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2023年6月29日 16:26
遅くなりましたが感想です。今回は自分の推しであるエルシオの回想のクライマックスだけあって、感想に物凄く悩みました。めちゃくちゃ面白いし、読み終わるまでワクワクしまくっていました。全体を通してエルシオやエヴァンの心情が丁寧に描かれていて、心理描写が冴え渡っていたと思います。すごく好きです。ヘルエンジェルの話の中では、五本の指に入るくらい好きな回になりました。冒頭のバーレイグの描写、寂れていながら復興しつつある街の風景描写とエルシオの心理描写がとても繊細に描かれていて、描写によい相乗効果が生まれていたなあと感じます。まだ撤去されずに残っている残骸は、崩れ去ったリーゼンバーグの栄光の暗喩のように感じられ、静かで寂れた街の様子はリーゼンバーグを失ったがゆえの寂寥なのだと思いました。その変わり果てつつ面影を残した街を見つめるエルシオの揺れる心情……。美しい表現でした。どうしようもなく浮かんでくる思い出を必死に押し殺そうとしながらも押し殺せない。その心情を表すために使われている比喩が見事でした。非常に想像しやすかったです。パスタで喜ぶエヴァンが非常に可愛かったですが、そこまで落ちぶれてしまったんだなと思うとなんともいえない悲しさがあります。せめて、パスタを食べて欲しかった……。きっちり三発で敵を仕留めているエルシオはさすがですね。ガンマにぶっ潰された治安局が出てきたのは地味に嬉しかったです。このあと、治安局との間に因縁を抱えることになると思うと、ちょっと感慨深いものがあります。エヴァンのために治安局を潰すことを消極的に協力していたエルシオでしたが、ここから始まったんだなあと。治安局に追われるエルシオたちの悲しい逃避行、クライマックスに近づいていくことを感じさせられる不吉さがあります。基地への攻撃も見事でした。きっちり対策をしてきた敵を上回る動きで翻弄する二人を見ていると、普通に軍人になっていたらどれだけの将兵となったんだろうかと思わずにはいられません。きっと共和国はこの二人からかなりの損害を被ることになっていたんじゃなかろうか。そう思うと、非常に大きな損失ですよね。そして、ライの登場シーン。まるで最初からそこに居たかのように音もなく現れた暗殺人形に、寒気を覚えるほどの戦慄を感じました。なんて美しい。嘆息するほどに描写がキレイで素晴らしいです。これ、以前のライの登場シーンと重ねているんですよね。そういう工夫、すごく好きです。暗殺人形にたった二人で遭遇するって、笑ってしまうくらい絶望的な状況なんですが、立ち向かおうとしたエヴァンが本当にカッコいいなと思います。敵わないと分かっていて立ち向かおうとする。ともすれば感情に流されて冷静さをかいたとも言えるかもしれませんが、反逆とは敵わないものに立ち向かう蛮勇の証だとも思うので、反乱軍を率いるエヴァンの器の大きさをここに感じました。立ち向かえなかったエルシオと立ち向かおうとしたエヴァン。小さな違いかもしれませんが、決定的な違いがあるようにも思えます。そして捕まって牢屋に囚われてからのシーン。すべてが冷たくて狂気じみていて、末恐ろしいです。まずライとの会話。本当に何もない人形で、エヴァンやエルシオが感じた虚無も理解できます。こんなにも何も返ってこない、叩いても音もしない相手と話していたら、ロボットと会話するような錯覚を覚えるのも無理ないことだと思います。エルシオは、どうライへの感情を割り切ったのだろうかとずっと疑問に思っていたので、そのきっかけがここで描写されたことは嬉しいです。武器を使う人間こそ真の復讐相手だと二人が悟った瞬間に、登場したアリア様……怖すぎて震えました。ただそこに居るだけで、二人の心情の変化を封じ込めるがごとく絶対的な力の差を示し、心を折りに来るんですから……悪魔そのものですね。この畏怖をどう表現すればいいか……私の語彙力ではちょっと難しいです。そして、唐突に提案してきたゲーム……ドSすぎて笑いました。いったい何を考えているのかわからなさすぎて、怖い。しかも提示した条件がどう考えてもエルシオしか生かす気ないのがヤバイですよね。そんな恐怖の権化みたいな存在に啖呵を切って新たな条件を提示したエルシオがすごく格好よかったです。エルシオを信じきってすべてを委ねたエヴァンも美しかった。なんというか、歴史の教科書に逸話として刻まれそうな伝説的なエピソードだなと(ウィリアム・テルの逸話がモデルになったと読了ってから聞いて、それを知らなかった自分が少し恥ずかしくなりました)。見事やりおおせたエルシオ……才能が開花した瞬間ですね。魔弾の射手が、生まれた瞬間に立ち会えてよかったです!他にも色々語りたいことはありますが、さすがに長過ぎるのでこの辺りにします。次話も楽しみにしてますね!
