第4話 異世界で 面接始めました ②
「なるほど、なんとなくですがこの世界のことは理解しました。色々と教えてくださってありがとうございますリーズネットさん」
貸田は椅子に腰かけながら頭を下げる。
「はぁ…」
リーズネットは困惑に満ちた表情で返事をした。
リーズネットは貸田と出会って仕事に関しての面接をすると思っていた。
しかし予想とは全く違い貸田が一方的にこの世界についての質問を投げかけたり、貸田がこの世界に店ごと飛ばされた経緯を説明する場となっていた。
かれこれ面接が始まり2時間経過した。
「あ、あの。貸田さん」
「なんでしょうか?」
「お、お手洗いに…面接中だったので…」
「あぁ!すみません!場所わからないですよね、すぐご案内します!」
貸田は事務所から売場に続く通路の途中にあるトイレまで案内してまた事務所に戻った。
「それにしてもココは本当に日本じゃなさそうだな。ヴィンガルドか…リーズネットさんが嘘をついているようには思えないし」
リーズネットから聞かされたこの世界の名前だ。
俺がいる場所はヴィンガルドという大陸の中にある4つの国が交わる国境近くらしい。
そんなところに店が転移したって危険すぎないか?と思ったがリーズネットによるとココは4つの国の国境が重なる地点で線引きが曖昧なためこの辺りに検問所などは設置されていないようだ。
これは余計な争いごとをを避けるためだともリーズネットは言っていた。
「で、俺とこの店は4つある国のうち1番自然豊かな国テイルグロース側に転移したと」
テイルグロースは自然と共存し自然からの豊かな恵みで発展してきた国だという。
それゆえ主な産業は農作物や狩猟で得た動物の肉や革を加工して売ったりすることだそうだ。
生活している人種は主にエルフ、ダークエルフ、ドリアード、獣人族と様々でそれぞれ暮らしぶりは違うが争うことはなく街や集落で平和に共存している。
ちなみにリーズネットの履歴書のようなものには人種:エルフと書かれていた。
一応こっちの世界の言葉は分かるようだ、自動翻訳されてるのか?
「それにしてもだ。自然を愛するこの国に俺とレンタルビデオショップが転移って場違いなんじゃないか?どうやって生活していけばいいのやら…」
全く見知らぬ土地で生きていくことは容易ではない。
違う文化、違う世界でどうにか生きていく。
そう思うと一気に不安が押し寄せてきた。
「号に入っては郷に従えで店を手放してこの世界で生きていくか?いや、俺はこのバイトしか経験が無いし…考えれば考えるほどどうすればいいのか分からない。クソっ」
今になってしっかり就職しとけばよかったと思った。
まぁ仮に就職していたとしてもこの状況は打開できないだろうが。
終わりのない思考を巡らせていたその時だった。
ーープルルルル
店の固定電話が鳴った。
─────────────────────
4話目です。
文章が長くなりすぎたような気がします。
次回以降もう少しコンパクトにまとめておきたい所存です。
異世界レンタルビデオショップ始めました。 をづま ユー @woduma_yuu
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