第19話 ソロ曲披露に向けて5
02.21(日)
昨日の今日で、松岡先生はcinq5人を合わせた9人分の振り付けを考えてきた。流石っす。大尊敬です。
だから今日は彼らも参加して、ライブ用に練習をしたんだけど……やっぱりアイドルって凄いね、5人ともすぐに振りや立ち位置を覚えちゃった。勿論、私たち4人も負けてない。すぐに覚えましたとも。
咲羅は特に大きな変更はないから、相変わらず15cmヒールで踊ってました。それで全然体幹がブレないのが凄いわ。一切ふらついたりしないもん。今まで咲羅が頑張ってきた証拠だなあ。
あと一つ、変更になったことがある。松岡先生が「折角、こんなにバックいるんだから」と、ティアラにあわせて咲羅の登場は白いドレスにしないかって提案してくれた。ティアラを被ってドレスを着て登場し、バックダンサーが咲羅を布で覆い隠して衣装に着替える。つまりは、ステージ上で早着替えをしちゃおうってこと。
最初に咲羅が登場。バックダンサーは、ステージ中央が左右に割れるからそこから登場し、「I'm the queen」と言ったら男性陣が布で咲羅をファンから見えないようにして、私が着替えを手伝う。
これには咲羅も大賛成だった。
「純白のドレスから黒い衣装になるのって最高じゃん。あ、布の色は真っ赤にしようよ。どうせならド派手に」
キャッキャと手を叩きながら楽しそうに笑う姿に、私も練習の疲れなんて忘れて笑ってしまった。
それから毎日、私たちは振りを揃えるべく練習に励んだ。cinq5人が参加できるときはライブ用の、5人だけのときは動画用の振り付けを。何度も何度も。駿ちゃんも松岡先生も加賀谷さんも忙しいはずなのに、毎日練習に来てくれた。それだけ咲羅のソロ曲への思い入れが強いってことなんだろうな。ありがとうございます。
そして私たちバックダンサーの振りが揃うようになって、
「動画、24日に撮ろうと思うんだけど。どう?」
駿ちゃんの提案に、
「そうだな。編集のことを考えると、24日に撮って……ライブの前日に動画上げたら最高じゃん? ファンが『もしかしてライブに咲羅出るの!?』って興奮してくれそうだし」
松岡先生が目を細めて言う。顔に駿ちゃんのことが『愛おしくてたまらない』って書いてますよ。前、四月一日さんと会ったときは彼が駿ちゃんの初恋相手かと思ったけど、こりゃ違うな。もうこんだけ毎日会ってたらわかるのよ。
だけど、口にはしないでおいてあげる。駿ちゃんも私たちのこととやかく言わないし。
ほほほ、ニヤつきそうになるのを抑えながら2人を眺めていると、ふと大問題を思いだした。
「え、待って。歌は? まだ録ってないよね。いつ録るの?」
「「「「今日」」」」
……なんで私以外の全員知ってるんだよ。咲羅をジロっと見たら、そっと視線をそらされました。
何度私をハメたら気がむんだ。
まぁ、翻弄してくる咲羅のことも好きだからいいんですけどね。
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