作者からの返信
感想ありがとうございます!最長記録を更新されたのではないかと思いますね笑まずはこうしてエルシオとエヴァンの過去の物語を最後まで書き切ることができたことにとても満足と感謝をしています。長く温めてきた物語だったので、書き切れて嬉しいです。そして、応援してくださる方がいなかったらここまで楽しんで書けなかったと思うので。エルシオとエヴァンは兄弟ですが、性格も性質も違っていて、でもお互いに対する絶対の信頼を持っています。誰もが嘘や偽りの仮面を被って生きていて、最後の所で信用していないことが多いヘルの世界で、二人のように揺らがない信頼を持つことの意味は大きいと思います。そんな二人の持つ違いや立場がこれからの二人にどう影響を及ぼしていくのか、ぜひ注目していただければと思います。最後に、素敵な感想をありがとうございます。何度も読み返させていただきました。大切にします。次回も楽しんでいただけるよう一層努力して参りますので、よろしくお願いいたします!
遅くなりましたが感想です。
今回は自分の推しであるエルシオの回想のクライマックスだけあって、感想に物凄く悩みました。めちゃくちゃ面白いし、読み終わるまでワクワクしまくっていました。全体を通してエルシオやエヴァンの心情が丁寧に描かれていて、心理描写が冴え渡っていたと思います。すごく好きです。ヘルエンジェルの話の中では、五本の指に入るくらい好きな回になりました。
冒頭のバーレイグの描写、寂れていながら復興しつつある街の風景描写とエルシオの心理描写がとても繊細に描かれていて、描写によい相乗効果が生まれていたなあと感じます。まだ撤去されずに残っている残骸は、崩れ去ったリーゼンバーグの栄光の暗喩のように感じられ、静かで寂れた街の様子はリーゼンバーグを失ったがゆえの寂寥なのだと思いました。その変わり果てつつ面影を残した街を見つめるエルシオの揺れる心情……。美しい表現でした。どうしようもなく浮かんでくる思い出を必死に押し殺そうとしながらも押し殺せない。その心情を表すために使われている比喩が見事でした。非常に想像しやすかったです。
パスタで喜ぶエヴァンが非常に可愛かったですが、そこまで落ちぶれてしまったんだなと思うとなんともいえない悲しさがあります。せめて、パスタを食べて欲しかった……。きっちり三発で敵を仕留めているエルシオはさすがですね。
ガンマにぶっ潰された治安局が出てきたのは地味に嬉しかったです。このあと、治安局との間に因縁を抱えることになると思うと、ちょっと感慨深いものがあります。エヴァンのために治安局を潰すことを消極的に協力していたエルシオでしたが、ここから始まったんだなあと。
治安局に追われるエルシオたちの悲しい逃避行、クライマックスに近づいていくことを感じさせられる不吉さがあります。
基地への攻撃も見事でした。きっちり対策をしてきた敵を上回る動きで翻弄する二人を見ていると、普通に軍人になっていたらどれだけの将兵となったんだろうかと思わずにはいられません。きっと共和国はこの二人からかなりの損害を被ることになっていたんじゃなかろうか。そう思うと、非常に大きな損失ですよね。
