第9話 卒業アルバム
旧家解体に伴い荷物の片付けに追われていた。ひょんなことで見当たらなかった高校と大学の卒業アルバムが見つかった。うれしい。
眼前に幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の卒業アルバムを並べてみた。
「いつが1番楽しかったのかな?」
アルバムの内容と記憶と反省で考えてみた。
「やはりこれだ!」
僕は卒園式のアルバムを手にしていた。
僕はチビだった。それが凄い悩みであった。逆に言えば僕を悩まずものはそれだけであった。
「うん、友達と比べてもやはり小さい」
「でもこの時分はみんな小さいな!」
「粘土が好きで友達から作ってくれといわれたのを覚えている」
「好きな子もいたけど直ぐに好きだと言えた」
「いつから格好つけになったのだろう?」
「そうだ、アルバムで捜してみよう」
すべてのアルバムを1ページ1ページ
めくっていった。
高校のアルバムを見ている時には泣いている自分に気づいた。
「その時その時で悩みはあったんだ」
「今と変わらないのかもしれない……」
「糊代は短くなったけど……」
もう何も卒業できないけれど、そして幾つまで生きるかわからない、これからの写真はレンズをきりと見たものを残して行こうと思った。
short short(story)潰れた空き缶 嶋 徹 @t02190219
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