第18話 再開は突然に
次の日の朝、おばあちゃんたちを見送り、私は二度寝をしてお昼までゴロゴロしていた。
パパは、おばあちゃんたちを駅まで送りに出かけそのまま仕事に向かった。
誰もいない家は、静かで少し寂しさを感じる。
ベッドで横になったまま天上の一点をみつめていた。
私はあの時、レニシアも一緒に消滅してしまった事を、救えなかった事を後悔していたのだ。
必ず、助けると言い切ったのに結果的に消滅させてしまったから。
私は、心の中でマリーシャさんに問いかけた。
(ウルたち4人はいつか生まれ変わって会えるけど、レニシアは生まれ変わることは出来なかったのね、マリーシャさんどうして?)
夏休みも終わりに迫ってきたある日、私は玲と
遊びに行く約束をして準備をしていた。
「髪型どーしよっかな.....」
あの日から私は、髪を切らず伸ばし続けていた。そして必ずツインテール。
いつか生まれ変わったウルが、私に気づいてくれるように。いつになるかはわからないけど。
(生まれ変わるって、そしたらウルじゃないもんね?違う人間って事だよね?私だってマリーシャさんだった時の事なんて、覚えてないし
私の事わからなくても仕方ないよね...)
「......よし!!今日はイメチェン!!大人っぽくするぞ!!」
ツインテールではなく、巻き髪で少し大人っぽくしてみた。
「あ!!やっバーい!!遅れちゃう!!」
時間ギリギリで、家を飛び出し待ち合わせの場所に向かった。
駅の改札前では、玲が待っていた。
「おっそーい!!まゆらったら、20分の遅刻だよ?!メッセージ送っても既読にならないし、心配したんだから!!」
「ごめーん!!あっ、、スマホ忘れてきちゃった」
「まったく、、、」
玲はニヤっとして私を見た。
「まゆら〜好きな人でも出来た〜??
いつも、ツインテールで子供っぽい髪型してたのに、今日はどうした〜??」
「好きな人とかそんなんじゃないよ!!
イメチェン!!16歳になったしさっ!!」
「でも、相変わらずそのペンダントはしてるんだね〜。」
「これは、、、大事な物だから、、」
「いつか、話してよね?そのペンダントの贈り主の彼のこと!」
「彼って、、そーゆーんじゃなくて、、」
私は顔が赤くなった。
「好きな人じゃないなら、そんなに顔赤くなるかな〜??」
「好きな人って....もう!!玲ってばー!!」
(ウルは好きだよ?好きだけど、この気持ちは恋?いや、違う!!絶対違う!!
会えたとしても、私の事は覚えていないだろうし)
そんな事を考えいたら、玲は先に歩き始めてしまっていた。
「あー!!もうっ!待ってよ玲ー!!」
キャッ!!
その時誰かとぶつかった。
「あっ、、....ごめんなさい!!」
「大丈夫か?」
顔を見上げると、見覚えのある瞳のイケメンだった。
「は、、、はい。...えっ?」
私は、すぐに気づいた。
「ウル....??」
「待たせたな。」
私は、嬉しくて涙が止まらなかった。
こんなに早く出会うことができたなんて夢みたいだったからだ。
私は、思わず抱きついてしまった。
「ウル....?本当に...ウル?私の事、覚えてるの?」
「馬鹿か?覚えてるに決まってるだろ?」
「私、聞きたいことが....たくさん...あるんだよ!!」
「あぁ、、俺も話すことがたくさんある。」
ウルと会えた嬉しさのあまり、玲の事を忘れてしまっていた。
「もしもーし、まゆらさーん??こんな街中でイチャつかないでもらっていいですかー」
「あっ!玲、、、ごめん!!」
「まゆらに、こんなイケメンの彼氏がいたなんてね〜。親友なのに知らなかった〜」
「彼氏じゃなくて....」
「もう!隠さなくていいのっ!!
