陳勝、吳廣、両尉を斬る

史記しき』の陳涉ちんしょう世家せいか伝記でんきにはここをこういています。


 陳勝ちんしょう吳廣ごこう相談そうだんをしました(くわしいぶんが『史記しき』にはっています)。そしてぼく(占い)をおこないました。


 うらなものはその指意しい下心したごころ)をっており、もうしました。


足下そっか(あなた)のことはみなり、こうがあるでしょう。ですので足下そっか(あなた)は、このことを精霊せいれい)にいのりなさい」


  陳勝ちんしょう 、吳廣ごこうよろこんで、精霊せいれい)をねんじました。そしてもうしました。


「これはわれにまずしゅうおどすことをおしえたのだ。」


 そしてはくぬの)に丹書たんしょ丹色にいろ、赤くく)していいました。


「 陳勝ちんしょう、 おうたり」


 ひと(あるひと)の漁網ぎょもうにかかったさかなはらなかきました。そつ兵士へいし)がさかなって)てべました。さかなはらなかしょをえて、そこでこのことをあやしみました。


 またれい上司じょうし)のすきをみて、吳廣ごこうやどる(宿やどる)ところのかたわらの叢祠そうしそうのことで、かみほこらだという)のなかで、よる篝火こうかかご、とあるが、かがりであろうか)があり、きつねいてぶようにいうには、「『大楚たいそこる、 陳勝ちんしょう おうたり」とのことでした。


 そつらはみなよるおどろおそれました。


 旦日たんじつつぎか)、ひるになって、そつ兵士へいし)らのなか往々おうおう道々みちみち?)にしてかたるものがありました。みな陳勝ちんしょうゆびさしくばせしました 。


 吳廣ごこうはもとよりひとあいし(可愛かわいがり)ましたので、士卒しそつようをなすもの(ためにはたらくもの)はおおくおりました。


 將尉しょういおおきなけんとんひきいるが二人いたという)がっていたところに、吳廣ごこうはわざと何回かにげたいといました。忿恚ふんいおこらすこと)させ、吳廣ごこうはずかしめさせて、そしてそのしゅう激怒げきどさせるためでした。


 ははたして吳廣ごこうむちうちました。けんいたので、吳廣ごこうはたち、(けんを)うばってころしました。 陳勝ちんしょうはこれをたすけ、二人ふたり両尉りょういころしました。


 將尉しょうい引率いんそつ官吏かんり)をころしてから、徒屬とぞく仲間なかま)をまねきれい命令めいれい)してもうしました。


こうはみな、(目的地もくてきち到達とうたつする)期限きげん)をうしなえば(まもれなければ)まさにられねばならない。もしられなかったとしても、北方ほっぽうまもってぬものはもとより十にんに六、七にんであるだろう。かつ、壯士そうし勇壮ゆうそう人間にんげん)としては(この局面きょくめんたって)ななければそのままで、覚悟かくごしてことにのぞめばおおいなるげることになる!


 おうこうしょうそうと、(みなと)それぞれしゅべつちがい)があるものだろうか!(我々にもそれらになる機会がある)」


 しゅうはみなこれにしたがいました。


 そこでしん公子こうし扶蘇ふそと、もとしょうであった項燕こうえん詐称さしょうしました、百姓ひゃくせい民衆みんしゅう)は扶蘇ふそけんとしひと項燕こうえんをあわれんでいたからです。だんつくってちかい、「大楚たいそ」としょうしました。陳勝ちんしょうはみずからって將軍しょうぐんとなり、吳廣ごこう都尉といとしました。まず大澤だいたくごうめ、これをきました。大澤だいたくごうへいおさめて沛郡はいぐんのあたりという)をめ、くだしました。そして符離ふりひと葛嬰かつえいへいひきいて以東いとうめさせました。


 ちつさんしゃしょうまちめ、すべてそれらをくだしました。くごとに(敗残はいざんへいおさめ(吸収きゅうしゅうし)ました。ちんにいたるころおいには、くるまは六七百じょうが千そつは数まんにんかぞえるようになりました。ちんめましたが、ちんしゅかんはみな不在ふざいで、ただ守丞しゅじょうしゅ配下はいかじょうというかん)と譙門しょうもんというもんなかたたかいました。が、なかなかてませんでした。守丞しゅじょうんで(はじめて)、陳勝ちんしょうはそこで(ちんに)はいってちんりました(ちなみにちんはかつてのくにの中心地だったはずです)。


 ここにしんに対する反乱はんらんはじまります。これはその一つだったのでしょうか。これからていきましょう。

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