第21話 合同練習1/5
すっかり肌寒い日が増えてきた11月。10月と同じように、私たちはライブをこなしていった。
今月は、静岡、愛知、福岡の三か所。
土曜日は午前中に私たちのライブをして、夕方からRoseのライブ。咲羅にとっては中々のハードスケジュール。それでも彼女は、完璧なパフォーマンスを魅せ続けた。
これが最後のRoseライブだもんね。気合が違う。自分のパフォーマンスだけじゃなく、メンバーや音響、照明など、毎週のように改善点を見つけては指摘しまくってる。
言われる側はむっとしたり落ち込んだりするかもしれない。でも、それだけ咲羅の視野が広いってことだから、受け入れるしかない。間違ったことはなにも言ってないし。
頑張れ、みんな。
あっ、嬉しい報告があったんだった! なんとですよ、Sorelleが大晦日の歌番組に出演が決定しました! 曽田さんから教えてもらったときは、咲羅に抱き着いてないてしまいました。これが密着カメラにも公式動画のカメラにも収められちゃったのは悲しいです……。
そして、ジャルの『Girls' Garden』合同練習も大詰め。隔週だった練習は毎週行われるようになって、どんなに忙しくても全員が集められてる。
フィオの子3期生たちも頑張ってる。9月10月は、3人が亡くなってしまったことを引きずって暗い雰囲気だった。それも、時が経てば段々と明るくなった。
まあ、咲羅の
「立ち止まってる暇はないんだよ。3人がそれを望んでると思う? 私たちは前を向かなきゃいけない。わかるよね」
力強く、真剣な眼差しでそう言った彼女は滅茶苦茶かっこよかった。その言葉に、私も力をもらった、っていうのは内緒。言ったらあの子調子乗るでしょ。
もしかしたら……もしかしなくても、勘づいてるかもしれないけど。勘が鋭いからなあ。そんなところも好きなんだけどね。愛おしいんですけどね。
「今日の練習はここまで! はい、解散!」
レッスンスタジオに、松岡先生の声が響く。
各々スタジオの隅に置いていたタオルで汗を拭う。咲羅の密着カメラと公式動画のカメラマンさんは未だにカメラを回している。練習後も観たいもんねえ。わかります。
あー今日も疲れた。Sorelleの方が振り付けは断然難しい。いつもは彼女と合わせるところは合わせて、「後は自由に」っていう感じだし。だから、こう全体で揃えるのも中々難しい。
咲羅は平気な顔してるけど。やっぱりグループに所属してるからですかね。でも、3期生の子たちも苦戦してるから、私とどっこいですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます