エピローグ

目が覚めるとそこは知った天井だった。

目をこらし、部屋の中を寝たまま見てみると薄暗く、まだ明け方だということに気が付いた。

目が覚めてしまった僕は身体を起こし、ベッドから出る。

ふと僕は自分の腹をさする。

あれから二週間たったのだと思うと不思議な感覚に捕らわれた。

僕は思い返す。

さんざんなことは合ったが特に変なことが起こる様子もない。

それだけ平和に暮らせているということだ。

僕は自分の中で納得し部屋をでてリビングへ向かい朝食を作り始めた。

『父』の願いによりアヤメは自分が通う高校に通うことになった。

元々、黒百合、大宮、天来御三家を強請っていたから彼女が通う場所はどこでもよかったのかもしれない。

けれど僕自身にアヤメを近づけせる為には、身近なところ良いだろうということで黒百合の監視下でもあり、僕が通う場所の方がいいというアヤメの願いもこめて同じ高校に通うことに決めた。

クラスはどうやら別らしいが僕としてはそのほうがある程度、彼女の為にもなると思う。

そんな事を思いながら、僕が朝食の準備を終えようとしたとき後ろから声をかけられる。

「おはよう」

僕は振り向き、制服姿のアヤメがいた。

「おはよう」

「やっぱり変な感じだ」

「何が?」

アヤメは身体をむずがゆそうにしたり、もじもじと動かす。

「いや、私はこういうスカートとか履くのは久しぶりだし、こういうヒラヒラした服を斬るのが得意じゃないし、その・・・・・・、なんというかしっくりこない」

彼女は少し心配なのだろうか、上目遣いで困った小さい子供のような目をする。

「別にそんなことないと思うよ。 君に似合っているし、そのうち、慣れるんじゃないかな?」

僕はお世辞ではなく本心からそう言った。

「そ、そうか。 ミナトが言うなら……」

少しだけアヤメは頬を朱色に染めながら嬉しそうに自分の身体を一瞥した。

「緊張もあるけど、今日が登校初日だからね」

「ああ。でもミナトと行けるなら不安は薄くなる」

そう言ってアヤメは笑う。

「そう思ってもらえるならよかったよ」

僕も彼女の顔を見つめ、笑う。

「さぁ、朝ご飯にしようか」

この何もないこの日々がやはり僕には一番、大事だと思った。

人は人生を変えようとか言う人もいる。

でも今回を通して僕にとってはアヤメがいる新しい日常が変化かもしれないけれどやはりいつもの日常が僕にとっては愛すべき物であると思った。

それは僕だけの秘密だ。

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Re:アウェイキング How_to_✕✕✕ @maaand55

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