SFミステリー|母の最後の三日間|最後の財閥といわれた男

中島 世期

プロローグ

「ふざけんな、くそばばぁ、お前なんか大嫌いだ。あっちに行け」


 大泣きしながら男の子は全身を使って、母親をなじり、走ってテーブルの下に隠れた。抱く理不尽さを包み込むような狭い空間で、その子の説明がつかない気持ちは救われることなく、涙がこぼれた。


「ちょっと、ときちゃん。隠れても無駄よ。出て来なさい」

「嫌だ!くそばばぁ、お年玉を没収なんてムカつく!」


「お前がな」

「なんで俺なんだよ。くそばばぁ」


 男の子はテーブルの下でお年玉の袋を握りしめたまま、泣き続けた。

 

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SFミステリー|母の最後の三日間|最後の財閥といわれた男 中島 世期 @seki2007

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