秦の『金人』の鋳造と『馳道』の建設

 しんはまた反乱はんらんができにくいような政策せいさくもうちます。『資治通鑑しじつがん』は述べます。


 天下てんかへい(武器)をおさめて咸陽かんようにあつめ、けずって、そしてそれらをしょうきょかねるいか)としました。金人きんじんを十二、重さそれぞれ千石せんごくあるものを、宮庭きゅうていなかきました。


 当時とうじ金属きんぞくどうしゅだったようですが、それらをあつめ、武器をげてしまったわけです。大量たいりょうの武器があつめられたのでしょう。


 この金人きんじんについては、『史記しき』のちゅうに「翁仲おうちゅう」というがこの金人きんじんどう人形にんぎょう)につけらていて、『三輔さんほ旧事きゅうじ』(三輔さんほという土地とち故事こじあつめた本)というしょには、「銅人どうじんは十二あった、それぞれおもさが三十四萬斤まんきんあった。かんだいには長楽宮ちょうらくきゅうもんまえにあった」とし、かんだいつうじてのこっていたことをしるしています。


 三国さんごく時代じだい董卓とうたくがその十をこわしてせん(銅貨)をつくりましたが、のちの時代もあまりの二体にたいはなおあったとのことです。五胡ごこ十六国じゅうろくこく時代に石季龍せききりゅうがこれをぎょうの都市にうつし、苻堅ふけんがまた長安ちょうあんみやこうつして最後はけずってしまった、とのことです。


 時代じだいえてびた金人きんじんということでロマンがあります。 


 さてしんは、こうこくじょうしゃく(それぞれもの計量けいりょうする単位たんい)を一つのほうとし(統一とういつしたのでしょう)、さだめました。


 天下てんか豪桀ごうけつ豪富ごうふ豪商人ごうしょうにんか)を咸陽かんように十二萬戸まんこうつしました。


 これはぜいや、労役ろうえき便利べんりにするためでしょうか。大量たいりょう移民いみんです。そしてみやこ建設けんせつすすめられました。


 諸廟しょびょう先祖せんぞびょう)と章台しょうだいろうという、宮殿)、上林じょうりん庭園ていえんの名)はみな渭水いすいみなみにありました。


 諸侯しょこう(六国のおう)をやぶるごとに、宮室きゅうしつうつしならい、咸陽かんよう北阪ほくはんさか)のうえに(せたものをでしょう、を)つくりました。


 (それらの宮殿は)みなみ渭水いすいにのぞみ、雍門ようもん以東いとうからけいかわ)にいたるまで、殿屋でんおく複道ふくどう周閣しゅうかく(それぞれ建築物けんちくぶつ)がそれぞれつづき、えたところの諸侯しょこう美人びじん寵姫ちょうき)、鐘鼓しょうこをそれらにあててれました。


 このあたり、離宮りきゅう別館べっかんの表現としていただければわかかりやすいかもしれません。壮大そうだい風景ふうけい施設しせつです。



 さて秦王しんおうせい始皇帝しこうていの時代、二十七年(B.C.二二〇)になりました。


 始皇帝しこうてい隴西りょうせい北地ほくちめぐり、雞頭山けいとうざんにいたり、回中かいちゅうをすぎました。


 長信宮ちょうしんきゅう宮殿きゅうでんか?)を渭水いすいみなみつくり、それができれば、をあらためて極廟きょくびょういました。


 極廟きょくびょうよりみち驪山りざんやま始皇帝しこうていはかがのちにつくられた)につうじ、甘泉かんせん前殿ぜんでんを作り、甬道ようどう(トンネルのような道)をきずきて咸陽かんようよりここにつなげました。馳道ちどう整備せいびされたみち)を天下てんかつくりました。 


 甬道ようどうについては、「そとかききずき、天子てんしなかく、そとの人をして(天子てんしを)えないようにさせた」と、ちゅうにあります。


 馳道ちどうについては、「馳道ちどう天下てんかにつくり、ひがしえんせいをきわめ、みなみをきわむ。江湖こうこのほとり、瀕海ひんかい海辺うみべ)のかんかんという楼、建造物けんぞうぶつ)にことごとくいたる。みちひろさは五十で、三じょうするとをうえた、あつくそのそときずき、かくすに金椎きんつい(通常はかねつちですがここでは詳細はわからぬようです)をもってし、うええるのに青松あおまつをもってした」と、これもちゅうにあります。


 このような皇帝こうていみちを、始皇帝しこうていたびしてまわったわけです。


 さて、二十八年(B.C.二一九)になりました。


 始皇帝しこうていひがしぐんけんにゆき、鄒嶧山すうえきざんにのぼり、いしてて功業こうぎょうしょうしました。ここにおいて儒生じゅせい七十人をあつめ、泰山たいざんのもとにいたり、封禪ほうぜんのことを議論ぎろんさせました。


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