まゆらの親友の、安斎玲ですっ。」
「狩神 蒼です。(かがみ そう)」
私は、ウルの顔を二度見した。
「えっ、、ウル?!かがみって、、」
「まゆら、これから出かけるんだろ?じゃあ先帰ってるから。」
ウルは、さっさと行ってしまった。
「へぇ〜彼、まゆらの事、彼女じゃないって否定しなかったってことは、、、」
「玲!!だから、、そーいうんじゃないの!!」
その日は、玲にしつこくウルの事を聞かれて
ショッピングどころじゃなかった。
なんて、説明していいかわからず、適当に嘘ついてしまった。
「玲!ごめん、今日7時までには帰ってくるようにってパパに言われてて、、」
「じゃぁ、今日は帰ろうか!新学期始まったら彼のこと、また詳しく事情聴取するからね〜」
「はい、はい。....」
玲と駅で分かれて、家に急いで向かった。
7時まであと15分ってところでギリギリ間に合った。
「ただいまぁー!!」
玄関には、知らない靴が置いてあった。
「あれ?お客さんかな〜」
「おかえり。」
そう言って出てきたのはパパではなく、ウルだった。
「えっ?!何で私の家に?!」
「何でって、俺もここに住むからだ。」
「まゆら、おかえり!帰ってたのか。」
パパがニコニコして地下の階段から上がってきた。
「パパっ!!どーゆー事なの?!何でウルが一緒に住むの?!」
「まゆら、嫌なのか?」
「嫌とかじゃなくて、、、説明して!!
昨日、ウルたちが生まれ変わること聞かされたと思ったら、さっき、突然現れるし
そして、一緒に住むって頭が追いつかないんだけどー!」
「あー、、ごめんごめん。パパの説明不足だったな。地下に降りてきてくれるか?」
パパと一緒に地下に降りた。
そこには、時空の鏡が置かれていた。
「これ、、時空の鏡。えっ!?マリーシャさん?!」
鏡の中には、マリーシャさんの姿があった。
「パパ、どーゆーこと?!」
「マリーシャ様は、スピネル騎士4人を記憶をそのまま残して現代に転生させたんだ。
早い方がいいだろうって事で、彼、ウル君は
狩神 葵として、現代に転生した。」
マリーシャさんは、私の方を見てにっこり笑った。
「久しぶりね、まゆら。」
「あっ、お久しぶりです、、」
「私は、生と死を司る女神になったのよ。」
「生と死を司る、、?」
「スピネル騎士の4人はあの日、禁忌の魔法を使ったわ。
あなたを守るために。
本来ならば、消滅する運命だった、
だけどどうしても4人に、もう一度あなたと、この世界を守って欲しかったの。
だから、記憶を消さぬまま転生させた。
また、敵が襲ってくるかもしれない。
その前に、残りの4人を見つけて。
全員が揃った時、レッドスピネルの欠片が全て揃う。あなたの本来の魔力が解き放たれるわ。
そして、この鏡を使ってレイディリア王国を行き来することができる、古代と現代をつなぐ真の深紅のプリンセスになれる。」
「真の、、深紅のプリンセス....また、敵と戦うの?」
「近い未来そうなるわ。
あっ、、この子も転生させておいたわ。
ちょっと可愛すぎるくらいになっちゃったけどねっ」
鏡から出てきたのは、黒いうさぎだった。
「まゆら様〜!!」
「えっ?!ルビィ!?」
姿はまったく違うが、あの時レニシアに消されてしまったはずのルビィの声だった。
「マリーシャ様に、黒うさぎに転生させていただいたんですぅ〜!!まゆら様また、よろしくお願いします!!」
「ルビィ、、こっちの方がかわいいっ!!また、よろしくねっ!
マリーシャさん、ありがとうございます!!」
「まゆら、また大変な日々になるかもしれないけれど、仲間たちと力を合わせて6人で、この世界を守るのよ、、、私はもう行くわ。
ウル、いや....狩神 蒼。
まゆらをしっかり守るのよ。」
マリーシャさんは消えてしまった。
「まっ、、そーゆー事なんだ、まゆら。
これから、パパとまゆら、蒼君の3人暮らしになる。ママにはパパの学生時代の先輩の子を預かってると言ってあるから。
蒼君、部屋が片付くまで、まゆらの部屋でいいかい?」
「ちょっと!!パパっ?!」
「あはははっ!!冗談だよ。
しばらく、パパの部屋で寝てもらうから安心しなさいっ。」
「直隆さん、まゆら、しばらくお世話になります。」
ウルは深くお辞儀をした。
今までのウルとは別人に見えた。
「ウルまたよろしくね!!話したいことがたくさんありすぎるし、状況が急すぎてパニクってるけど、ウルとまた会えて私すごく嬉しいんだからね!!
あっ、ウルじゃなくて、、蒼くん...」
「慣れるまで、ウルでもいいぞ。
疲れたから、先に寝る。」
ウルはパパの部屋に行ってしまった。
パパが私の方をみてニコっとした。
「彼は、照れ屋だね〜!
パパは蒼君だったら全然OKだからなっ!」
「パパまで、からかわないでよ!!」
慌ただしく急展開な1日だったけど、私はとても嬉しく、これから今以上に楽しくなる予感がしていた。
Red Spinel ファンタジー〜古代をつなぐ深紅のプリンセス〜 もあこ @mi-moaco
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