そして、ライの登場シーン。まるで最初からそこに居たかのように音もなく現れた暗殺人形に、寒気を覚えるほどの戦慄を感じました。なんて美しい。嘆息するほどに描写がキレイで素晴らしいです。これ、以前のライの登場シーンと重ねているんですよね。そういう工夫、すごく好きです。暗殺人形にたった二人で遭遇するって、笑ってしまうくらい絶望的な状況なんですが、立ち向かおうとしたエヴァンが本当にカッコいいなと思います。敵わないと分かっていて立ち向かおうとする。ともすれば感情に流されて冷静さをかいたとも言えるかもしれませんが、反逆とは敵わないものに立ち向かう蛮勇の証だとも思うので、反乱軍を率いるエヴァンの器の大きさをここに感じました。立ち向かえなかったエルシオと立ち向かおうとしたエヴァン。小さな違いかもしれませんが、決定的な違いがあるようにも思えます。
そして捕まって牢屋に囚われてからのシーン。すべてが冷たくて狂気じみていて、末恐ろしいです。まずライとの会話。本当に何もない人形で、エヴァンやエルシオが感じた虚無も理解できます。こんなにも何も返ってこない、叩いても音もしない相手と話していたら、ロボットと会話するような錯覚を覚えるのも無理ないことだと思います。エルシオは、どうライへの感情を割り切ったのだろうかとずっと疑問に思っていたので、そのきっかけがここで描写されたことは嬉しいです。
武器を使う人間こそ真の復讐相手だと二人が悟った瞬間に、登場したアリア様……怖すぎて震えました。ただそこに居るだけで、二人の心情の変化を封じ込めるがごとく絶対的な力の差を示し、心を折りに来るんですから……悪魔そのものですね。この畏怖をどう表現すればいいか……私の語彙力ではちょっと難しいです。
そして、唐突に提案してきたゲーム……ドSすぎて笑いました。いったい何を考えているのかわからなさすぎて、怖い。しかも提示した条件がどう考えてもエルシオしか生かす気ないのがヤバイですよね。そんな恐怖の権化みたいな存在に啖呵を切って新たな条件を提示したエルシオがすごく格好よかったです。エルシオを信じきってすべてを委ねたエヴァンも美しかった。なんというか、歴史の教科書に逸話として刻まれそうな伝説的なエピソードだなと(ウィリアム・テルの逸話がモデルになったと読了ってから聞いて、それを知らなかった自分が少し恥ずかしくなりました)。見事やりおおせたエルシオ……才能が開花した瞬間ですね。魔弾の射手が、生まれた瞬間に立ち会えてよかったです!
他にも色々語りたいことはありますが、さすがに長過ぎるのでこの辺りにします。
次話も楽しみにしてますね!
作者からの返信
感想ありがとうございます!最長記録を更新されたのではないかと思いますね笑
まずはこうしてエルシオとエヴァンの過去の物語を最後まで書き切ることができたことにとても満足と感謝をしています。長く温めてきた物語だったので、書き切れて嬉しいです。そして、応援してくださる方がいなかったらここまで楽しんで書けなかったと思うので。
エルシオとエヴァンは兄弟ですが、性格も性質も違っていて、でもお互いに対する絶対の信頼を持っています。誰もが嘘や偽りの仮面を被って生きていて、最後の所で信用していないことが多いヘルの世界で、二人のように揺らがない信頼を持つことの意味は大きいと思います。そんな二人の持つ違いや立場がこれからの二人にどう影響を及ぼしていくのか、ぜひ注目していただければと思います。
最後に、素敵な感想をありがとうございます。何度も読み返させていただきました。大切にします。次回も楽しんでいただけるよう一層努力して参りますので、よろしくお願いいたします!