語り手はとんがり帽子がトレードマークの小人・ノーム。
よく英国風のお庭でとんがり帽子の小人の置物を見かけることがあるのではないでしょうか。そう、この物語の主人公は、あのファンタジー世界の生物のノームです。
登場するキャラクターもファンタジーな生き物が満載で、世界観もSFチックで私たちの世界とはどこか異なった雰囲気。
けれど、エッセイで取り上げるのは、私たちの暮らしでもよく目にする馴染みのある話題だったりします。
たとえば同僚が悪口を始めてしまったら聞き手の自分はどんな反応をしたらいいんだろうとか、なんとなく車の調子がおかしい気がする…と思っても周りには「気のせいでしょ?」とあしらわれる…とか。
そういった些細な、けれどどこかで誰かがきっと感じているような事柄。それらをこのエッセイではノームの目線を通し、言葉遊びも交えて面白おかしく切り取っています。
白黒の挿絵が挟まった、海外の児童書のような雰囲気満載の、不可思議な生き物たちが織り成す一風変わったSFファンタジー風エッセイ。
1話が短くサクッと読めて、しっかり世界にひたれるおすすめの1作です。
身長15センチ、とんがり帽子のノーム。
世間からは放漫かバカにされるか、どちらかだったが、主人公は過去にも行けてガイアにとけこめば何でもわかる才能を持っている。
登場人物のキャラクターは愉快な面々。
ボスのグレムリンはコミカルに描かれていて、毛嫌いする者もいるなか、個人的にはとても面白く描かれていると思いました。
作者様の作品は、不思議で幻想的で美しい作品が多い中、その世界観の良さを残しつつ、コミカルな部分も取り入れてあり楽しめます。
――つまらない万能薬にも居場所はある。
ノームという小さな存在が、大きな世界を変えていく。
この世界から情報が疎まれたり、処理されずに忘れ去られるより、きっと穏やかな世界となるでしょう。
未来への可能性を秘めた、精霊、小人も登場する異世界ファンタジーです。