蜂蜜の花嫁あるいは冥府の女王
1-1
「金曜はウチ魚なの」
→そういう宗教的な習慣が本当にある。マクドナルドのフィレオフィッシュもそういった目的(あるいは肉が食べられない人向け)で提供されていると聞いたことあり。
だからといって、作中で魚を食べている=金曜日、なわけではない。
「誰かから騙し取ったんなら四倍にして返せ」
→『ルカによる福音書』第19章8節
「また、誰かから何か騙し取っていたら、それを四倍にして返します。」
「聖人の家に奉公する女中」
→A saint’s maid quotes Latin.
(聖者の家に奉公する女中はラテン語を引用する)
“門前の小僧習わぬ経を読む”。
2-1
「フィリピの信徒への手紙第四章六節」
→「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。」
3-1
「目を覚まして、祈っていなさい」
→『マタイによる福音書』第26章41節
「誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」
3-2
「もう一方の主人に仕えようと」
→『マタイによる福音書』第6章24節
「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」
神と富の二人の主人なので、オカルトだからといっていきなり「悪魔に乗り換える」わけではない。そう聞こえたかもしれませんが(笑)。
3-3
「チュパカブラがなんなのかわからないって」
→ググってください(笑)。
「誘惑を捨て去る方法は…」
→イギリスの作家オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』より。
3-4
「床からは落下しようがない」
→「失敗する可能性のあるものは、失敗する」で知られる〈マーフィーの法則〉の、「ポールの法則:床から落下することはできない。」
それ以上落っこちよう(堕落しよう)がない、の意。
3-5
「テンプル騎士団の悪徳ってなんのことか」
→ググってください(笑)。
4-1
「A knight in shining armor」
→“輝く甲冑の騎士”=ヒーロー。
「昔は一緒の教室にもいられなかった」
→ナチスドイツのユダヤ人迫害を指す。
こんなこと言ったら絶対教師に怒られる。
4-3
「プルトン信仰と葬礼に」
→プルトンはギリシャ神話の冥界の神ハデスの別名。プルトンの方が「富と豊穣の神」の意味で使われるので、「スルメ」を「あたりめ」と言い換えるような感じで(違うか)こっちを使っている、と思ってください。
5-2
「プリンス・チャーミング」
→ディズニー映画〈白雪姫〉に出てくる王子の名前。
6-1
「Wheels within wheels」
→“複雑な事情”
「あんたにそう言われると、なんだか変な感じ」
→文字どおり、神父が「神の祝福を」と言っているので。
「あなたはエリス地方に」
→ギリシャで唯一ハデス神殿が祀られていた地方。
6-2
「私は放蕩息子だった」
→『ルカによる福音書』第15章の、一度家を出た放蕩息子が悔い改めて帰ってきて、温かく迎えられるたとえ話。
クリスは聖書的(信仰的)な意味で言っているが、ディーンは言葉通りに解釈して、昔クリスが遊び歩いていたと思っている。
7-1
「歌手じゃないほうね」
→ホラー映画〈エルム街の悪夢〉に出てくるキャラクター。
「ヒュー・ジャックマンが」
→〈X-MEN〉のウルヴァリンのこと(笑)。
「お前の中では彼のイメージはそれなのかい?」って言われてそう。あくまでイメージですから。
「フェアリー・ゴッドマザー」
→〈シンデレラ〉に出てくる、シンデレラに魔法をかけてくれる妖精。
7-2
「ゴヤみたいなの」
→スペインの画家ゴヤは結構魔女の絵を描いている(「ロス・カプリチョス」)。間抜けなのが多いけど、ちょっと不気味。
「大ぶりのブラッドストーンの指輪」
→仮装しているわけではなく、「ブラッドストーンに刻まれたコウモリは身につける人に悪魔を支配する力を与え呪文を唱えるのを助ける」ことから、本気で魔法をかけようとしている。
7-4
「ナオミ」
→聖書に出てくる名。日本語でも“なおみ”。
8-2
「イースターは毎年移動するから」
→いつがイースターに当たるかというと、「春分の次の満月に続く日曜日。もし春分の日が満月に当たった場合は、次の満月に続く日曜日」。読んでも書いてもよくわからない。イースター行事を描こうとすると、場合によっては、作中の設定は何年だ!って特定しないとならないことに気づいて、やめた。本当にめんどくさい。
「かに座だね」
→欧米人は自分の血液型は知らないが、星座は知っている人が多いということから、欧米系の登場人物(民間人)の場合はキャラ設定として星座まで(笑)。
9-1
「Bella-Donna」
→イタリア語で“
「俺の目は緑じゃない」
→シェイクスピア『オセロー』の、“嫉妬は緑の目をした怪物”より。
「フン族のアッチラみたいな」
→「アッティラ」とも(406?-453?年)。東ローマ帝国を荒らし回ったフン族の王。キリスト教徒に恐れられた。
9-5
「昔みたいにゲットーをつくって、そのあと全員をどこかに」
→ナチスドイツのユダヤ人迫害を指す。ゲットーから強制収容所への移送。
「この種の件についてはカトリック教会は」
→強制収容所で収容者の身代わりを申し出て殺されたコルベ神父のような聖人もいれば、ユダヤ人迫害を黙認し、ナチスの戦犯が南米へ逃亡するのを助けたとされる疑惑も持つことから。
11-1
「〈The Wheel of Fortune〉」
→タロットカード〈運命の輪〉。“因果応報”。
「ラビが尻込みしたときから」
→ラビはユダヤ教の聖職者。「律法」はユダヤ教の規範で、旧約聖書のモーセ五書(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)を指す。
「主よ、私の言葉に耳を傾け…」
→『詩篇』第5篇
12-1
「狼憑き」
→このときの発音はギリシャ語(lykánthropos)。
「いわばキルケーと」
→キルケーはホメロスの『オデュッセイア』に出てくる魔女。
12-2
「着信画面に表示されたやつの登録名について」
→登場人物紹介でも書いていますが、〈Old Nick〉とは“悪魔”の別称。なので彼の名前はDominic(愛称Nick)以外考えられない(笑)。Dominicのもともとの意味は「主の」。
ちなみにニコラス・シルヴェストル教諭も、呼ぼうと思えばNickと呼べる。
「哲学は醜悪で曖昧、」
→ゲーテ『ファウスト博士』より。
「デルフォイよろしく」
→デルフォイはギリシャ神話の太陽神アポロンの神託で有名だった地。
13-1
「夜の子供だから」
→ブラム・ストーカー『ドラキュラ』より、狼のこと。
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