第38話 脅す材料6
「あちゃー、こいつらヤベェな」
「ホントに……」
およよ、駿ちゃんが頭をかかえてしまった。
「だけどさ、お前ならわかるんじゃねえの。まっさんも嫉妬深いでしょうが」
「うにゅ」
あら、そうなんですか。松岡先生も咲羅と同類なんですか。
そういえば、駿ちゃんがスタッフさんたちと話しているときの松岡先生の視線。恐ろしかったなあ。鬼の形相って言っても過言じゃない。視線で人が殺せそうなレベルだった。
駿ちゃんは気にせず楽しそうにお喋りしてましたけど。いや、気づけ?
「あいつの場合は、俺に許可とってるから。うん、咲羅とは違うから」
「ほぼ一緒じゃねえか」
頬を薄っすら赤く染めて言ってるけど、四月一日さんに同意な。あんたらもヤベェじゃないの。
「まっ、まぁ、じゃあそういうことだから!」
おい、自分に矢が向いたからって話を締めくくろうとするな。露骨すぎて面白いわ。
あわあわ慌てちゃってさ。こういうところが可愛いんだろうなあ、松岡先生。ドンマイです。駿ちゃんってば、無自覚で悪い虫ホイホイしちゃうタイプですもんね。ご苦労様です。
「兎に角、一回話し合った方がいいと思うぞ」
「そうですねえ」
「その返事、話し合う気ねえだろ」
「にゃは、バレましたか」
たまには四月一日さんいいこと言うんだなー、と思いつつ、
「嘘ですよ。いつかはちゃんと話します」
「うん……あんまり外野がやいやい言うことじゃねえけどさ、甘やかしすぎんなよ」
「へい」
「なめてんのか」
今日の四月一日さんちょっと
「お前もな、駿ちゃん」
「にゃはははは」
「おい、真面目に――」
駿ちゃんと四月一日さんの会話を聞き流しつつ、咲羅のことを考える。そうだよね、一番甘やかしてるのは曽田さんだと思うけど、私も甘やかし過ぎちゃダメだよねえ。
よし、この件を利用させてもらおう。きっと彼女は、アカ姉さんたちとグループを組むことを嫌がる。
そこで盗聴器&監視カメラのことを切り出せば、なんとかなるんじゃないかな。
脅しですね。はい。恋人にそんなことをしなきゃならないのは気が咎めるけど、先に仕掛けてきたのは咲羅だから。
目には目を歯には歯を、って昔から言うでしょ。
はぁ……気が重い。取り敢えず、家に帰ったら彼女からもらったプレゼントの中身を確認しますかあ。
どうしよ、全部から盗聴器やらが出てきたら。それはそれで嬉しい。
なんて思うのは、私の頭がクレイジーだからでしょうか。それとも、相当彼女に毒されているからでしょうか。
多分その両方なんでしょうね。
キャンキャン戯れている成人男性二人を横目に、静かにため息をついた。
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