第31話 母と娘の就寝前

「お母さん、また来てる…」


「お、おぅ…」


いやいや、何通来るねん…。実家、実家、種馬、種馬…モァイ!!

流石に叩きつけたらあかんな。

え~と…ほんほん。帰って来いが2枚。話し合おう+謝罪が2枚。

…芋でも焼くか?


「どうする~?なにする~?」


「…トランプにはならないよ。お母さん的には会いたくないんでしょ?じゃあ、会わなくても良いじゃん」


「瑞穂ちゃんはお父さんに会いたい?」


「妊娠してたお母さんを捨てたって事は私も捨ててるんだから、会いたいとも思わないよ」


「うぉ…結構ドゥラィ…。爺ちゃん婆ちゃんには?」


「逆に聞くけど…会いたいと思う?」


「デスヨネ~。野球ぅ~するなら~こういう具合にしやしゃんせ♪アウト、アウト、よよいのソォイ!!」


ゴミ箱へボッシュートになりま…あ、外れた!?


「も~。ちゃんと捨てなよ?」


「瑞穂ちゃんありがと~。しっかし、しつこいな~」


「そうだよね。そんなに寄り戻したいのかな?」


「違うんちゃう?罪悪感的な何かでしょ」


「え~?どう見たって寄り戻そうと考えてるでしょ?」


「わがんね。オラぁこういう事さ興味ネぇんだ」


「何というか…まぁ、いいか」


はぁ~どっこいしょ。おぉん?瑞穂ちゃん…一肌恋しいんかぁ?

お母さんは座椅子と違うでぇ?軽いから良いけどね♪


「きゃあ!!」


「ほほん?ほほほほほ、抓める抓める♪」


「う~…、お母さん!」


「ほほほ、ガシーン。これで両手は塞がったのぉ。どうするどうする?」


「ぐぐっ…力強い…」


〇ムチャー!!みたいな感じに瑞穂ちゃんの身柄確保。

へへ、こう見えて力は強い方やねん。ま、年の巧ですな…ちゃうか。


「う~、放して」


「ウー☆ウー☆」


「く~…何言ってるか分かんないけど、腹立つ!」


「ほい。あんまり苛めちゃ可哀想なのん」


身柄介抱!! さーてと、後は寝るだけやで~っと。

お布団にどっこいせ。ダブルサイズって思ったよりでけぇよなぁ~。


「捕まえた。ふふん、これで形勢逆転!んふ~♡」


あのさぁ…もう寝るんやで?今からテンション上げたら寝れんくなるよ?

レスリングで抑え込まれてるみたい…。

あぁん?だらしねぇなぁ?


「瑞穂ちゃん今日はえらい元気やね」


「そりゃあね。明日から夏休みだよ?」


「あっ…(察し)」


夏休み…社会人には縁が無い休みやで?

祝日?飲食店なんかはほぼほぼ年中ムキューやで、関係無いわい。


「んふふ~。お母さん、どっかの休みで温泉行くんでしょ?」


「そうだよ(肯定)先ずは近場で行くか~。サウナある所が良いな~♪」


「あ、良い。すっごく良い。どっちが長く居れるか勝負だね♪」


「あ~、良いっすねぇ。メッチャ楽しそう…温度上げまくったるわ」


「お風呂上りにフルーツ牛乳かコーヒー牛乳…飲みたいな~」


「10本でも100本でも買っちゃう!!」


「いや、1本で良いよ?」


ん~遠慮しいやねぇ~。なんぼでも買うたるでぇ?


「ユリちゃんやシホちゃんと遊ぶ約束もしてるんでしょ?」


「うん。まぁ、そこそこ遊ぶと思う」


「ええで~、いっぱい遊んで来ぃ。あ、カレピ出来たら教えてな♪」


「…ガブっ」


「あ痛ぁ!!」


ちょっとぉ…どこ噛んでるんですかぁ?くっきり歯型付いたよ~。


「変な事言うからだよ?」


ジト目瑞穂ちゃんも良いのぅ可愛いのぅ。

あ、でもお腹に圧し掛かっちゃや~よ?吐いちゃうゾ?


「ごめんね。でも、本気で好きな人が出来たら教えてね?」


「ん~それはまぁ…ね。あ、でも中学校では恋愛とかしないよ?」


「え~?カレピ作るって言う私との約束は~?」


「…そんな約束してないんだけど?」


あるぇ~?


「そうだっけ?あっ、そうだ(唐突)瑞穂ちゃんはどこか行ってみたい所ある?」


「行ってみたい所?ん~特には無いよ?」


「遊園地とか水族館とか?」


「ん~?特には…」


「海とかプールとかは?」


「…それは行ってみたいかな?」


「よっしゃ。プリンプリンっと」


「ん?」


ぐふふ、瑞穂ちゃんの水着チャンスやでぇ~。毎年の成長記録ゲットだぜ!

去年行った海辺でも良いかな~。ユリちゃんママさんやい、どうで?

おっ、早いやん…ん?私が保護者枠?

ユリちゃんママ…旦那さんを優先しやがった…。


「ぬぅん…シホちゃんママはどうや?」


「さっきのユリママのハッスルって何?」


「そのままの意味やで。ハッスルハッスル!」


寝転びながらサイドチェストぉ!!

そんな意味不明みたいな顔しなさんな…R18お断り案件やねん。

お、返事来たなぁ~。んほぉ、良えの良えの~ユリパパさんも来てくれるんやぁ。

じゃあ~日付はここでどうどす?確認お願いしやす。


「良いね。皆で海も楽しそう…ふぁ~」


「ん。お眠?」


「うん…ちょっと眠たくなってきただけ…」


相変わらず猫みたいやな~。これこれ、そんなところに収まろうとしないの。


「お、良い感じ~?みたいやね。お願いしますっと。よっしゃ、後は私の方を根回ししとかなあかんな。ふふん」


「んぅ?」


「完全にお眠やん。ちょっと放してんか~充電充電」


「ん~」


「ちょいちょい。瑞穂ちゃんしがみつき過ぎぃ…うおおぉ!」


今の状態…だいしゅきホールドやで?

はいはいはいはい…届いた!!充電ケーブルそうちゃこ…っと。

はいはい、いよぉっとぉ!!これこれ、布団被りんさい。

冷房つけてんねんからさ~。ん?私?あかんでぇ~。


「よっとぉ…ふん、軽いのぉ!(震え声)」


「むぅ…んぅ…」


「猫やん…もぉ~ほれほれ、こっち来なさい」


う~ん、甘やかし過ぎてるんやろか?役得ではあるんだけどね~。

一人で寝させる練習した方が良さそう…って小学生か~い。

まぁでも…寝袋有るし一回一人で寝させてみよか…。

うん、何か心配やわ…。

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