第2話 慌ただしい日々2/3
そのメンバーの中には、『立ち続ける』のバックダンサーとして参加してくれた、伝説のアイドルグループ・元ENDの松岡先生や、加賀谷さんがいる。多分、咲羅が暴走しても彼らなら止めてくれると信じてる。てか、止めてもらわないと困る。
うちの子は
そう考えると私も彼女のこと、とやかく言えないなあ。咲羅ほど我が儘は言わないし、ごねないけども。
専属チームが発足してから、私たちは曽田さんを交えてSorelleの方向性について話し合った。
「フラワーのイメージとは全力で反対をいきたい」
という咲羅の意見を軸に、基本的に、どの曲でも衣装はパンクロック系・ゴスロリ系でいくことになった。フィオとRoseとの差別化っすね。
あと、ハモリを重視していくことになった。フィオやRoseは基本的にユニゾンだから、その点でも差別化を図る。
プラス、基本的にヘッドセット使用。ハンドマイクは使わない。激しいダンスにハンドマイクは邪魔、ってわけ。
「唯一無二のアイドルになろう」
力強い目で言った咲羅。滅茶苦茶かっこよかった。惚れ直しちゃったよぉ。
2人とも主旋律なのは勿論だけど、彼女の持ち味は高音。だから、ハモるときは必然的に私が下ハモになる。
これについて咲羅は
「樹里だって高音綺麗じゃん」」
と頬を膨らませていた。いやいやいや、確かに他の人よりは高音出る方だとは思うよ。でもさ、貴女には敵わないのよ。これが一番ベストなのよ。
けれど、もしいつか将来的に2人揃って高音パートを歌えたらいいな。そのためには練習していかないと。
咲羅の横に立つってことは、それ相応の実力と覚悟がないといけないから。
そして、咲羅は「どんなに激しい曲でもピンヒールで踊る」と言い切った。28日の後、彼女の足の皮は剥けてマメもできてボロボロだったけど、それでもこのスタイルを貫くみたい。
私は私で、厚底10㎝未満の靴、を貫かせてもらう。ピンヒールなんて無理無理。咲羅は
「樹里もピンヒールで踊ろうよ」
って上目遣いで言ってきましたけれども。いやあ、本当15㎝のヒールで踊るなんて異常だかんね? クレイジーだかんね?
そう伝えると、
「何事も慣れだって」
左様ですか……。間違ってないから反論できないのが、ちょっぴり悲しいですわ。
「だからさ、樹里もいつかは一緒にピンヒールで踊ろうね」
首を傾けて『あざといポーズ』をかましてきた彼女に、私が抗えると思う? 頷いちゃいましたよ。あぁ……そう遠くない未来で、私もピンヒールで踊ることになるんだろうなあ。って、私も曽田さんのこと言えないな。甘いわ、私も。
学校、打ち合わせ、練習、学校、打ち合わせ、練習、を繰り返す毎日。
そして、咲羅と曽田さんはデビューシングルの歌詞を書き上げた。Roseの8枚目シングルのレコーディング、MV撮影と並行して。最初は16人選抜の予定だったけれど、最年少メンバーでセンターの
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