ぶんげい!~文学少女達が今日も行く~

亜未田久志

第1話 新入部員


 勢いよく文芸部の扉が開かれた。

「おっはようございまぁす!」

 現れたのは一人の少女、赤い髪をサイドテールにまとめた制服姿の長身だった。

「うるさいぞ亜未田氏」

 そう言うのは黒髪ロングにモノクルをつけた大人びた少女、服装は入ってきた少女と同じだった。

「……」

 無言でパラパラと頁をめくっているのは銀髪碧眼の儚げな少女。服装は長袖な事以外は他二人と変わらない。

「いやぁ今日はなんと新入部員を連れて来たんですよ!!」

 サイドテールの少女はまるで大々的なニュースのように発表したが、他二人の反応は薄い。

「またどっからか拉致ってきたのか」

「……返してきなさい」

「先輩達! 人の事を人攫いみたいに言うのはやめてください! 今日の子は志願者です! 文集を読んできてくれたんですよ!」

 赤い髪の少女の背から、ひょこりと背の低い少女が出て来る。黒髪おさげに眼鏡をかけたTHE文学少女的な風貌だった。

「その子、名前は?」

「ほら、芥川ちゃん、自己紹介して」

「は、はい! 芥川流あくたがわながれです! よろしくお願いします!」

 赤髪以外の二人がきょとんとした顔をする。本当に新入部員がくるとは思ってなかったらしい。

「改めまして! 私のペンネームは亜未田久子あみだくじ! 本名は太宰治子だざいなおこね。よろしく!」

 赤髪もとい亜未田久子が自己紹介を済ますとモノクル少女へ目くばせする。

「あ、ああ、私は飯田朗いいだあきら、これはペンネーム。本名は夏目漱なつめそうと言う。よろしく芥川氏」

 そのままモノクル少女もとい飯田朗が今度は銀髪碧眼の少女に視線を移す。

「……ペンネームはAiinegruthアイネグラウス、本名はジェーン・スタインベック。よろしくね」

 ゆっくりと銀髪碧眼少女もといAiinegruthは微笑んだ。

 すると流はきょとんとした顔で言う。

「みなさんペンネームがあるんですね」

 そこで一瞬、空気が固まる。飯田朗が亜未田久子を手招きして呼び寄せる。

(おい、ちゃんと文芸部の事を説明したのか?)

(いやぁ……あれぇ……どうだったかなぁ……)

 そこでAiinegruthが流に声をかける。

「文芸部の昔からの習わしなの。あなたも自分のペンネームを決めてくれると嬉しいな」

 その柔らかな微笑みに流は絆される。

「は、はい……でもえっと急には思いつかないというか……」

「じゃあ好きな作家からもじろうか。好きな作家、いる?」

「あっはい! 作者さんは皆さん大好きです!」

 そこで思わず噴き出した亜未田久子を飯田朗が頭をはたいた。

「じゃ、じゃあとりあえずは皆田好みなだすきってのはどうかな?」

 亜未田久子が提案する。苦し紛れに出た言葉だったが。それを受けて流の表情が明るくなる。

「私のペンネーム……!」

 気に入ったらしい。

「よろしくね好ちゃん!」

「よろしく皆田氏」

「よろしくね」

 三人それぞれの挨拶を済ませると。互いに定位置に収まった。

 亜未田久子はパソコンの前。

 飯田朗は部長と抱えれた立て札が机に置かれた席。

 Aiinegruthは本棚の前に座り込む。

 それを見て皆田好は自分の位置を見失う。

 それにいち早く気付いたのは飯田朗だった。

「おっと配慮に欠けていた。皆田氏は空いてる席にかけたまえ」

「あっはい!」

「あちゃーごめんねーそうだよねぇ。まずは案内からだよねぇ。自己紹介だけで終わった気になっちゃった」

「おいおい亜未田氏。それはないだろ」

「……部長、いつもの事です」

「ま、それもそうか」

「納得された!?」

「あ、はは、おもし、じゃない楽しいところですね!」

 今、若干、な評価をしかけた皆田好だったが急いで訂正する。

 そうこうして時間は経つ。

 席についたはいいが、皆田好は所在なさげにしている。

「どしたの好ちゃん?」

「いえ……わたし、文集を読んで来たはいいものの、文芸部っていまいち何するところか分かってなくて」

「おい亜未田氏、やっぱりちゃんと説明してないじゃないか」

「……部長、いつもの事です」

「……すいませんでしたぁ! 文芸部に興味があるって聞いて大した話もせずに連れて来ましたー!」

 亜未田久子以外の二人がやれやれと首を振る。

 そして飯田朗がおもむろに腰を上げた。

「では、説明しようか、我が文芸部が何をするところか。とは言っても主に二つしかないんだが」

「二つ?」

「一つ目、読む。二つ目、書く。だ」

「読む、書く」

「ああ、それが出来れば一人前の文芸部員だろう」

 それだけ言うと飯田朗は再び席に着く。

 そこで亜未田久子がパソコンの前からどいて皆田好を手招きする。

「ここに文芸部員の過去作とか、書くためのツールとか入ってるからおいで」

 言われるがまま、皆田好はパソコンの前に座る。

「それで、どうしたら?」

「じゃあまずは……そうだなぁ、部長達の作品を読んでみようか!」

 こうして文芸部が始まるのだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 続くよ! 作品紹介パートまでは絶対続くよ! よくエタる作者だけど!

 飯田太郎(https://kakuyomu.jp/users/taroIda)様。

 Aiinegruth(https://kakuyomu.jp/users/Aiinegruth)様。

 ご協力ありがとうございます!

 一話で作品紹介とか文法作法を教える文芸部っぽいパートまで書きたかったのですが!

 なんか長引きそうだったので此処で一旦切ります!

 次話では飯田太郎様の「カギ娘の事件簿 ~The Casebook of Key Girl~

」(https://kakuyomu.jp/works/16816927860156036514)を紹介出来たらな! と思います!

 そのさらに次話ではAiinegruth様の「空を嫌う人たち」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054934468736)も紹介出来たらな! と!

 え? 今ここで紹介してエタった時の保険作るなって? うるせえ! 協力者募った手前退くに退けないんだよ!

 みんな! 読もう!(宣伝)

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