序文からの背景描写から心地よい。
小説は文字と言葉による物語。人物がいきなり喋り始めるよりも前に、そこがどんな場所で、どんな景色があるのか書いて頂けているので、人物の居る風景を思い浮かべつつ、人物を想像します。
加えて小鳥、黒助の人物の背景を描く。この三人称による手法は、映像や漫画ではできない小説ならではの手法。人物のことがより分かりやすく感情移入がしやすくなりました。
また人物の細かい所作や心理描写なども丁寧で、小説だからこそ味わえる情緒。序文であった雛鳥と少年少女を重ね合わせた文末の文章を読み、そして読み終えての余韻が素敵です。