十七話 五人目はクリスちゃん(3)

 紫式が、盾になろうと前に出る。

 クヘイジは、刀の鞘を紫式に向ける。

 鞘の封印から解かれた電気ウナギ怪人インジューザが、紫式を長い体躯で絡め取って拘束する。

 クリスが助けようとするも、ヘイジの剣舞が衣服を斬り裂く。

 黄道クリスの下着と戦闘服が布切れになって、散る。

 隠し持っていた武器も全て斬り捨てられ、黄道クリスは路地裏で押し倒される。

 相棒も封じられ、体術でも全く敵わない相手にマウントを取られて、クリスは反撃の可能性を探る。

(こんな連中が暴れた以上、誰かが通報はしている可能性は高い。警察か民間戦隊が、救援に来るまでは…)

 カリスクビー魔王軍駆逐大隊剣術指南役クヘイジは、腰を動かして致命的な挿入を逸らそうとするクリスの足掻きを、楽しそうに睥睨しながら事を進める。

 クリスの花弁に、剣術指南役の雁首が、ぶちりと突き込まれる。

 一撃で半ばまで挿入され、クリスが悶える。

 その苦悶を観賞する為に、クヘイジは動きを止めて、堪能する。

「あ〜あ、またいつもの順番か」

 もがく紫式を拘束しながら、電気ウナギ怪人インジューザは嘆く。

「ってか、お前、高性能そうだな。ひょっとして、オイラの相手も出来る?」

 電気ウナギ怪人インジューザが、紫式のタイトスカートを破り、股間を下着越しに点検する。

「お、付いているじゃん。ハニートラップ用? 入れたら拘束され返されるかな? それとも自動でメス堕ちしてくれる?」

 迷う部下に、上司が忠告する。

「ナニを切られて、今夜は出来なくなるぞ。十分で一発出すから、しばし待て」

 クヘイジが、腰を本格的に突き込み始めようとする。

 暴れるクリスの臀部を持ち直し、鞘に刀を納めるように、膣穴に肉棒を入れていく。

 蹂躙の肉棒が、クリスの抵抗を捻じ伏せて、最奥まで達する。

 完全に結合してから、クヘイジは腰を律動させ始める。

 クリスを雌に落とそうと、淫猥な腰使いで、臀部を嬲る。

(救援、遅いなあ)

 黄道クリスが、股間への不快な刺激への怒りを、未だ到着しない助っ人に向けようとした時。

 肉棒を獲物の胎内で扱く快楽を圧する怖気が、クヘイジの背筋を駆ける。

 身の危険を察知したクヘイジが、獲物から離れて臨戦態勢を取る。

 クリスを人質に取らずに、身軽に動ける事を選んだ判断が、クヘイジの寿命を延ばした。

 クリスの影から、クリスを抱擁するように、黄色い布地が大量に出現する。

 クリスは、新手の怪人が自分を横取りにしに来たのかと錯覚したが、暗黒寺満娘が影経由で搬送した、プリティスキンの戦闘服だった。

 合法ロリアイドルの全裸が、黄色と黒色のジャージ型戦闘服に守られる。


青波綾風『いきなりすみません。一回きりのお試し版ですので、露出度は最低です。技も基本技しか使えません。色気のない戦闘服ですけど、正式採用版は、マイクロビキニから逆バニーまで、幅広くリクエストに応じます』

黄道クリス「・・・・・・」


 救援が遅いので結合されてしまった不満と、露骨なスカウトと、露出度の濃淡を最優先にしていそうな発言にイラつく黄道クリスの眼前に、プリティスキンの現状が映し出される。

 怪人数十人の部隊と、ここから三百メートル付近で戦闘中だった。


 フェニックスのような戦闘服で大暴れするプリスレッドが、一度に三人のペースで怪人を削っている。

 陰陽師風バニーガール姿のプリスブラックが、大量の護符を振り撒きながら、敵の増援部隊を翻弄している。

 レオタード型戦闘服のプリスブルーが、アクセルフォーム(超高速戦闘形態)に変形(マイクロビキニ)し、敵を蹂躙しつつもブレーキをしくじって隣町まで転げていく。

 逆バニー型戦闘服を真面目に着こなすプリスグリーンが、指揮官のような幹部怪人の頭部を拳で破壊するも、最終形態に変態されると逆襲されてマウントを取られ、戦闘服を剥がれつつある。


黄道クリス「・・・・・・」


 遅れた事情を知りつつ、黄道クリスは使い切り戦闘服の具合を確認する。

 クヘイジが警戒するだけあって、性能は基本だけでも優秀だ。

 市販されていた戦闘服が、ただのジャージに思えるような逸品だ。

(これで、使い捨て用)

