第8話 竜理の評価と先祖のこととトラブルのこと

 ―同時刻・大阪市内―


 同じ頃、大手警備会社に勤務する【河合かわい松也まつや】(35歳・大手警備会社役員)・【河合安楽やすら(35歳・大手警備会社人事課所属)】兄妹きょうだい(双子)は、監視カメラで撮影された街の様子を、モニターで観ていたのである。そして、モニターに映し出された竜理の、ジェットパックで空を飛ぶ姿を見て、驚いていた。


 「素晴らしい飛行ぶりやな。」


 「高校生かしら?使いこなしているのが、よく分かるわ。」


 「確かにな。」


 竜理のジェットパックで飛ぶ姿が、河合兄妹を含む沢山の人々から、高評価されていることを、彼女は知る由もない。



 ―さらに同時刻・二国ヶ丘駅前―


 竜理の高校から少し離れた駅の改札口前にて、竜理の学校の男子と、同じ制服を着た男子が集まっていたのである。5人いるが、内の一人は市川の従弟いとこである【市川いちかわさとる(16歳・高校1年生)】だ。


 「最近、仲間の一人である西内にしうちが、昔から因縁のあるやつに、しつこくつきまとわれているらしい。」


 「熊崎くまざき、それは誰か分かるか?」


 「それがな智、名前とかがまだ分からないんだ。」


 「そっか。何とかしないとな。」


 「市川、なんか気合い入ってない?」


 「そりゃ 入るし!だって俺の先祖も2000年代だけど、長年にわたって追われてて、見つかってからもだいぶ悩んだらしいからな。他人事じゃないんだぜ中原なかはら!!」


 「そっか!お前は正義感強いよな!!俺達も協力したる!!」


 駅前にいる男子達の仲間が、何者かに追われているらしく、熊崎、市川智、中原と他2名が、その対策について、話し合いをしていたのだ。尚、このときは【西内にしうち真哉まさや】(16歳・高校1年生)は、トラブルのストレスから体調不良となり、参加していなかったのである。



 ―同時刻・竜理の自宅近くの公園―


 竜理は、譲から古文書を受け取ると、それをじっくり読んでいた。その時、あるページの文章が気になり、目を通す。


 「ふむふむ・・・『6023年8月6日に、中東と東欧の間の国で紛争が起き、それが50年近く続く事態となった。』・・・詳しく書かれていますね。」


 「この戦争に、日本人も関わっていたらしく、確か456人くらい関わっていたらしいが、全世界的に名前が知られているのは、8人ほどらしい。もしかしたら他の448人の名前は子孫には、伝わっているのかもしれないな。」


 「8人の名前は分かりますか?」


 「そういや、全員はちょっと覚えてないが、一人だけ知っている。確か『上条かみじょう心都しんと』と言ったかな・・・」


 「上条!?私と同じ名字です!!」


 「何!?そうなのか!?」


 「私は『上条竜理』と言います!もしかしたらその方は先祖かもしれません!」


 「良かろう。お嬢ちゃんの先祖かどうか、調べてみよう。私は先祖調査の仕事も兼ねているからな。」


 「すみません!!よろしくお願いします!!昔、曽祖父の家の何かに『上条家はとある国の戦争に行った人物がいて、6000年代とされる』と書いていました!」


 「それなら、その可能性もある。調べてみよう!!」


 なぜ、竜理は6000年前のことを調べたかったのか・・・それには先代から伝わる情報が背景に、あったと思われる。そして竜理と先祖との関わりについての物語も、違法金属調査の物語と同時に、進行していくのであった。



 【第8話・完】

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未来時代、西暦12022年の世界をエンジョイする竜理の冒険記 市川雄一郎 @yuichi-8730

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