第19話 ソロ曲披露に向けて3/5
2月20日(土)
今日は朝から『立ち続ける』の練習だ。合間に『咲き誇れ』の練習も入っているけれど、基本的にこっちがメイン。
なのに突然休憩中に曽田さんがやって来て、ライブの打ち合わせをすることになった。
そんな不満をぐっと飲み込んで、スタジオの端に片付けてあった机や椅子、ホワイトボードを引っ張りだしてきて、全員が席に着く。
「実はね、咲羅のバックとして、ライブに参加したいと『
曽田さんの言葉にシンプルに驚いた。cinqは咲羅とユニットを組んでいる岩本廉くんが所属するグループだ。
元ENDの3人と、現役アイドルの5人。滅茶苦茶バックダンサー豪華じゃん! 興奮で胸が高鳴るけれど、
「ただね、衣装は『あいつらの分も作ってられへんわ! 似たような衣装があるから、あいつらは既存のんでやらしてください、って衣装制作部にキレられたよ」
おっと、これは珍しい。曽田さんがちょっと困った顔をしている。でも、そりゃ当然の意見でしょうよ。今から5人分の衣装を作るとなると、ね……。そもそも衣装制作部はスタッフそんなに多くないみたいだし。鬼畜すぎる。
というか、さっきの言い方からして、キレたの関西弁のスタッフさんだな? ちょっとその場面見てみたかった。
「まぁ彼らもそれで異論はないみたいだし、君たちさえ良ければライブのみ参加させるが、どうする」
私は参加に大賛成。問題と言えば、松岡先生が振りを考え直さなきゃいけないぐらいで。あ、待った。全員立ち位置を覚えなおさなきゃいけないのか。
「はい、私は賛成です」
おーい、咲羅。松岡先生のこと考えて返事したか? バックのこと考えてるか?
松岡先生に視線を向けると、眉間に皺を寄せて腕を組んでいる。
ちょっと雲行き怪しい感じか?
「……咲羅がそれでいいなら」
全然怪しくなかったわ。
そんなこんなで、ライブではバックダンサーが9人になることが決まりました。今からなら、振りなんてすぐ覚えなおせるし、ステージは広いんだから沢山いた方が咲羅が引き立つよね。
「わかった。伝えておく」
曽田さんは、それだけ言うと去っていった。台風みたいな人だな。
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