 プリティスキンの使っている戦闘服の高品質さに感心しつつ、遅参への怒りで相殺する。

「…まあ、助けられたのは、事実ですから」

 黄道クリス・プリスイエロー(仮)は、クヘイジに向けて間合いを詰める。

 黄道クリスの身体能力を増幅する事に特化した戦闘服は、捌ききれなかったクヘイジの斬撃を回避させつつ、掌底打ちで鎖骨を砕く成果を与えた。

「今度はクリスが、助けて差し上げます」

 クヘイジを撤退に追い込むまで、プリスイエローに変身してから四十五秒。

 電気ウナギ怪人インジューザを引き千切り、紫式を助けるまで、変身してから五十秒。

 幹部怪人に対面座位で生ハメされそうだったプリスグリーンを助けるまで、変身してから一分二十五秒。

 潰走する敵怪人たちを追撃するも、戦闘服がオーバーヒートして自壊するまで、変身してから三分。

 全裸に戻ってしまい、紫式に渡されたTシャツ&ミニスカに早着替えを終えると、プリティスキンの面々が、馴れ馴れしく寄ってきた。


緑山サンド「ありがとうございます! 危うく、生ハメされる処でした!」

黄道クリス「どういたしまして(クリスは生ハメされましたけれど)間に合って良かったです」


 内心の苛々を抑えつつ、クリスは嫌味を返さずに感謝の握手に応じる。


青波綾風「まあ、私の作った戦闘服が、こんなに縮んでダサく…自前?」

黄道クリス「さっきの服は、壊れてしまいました(天然ですね。怒らない、怒らない)」


 綾風は、クリスの胸部を凝視しながら、失礼な仮説を採用する。


青波綾風「この程度のサイズでも、戦闘服を弾き飛ばしてしまうなんて」


 我慢できずに綾風の頭にゲンコツをかまそうとするクリスを羽交締めで抑えて、紫式が返礼する。


紫式「クリスが助かったのは、貴女方が送ってくれた戦闘服のお陰です。心から礼を申します」

青波綾風「如何いたしまして。腕、治しましょうか?」

 綾風は紫式が小脇に抱えた腕に言及する。

紫式「心配無用です。付けておけば、三十分で自己修復します」

青波綾風「じゃあ、こちらの基地で、電力補充だけでも」

紫式「では、お言葉に甘えて」

 紫式がプリティスキンに付いて行こうとするので、クリスは仰天する。

 ずっと民間戦隊と距離を置いていたのに、紫式の方が、先に寄せている。

 一緒の車で移動する事に躊躇を見せるクリスに、安国寺満娘が近寄って囁く。


安国寺満娘「諸説あるが、生ハメされても、中出しされる前であれば、セーフ判定だよ」

黄道クリス「そんなセーフ判定は、受け入れられません!!」

 紫式の手を掴んで踵を返そうとしたクリスの眼前に、後片付けを他の民間戦隊に引き継いだ伊藤飛芽が、目線を合わせる。


伊藤飛芽「ん? 乗らないのか? 忘れ物?」

黄道クリス「クリスも紫も、乗りません」


 飛芽は口を挟まずに、クリスの言い分を聞いてあげる。


黄道クリス「二人で戦ってきました。二人で充分です。二人の方が、上手く戦えます」

紫式「充分では、ありません」

 紫式が、手を引くクリスの手を、離す。

紫式「こちらは、クリスを守れませんでした。クリスを守ったのは、この民間戦隊です」

黄道クリス「四人もいたのに、間に合いませんでした」

紫式「彼女たちが来なければ、クリスは今頃、望まぬ種付けをされています。それを防いだのは…」

 紫式はクリスの襟首を片手で持ち上げると、プリティスキンの専用車両に運び込む。

紫式「クリスも含めた、五人のプリティスキンです」

黄道クリス「そんなフォーマットで、まとめないでください。集団行動は、不得手です。トランプの大富豪すら吐き気がする体質なのです」

紫式「五人程度で集団とか言いますか」

黄道クリス「出ましょう」

 紫式を車内から押し出して脱出しようと足掻くクリスを、飛芽が座らせてシートベルトを締めてやる。

 その手際の良さに、クリスはクヘイジに押し倒された時よりも、敗北感を覚えてしまう。

(これが、民間戦隊の、レッド)

 慄くクリスに、飛芽はニコッと提案する。

伊藤飛芽「保護者離れ出来ないなら、吾輩は保護者同伴で構わないぞ? 不死身そうだし、民間戦隊向きだろ」

黄道クリス「…え?」

紫式「はい?」

伊藤飛芽「話は、移動してから。種付け怪人の第二波、というか第三波が来たら、吾輩も体力が保たん」


 腹が鳴ったので、飛芽は推品に私信を送る。


伊藤飛芽「お腹空いた〜! 作って待ってて〜」

神田推品『おう、バイキング形式を整えて、待っている』

伊藤飛芽「愛しております、旦那様」

神田推品『ふははは、力の限り、食い尽くせ』

 伊藤飛芽は、端末装置越しに、推品にベロ舐めをする。

緑山サンド「飯が美味いのは、思わぬ特典だね」

青波綾風「そこは大切ですよね。他は最低ですけど」

安国寺満娘「最低でも、今日も勝った。さあ、胸を張って撤収」


 全員が車に乗って発車しても、飛芽と推品の私信は続いた。


伊藤飛芽「今日は疲れたから、抱き枕コースな」

神田推品『今夜はルーティン的に、しゃぶって飲み干す夜では?』

伊藤飛芽「ごめんな〜、疲れて、しゃぶるのがめんどい」

神田推品『じゃあ、飛芽は動かなくていいよ。俺が自家発電して、飲ませるから』

伊藤飛芽「うん、それで行こう」


 後部座席で、クリスが紫式にボヤく。

黄道クリス「早まったと思っていないと言ったら、二度と紫を信用しないから」

紫式「人間は、早まった方が、可愛いですよ」

 紫式はサングラスを外して笑顔を見せたが、クリスは機械の笑顔なんぞに慰めは見出さなかった。

 適当に戦って、離脱するつもりだった。




 黄道クリス・プリスイエロー

 紫式・プリスヴァイオレット

 二名の同時加盟により、寸止め美少女戦隊プリティスキンは、合計六名に。

 人員を確保したので試験運用を終え、正式に民間戦隊として、活動を開始した。

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寸止め美少女戦隊プリティスキン 九情承太郎 @9jojotaro

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