第21話 合同練習2/5

 私たちの専属チームになってからフィオやRoseの振り付けをしなくなった松岡先生ですが、今回は私たちもジャルに参加しているということで、彼が振り付け担当。

 いやあ非常に申し訳ない。一朝一夕で振り付け考えられるわけじゃないのに、こんだけ短いスパンでSorelleがシングルを出し続ける中、ジャルの振り付けも担当してもらちゃって。

 後で感謝伝えとこう。駿ちゃん伝いで。

 私から直接言われるよりも、駿ちゃんから言われた方が絶対嬉しいでしょ。わかってる。だって駿ちゃんが「みっはるう」って先生の名前を呼ぶ度に、普段の強面こわもてからは想像できないほど柔らかいふにゃっとした笑みを浮かべるんだもん。

 順調そうでなにより。どのタイミングで復縁したかは知らないけれど、今年に入って駿ちゃんも松岡先生も毎日嬉しそうだもん。

 一回別れたからこそ、今は甘々時期なんですかね。果たして彼らに倦怠期はあるのでしょうか。訪れるのでしょうか。

 うーん、なさそう。喧嘩してもすぐに松岡先生が謝ってくれる、って駿ちゃん言ってたし。私に言っていいのかそれ、と思いましたが、幸せそうでいいなあと思ったのも事実。

 あ、私と咲羅が絶賛喧嘩中なわけではないから。日々甘々だから。私は彼女を甘やかしてるし、咲羅は素直に甘えてきてくれるし。

 可愛いんだぞ。滅茶苦茶。誰にも見せてあげないけど。


 そんなことを考えていたら、華那ちゃんが駆け寄って来た。

「今日もお疲れ、どうしたの?」

「んー、特にないよ。最近ゆっくり話せてなかったから、お喋りしたくって!」

「んんんん゛」

 なんじゃその理由。可愛すぎて変な声出たわ。あ、待って。2人で話してたら咲羅が……って、今は大丈夫かな。松岡先生となんか話してるし。

 ホッと胸をなでおろしながら、華那ちゃんに視線を戻す。

 きゅるりんとした大きな瞳。うっし、今日も推しが可愛い。

「この間の夏のドラマ、スタッフさんから聞いたんだけど、結構評判良かったみたいだね」

「あーそうだね。出演時間ちょっとだけだったのに、凄い高評価だったよね」

 夏の特番、約2時間ちょっとのオムニバスドラマの中の1本。30分ほどのドラマに出演した私たち。放送後、「ヒロイン役の子、滅茶苦茶可愛いじゃん。誰」「演技初なの? 嘘でしょ。上手いじゃん、ホントに誰」「同級生の子も可愛いな」などなど、SNSでは私たちを褒める言葉で溢れていた。

 その『誰』にちょっぴり傷ついたけれど、多分調べて私がSorelleのJURIだって認識してくれたと信じてる。てか絶対調べろ。

 咲羅は「すっごい良かったよ。これからも絶対ドラマの仕事くると思う」って褒めてくれた。頭を撫でてくれました。嬉ぴい。他のどんな褒め言葉よりも、彼女に褒められたことがなによりも嬉しかった。


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