっと。まだ居るんかい…図太いなぁ。
「取り合う気は御座いませんので。帰って頂けませんか?」
「…」
頭振らんと何か喋れや…えぇ…良い大人が泣くなよ…。
「ん~」
あ"~も"~まどろっこしい!!
「お母さん、どうしたの?」
「あ~ん~…。瑞穂ちゃん、ちょっと自室に入っててくれへん?」
「うん、良いけど…もしかしてお家にあげるの?」
「あ~そうなるねぇ、…おっさんの泣き顔見たい?」
「見たくないけど…。まぁ、うん…」
「ごめんね、ちょっと話するだけだから…。吠えたりはしないから安心して?」
「お母さんを信じてるから大丈夫。じゃ、部屋にいるね?」
「ありがろん」
スマホを取り出し、例のあの人へとご連絡。
電話とらへんからメッセージだけでも送っとくか。来いよぉ…ここによぉ…。
さてさて、おっさんの泣き面見て言い訳でも聞きましょかぁ。
はぁ~、あほくさ。
扉閉め~の、チェーン外し~の…おらぁ!!
「だっ!?」
ぶつかってしまったか…わざとやけどな。軽くやってん、そんなに痛くないやろ?
瑞穂ちゃんと私の味わった痛みとは比べモンにもならんぞ?おぉん!?
「入り、中で聞くわ」
「…えっ?都…」
スマホでは連絡とってあるけど、ホンマに来るかなぁ…まぁ、ええか。
「このままやとご近所迷惑になるからね。いや、もうなってるけど。一つ、あんたの話を聞くだけ。それだけ。分かった?」
「…あぁ、ありがとう」
スーツ姿の顔見知りのおっさんがさぁ…家の外で泣いてたら他の人はどうするやろ?
1有無を言わずに警察へ連絡。
2一応声だけ掛ける。
3放置。
4家の中にあげる…のは間違ってるやろね。うん。
最悪、不法侵入でしょっ引いてもらおか。
「粗茶ですが、どうぞ」
「あ、ありがとう…」
キョロキョロすんな。私と瑞穂ちゃんとの愛の巣やぞ?
おめぇの場所ねぇから!!
「…」
「…」
何か喋れぇ?
これ以上付きまとわれたくないから円満に解決しよか、ってこうしたんやで?
「その、あの子は?」
「あの子?娘の事なら気にしないでください。ご飯まで勉強中です」
「あ、会えないのかな?その、良く…見たいんだよ」
気持ち悪。もうちょい言葉選べYO!!
「…会いたくないと、娘からも直接聞いています」
「そ、そうか…」
「で?何を話したいんですか?」
「そ、それは…その…」
…。
……。
………。
…………。
……………なんだこのおっさん!?(驚愕)
………………。
…………………。
……………………。
………………………すいませーん、まーだ時間かかりそうですかね~?
「早くしてくれませんか?ご飯を作ってる最中なんです」
「あ、ご、ごめん。良い匂いだったからつい…」
つい…何やねん。
おめぇの飯ねぇから!!
「その…さ」
「はい、何でしょうか?」
「後悔…してるんだ…」
「はぁ…」
「その、君と…もう一度やり直したいんだ…」
「お断りします」
「そ、それは分かってるんだ。ただ…このままでいたくは無いんだ…」
「私はこのままで十分です。いえ、このままでいさせてください」
「ぼ、僕は…」
……君もう帰っていいよって言いそうになっちった。
瑞穂ちゃん、君が正しいわ~。この人、女々しぃ…あ~、お茶美味ぇ。
「お、お願いだ。どうか、どうか僕を許して欲しい!」
「意味が分かりません」
「…お願いだ。ずっと…ずっと捜し続けていたんだ」
「捜して欲しいとは言っていないです。それに、この話は貴方の父親から聞いているでしょう?手付金で済ませたって、聞いていませんか?」
「…え?手付金?」
知らんのか~い。えぇ…(困惑)
どういうこと?
「ど、どういう事?僕は君からいなくなっていたとしか聞いていない…」
おいおい、種馬パパ説明放棄してるやん…ってか先に確認取れ!!
まっつんよぉ、早く来てどうにかしろよぉ(無責任)
その日から見知らぬ母になる 簡単お手軽 @kantanotegaru
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