GHOST CALL③

 後半は思っていたより宗教的な注釈が少なくてラク……かと思いきや、入れたほうがいいかなとも悩む民俗学的注釈がなさそうでありそうで……。もし「これ何?」「どういう意味で入れた?」というものがあれば、遠慮なくコメント欄に入れていただければそちらで。

 なお、ディーンやスミス巡査が口にしている「レンタカーが借りられない」とか「犬の飼育違反」の話は本当です。



 12-5

「悪い子じゃなくても人間を食べるやつウェンディゴがいるよって話を」

 →ウェンディゴはカナダ南部からアメリカ北端のネイティブ・アメリカンに伝わる精霊の呼び名。

 また、精神疾患のひとつとして「ウェンディゴ症候群」がある。発症するとウェンディゴにとり憑かれたという思いが頭を占めるようになり、「このままではウェンディゴに変化してしまう」という強い恐怖と不安感と共に、次第に周りの人が食べ物に見えるようになり、猛烈に人肉が食べたくなるという。主な原因としては冬季のビタミン不足が考えられている。



 13-1

「南部連合」

 →アメリカ南北戦争の際、合衆国を脱退した南部11州(サウス・カロライナ、ジョージア、フロリダ、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、ヴァージニア、ノース・カロライナ、テネシー、アーカンソー)が結成した政治連合。戦争の終結により1865年に解体される。

 ヴードゥー教はハイチの民間信仰で、もとは奴隷として連れてこられたアフリカ人の土着信仰とキリスト教・カトリックが融合する形でつくられた。アメリカ南部でも信仰されていることから、それを知っているクリスがからかっている。


〔参考文献〕

『ヴードゥー教の世界』立野淳也

『ヴードゥーの神々』ゾラ・ニール・ハーストン


 13-4

「シュガー・ダディ」

 →sugar daddy. 若い女性に甘い中年男パトロン


「女神エルズーリー」

 →愛・女性美・富・多産などを司るヴードゥーの女神。聖母マリアと同一視される。大変嫉妬深く、彼女に選ばれた男性は、人間の、生身の女に触れることを許されない。

 なお、ここでクリスは自分のことを「キリストの花嫁」と言っているが、これは本当は「教会」を指します。



 14-9

「信じるために理解するのではなく、理解するために信じるのですから」

 →聖アンセルムスが1078年に執筆した『プロスロギオン』より。

「私は、信じるために理解することを求めるのではなく、理解するために信じます。というのも、〈信じないならば、私は理解しないだろう〉(イザヤ書第7章9節)ということも、私は信じているからです」



 16-1

「婦その乳兒をわすれて己がはらの子を」

 →旧約聖書『イザヤ書』第49章14-15節

「女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか、母親が自分の産んだ子を憐れまないであろうか」の文語訳。



 17-2

「いつまでも残るのは、信仰と、希望と、愛だっていうだろ」

 →『コリント人への第一の手紙』第13章13節

「このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。」



 17-3

「君はミズーリ州出身なのか?」

 →ミズーリ州の愛称は「Show Me State」。証拠を目の前に見せなければ信用しないという“県民性”から。

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