中二病は言い訳したい!
「葉山、なんで呼び出されたかわかるか?」
葉山引子は今、進路指導室に呼び出されていた。
「……はっ! もしかして先生も世界のこの先を憂うもの……?」
「俺が心配しているのはお前の行く末だ。72日、この数字が何かわかるのか?」
「72……まさか奴らが復活したのか……! クソッ! まだなんの準備もできーー」
「お前たちが今まで学校に来た回数だ」
先生の言葉に引子はほっと息を吐いて安堵した。
「なんだ、それならそうと言ってくださいよ。それがどうかしたんですか?」
「それと同時にお前が課題を出さなかった回数でもある。お前はいつになったら課題を出すんだ?」
未だ皆勤賞である引子だが、課題提出率は驚異の0%だ。ちなみにクラスで下から二番目の人でも提出率60%を誇っている。先生の強い剣幕に怯えることもなく、引子は努めて冷静に口を開いた。
「ふっ……我が手には世界を滅ぼさんとする力がある」
「それで?」
「先生はその宿題とやらが我が力を受け止めるに足る器だと思っているんですか?」
言ってやった、とでも言うかのようなドヤ顔で無い胸を張る。
「……そうか、そうだな、確かに宿題如きじゃあお前の力を受け止めるには足りないよなぁ、そうだ、それなら葉山には追加課題を出してやろう。通常の10倍でどうだ? ……まだたりないか、20倍、いや30倍でどうだ? これだけあれば足りるだろう」
先生の言葉を聞いていくうちに、引子の顔は段々と絶望に染まっていく。
「す、すみません……ちゃんと宿題します……」
「ああ、それが賢明だな。それで……だ」
次の話に移ろうとした先生に、引子は思わずびくりとする。軽くトラウマになっていたのだろう。
「……なんですか?」
「お前、進路はどうするんだ? 理系が文系か。まあ出してるだけマシだがまともなことを書いてくれ。なんだよ理系であり文系でもあるって」
「私は……私たち学生というのは可能性の塊なんです、それを理系だの文系だので分かるなんて笑止! 愚行極まりないのですよ! 私は属しません、私はどこにも属さない。理系とか文系とかというような小さな括りではなくもっと大きなところに属してるんです!」
先生に指差し、キメ顔で語る引子。
「属してんじゃねぇか、まあそれは置いといて……要は決まってないんだな。それなら未定っていう欄があるんだからそこに○をしろ。何でわざわざ白紙のところにこんなことを書いて出したんだよ」
「先生……意志を形にするってすごく大事な事なんですよ? 仮に未定というところに○をしたとして、私の考えが先生に伝わりますか? 伝わらないでしょう! でもこうして言葉にする事で私の考えを先生に伝えることができる! だからこそ言葉にしたまでですよ……」
先程までビクビクしていた態度はどこへ行ったのだろうか、とにかくドヤ顔で先生に語る。
「すまんが言葉にされても何が言いたいのかいまいち分からなかったぞ」
「そんな……まあ所詮、先生と私じゃあ住む世界が違うので伝わらなくても仕方がないでしょう……」
「なんだ、やんのか? とにかく、未定って事でいいんだな? 後宿題の件は保護者さんに相談しておく」
その言葉を聞いた途端、引子の顔が再び絶望一色に染まる。
「そ、それだけは! それだけは辞めてくれませんか!? なんでも言うこと聞きますから! え、えっちなことでも……!」
「……残念だったな、女子高生に興味はないんだ。諦めてくれ」
「そんなぁ!?」
当然この後こってり絞られた。
厨二でぼっちな私と陽キャな貴方〜私はみんなとは違う。だから隣の席になったとしても話しかけないでください〜 肩こり @kntyswr
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