第8話 戦争とウンチ

 「もう、もうヤバイ」


 食品会社の工場で働いていた。


 「水分取り過ぎた?!」


 「ウンチがしたい」


 上長に報告してトイレに向かった。


 大便器は一つだけだった。


 急ぎの急ぎだったので相手を急がせるため


 ドアを激しく「引いた」。


 それでもうんともすんとも動きの気配がしない。


 昼休み、テレビで流れていた戦争中継が


 頭をよぎった。でもでた答えは遠い国の戦


 争どころではないだった。


 「僕は最大の危機を迎えている」


 違うフロアーに移る余裕はなかった。


 もう一度、ドアに向かった。


 瞬間、ドアを「押して」しまった。


 ドアは静かに開いた。中には誰もいなかっ


 た。


 「─────────────────」


 「押すの?!」


 急いで用をたした。少し漏らした。


 漏らした部分は致命的ではなかった。


 余裕が出てきたのかテレビ中継を思い出し


 「戦争はいけないことだ、うんうん」


 ウンチをしたい人ばかりだったら戦争は


 起きないと変な持論は幸い展開されること


 はなかった。




 

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